ECサイトを運営する上で、お客様の個人情報や決済情報を守ることは最重要課題です。近年、サイバー攻撃の手法は巧妙化し、中小規模のECサイトでも標的になるケースが増えています。
本記事では、ECサイトが直面するセキュリティリスクの現状から、具体的な対策方法、SSL証明書の選定、決済セキュリティ対応、そして万が一の情報漏洩時の対応まで、実践的な内容を詳しく解説します。技術的な知識がない方でも理解できるよう、わかりやすく説明していきますので、ぜひ最後までお読みください。
EC事業者が知るべきセキュリティリスクの現状

ECサイトは、お客様の個人情報や決済情報を扱うため、サイバー犯罪者にとって魅力的な標的となっています。まずは、ECサイトがどのような攻撃にさらされているのか、その現状を正しく把握することが重要です。
増加し続けるサイバー攻撃の実態
ECサイトを標的としたサイバー攻撃は年々増加しています。特に中小規模のECサイトが狙われやすく、その理由は大手企業に比べてセキュリティ対策が手薄になりがちだからです。
攻撃手法も多様化しており、従来の不正アクセスだけでなく、フィッシング詐欺、マルウェア感染、DDoS攻撃など、様々な手口が使われています。これらの攻撃により、顧客情報の流出、サイトの改ざん、システムダウンなど、深刻な被害が発生しています。
ECサイトが狙われる理由
ECサイトが特に狙われやすい理由はいくつかあります。
第一に、クレジットカード情報や個人情報など、換金性の高い情報が集まっていることです。これらの情報は闇市場で高値で取引されるため、犯罪者にとって魅力的な標的となります。
第二に、24時間365日稼働していることです。常時オンラインで稼働しているため、攻撃者はいつでもアクセスを試みることができます。夜間や休日など、監視が手薄になりやすい時間帯を狙った攻撃も多く発生しています。
第三に、多くの外部サービスと連携していることです。決済代行サービス、配送業者のシステム、在庫管理システムなど、様々な外部システムと連携しているため、攻撃の入り口が多く存在します。
主要な脅威の種類と特徴
ECサイトが直面する主要な脅威について、具体的に見ていきましょう。
SQLインジェクション攻撃は、データベースに不正なSQL文を注入する攻撃手法です。これにより、顧客情報の大量流出や、データベースの破壊などが発生する可能性があります。検索機能やログイン画面など、ユーザーからの入力を受け付ける箇所が狙われやすいです。
クロスサイトスクリプティング(XSS)は、悪意のあるスクリプトをWebページに埋め込む攻撃です。これにより、ユーザーのセッション情報が盗まれたり、偽の決済画面に誘導されたりする被害が発生します。
ブルートフォース攻撃は、パスワードを総当たりで試す攻撃手法です。管理画面へのログインを狙った攻撃が多く、単純なパスワードを使用していると短時間で突破される危険性があります。
なりすまし・フィッシングは、正規のECサイトを装った偽サイトで情報を盗む手法です。お客様が偽サイトで情報を入力してしまうと、その情報が犯罪者の手に渡ってしまいます。
被害発生時の影響と損失
セキュリティ事故が発生した場合、その影響は甚大です。
直接的な損失として、情報漏洩に対する損害賠償、システム復旧費用、調査・対応費用などが発生します。大規模な情報漏洩の場合、数千万円から数億円規模の損害賠償が発生することもあります。
間接的な損失も深刻です。ブランドイメージの低下により、既存顧客の離脱や新規顧客獲得の困難さが生じます。また、決済代行会社との契約解除、検索エンジンでの評価低下など、事業継続に大きな影響を与える可能性があります。
リスク評価の重要性
自社のECサイトがどの程度のリスクに晒されているかを正確に把握することは、適切な対策を講じる上で欠かせません。
リスク評価では、扱う情報の種類と量、システムの規模、既存のセキュリティ対策の状況、過去のインシデント履歴などを総合的に分析します。この評価結果に基づいて、優先的に対策すべき項目を明確にし、限られたリソースを効果的に配分することができます。
必須のセキュリティ対策チェックリスト

ECサイトを守るために実施すべきセキュリティ対策は多岐にわたります。ここでは、優先度の高い対策から順番に、具体的な実装方法を含めて解説していきます。
基本的なセキュリティ対策
まず実施すべき基本的な対策から始めましょう。
定期的なソフトウェア更新は、最も基本的かつ重要な対策です。ECサイトを構成するOS、Webサーバー、データベース、CMS、プラグインなど、すべてのソフトウェアを最新版に保つことで、既知の脆弱性を悪用した攻撃を防げます。
更新作業は計画的に行う必要があります。まず、使用しているすべてのソフトウェアのバージョン情報を一覧化し、各ソフトウェアの更新情報を定期的にチェックする体制を整えます。重要なセキュリティパッチがリリースされた場合は、テスト環境で動作確認を行った上で、速やかに本番環境に適用します。
強固なパスワードポリシーの実施も重要です。管理画面へのアクセスには、最低でも12文字以上、大文字・小文字・数字・記号を組み合わせたパスワードを設定します。また、定期的なパスワード変更、使い回しの禁止、二要素認証の導入なども実施しましょう。
アクセス制御と認証強化
不正アクセスを防ぐためには、適切なアクセス制御が不可欠です。
IPアドレス制限により、管理画面へのアクセスを特定のIPアドレスからのみに制限します。これにより、外部からの不正アクセスを大幅に減少させることができます。リモートワークが必要な場合は、VPN経由でのアクセスに限定するなどの対策を講じます。
権限管理の徹底も重要です。スタッフごとに必要最小限の権限のみを付与し、不要な権限は削除します。例えば、商品登録担当者には顧客情報へのアクセス権限を与えない、といった形で権限を細分化します。
ログイン試行回数の制限により、ブルートフォース攻撃を防ぎます。一定回数ログインに失敗した場合は、一時的にアカウントをロックする仕組みを導入します。
データ保護対策
お客様の重要な情報を保護するための対策も欠かせません。
データの暗号化は、万が一データが流出した場合でも、情報を読み取られないようにする重要な対策です。データベース内の個人情報や決済情報は必ず暗号化して保存し、通信時もSSL/TLSにより暗号化します。
定期的なバックアップにより、サイバー攻撃やシステム障害からデータを守ります。バックアップは自動化し、複数の場所に保管することで、確実な復旧を可能にします。バックアップデータ自体も暗号化し、アクセス制御を適切に行います。
監視体制の構築
セキュリティ対策は、実装して終わりではありません。継続的な監視が重要です。
ログ監視により、不正なアクセスや異常な動作を早期に発見します。アクセスログ、エラーログ、システムログなどを定期的に確認し、異常なパターンがないかチェックします。ログの量が多い場合は、ログ解析ツールを導入して効率化を図ります。
侵入検知システム(IDS)や侵入防止システム(IPS)の導入により、リアルタイムで攻撃を検知・防御します。これらのシステムは、既知の攻撃パターンや異常な通信を検知し、自動的に遮断することができます。
脆弱性診断の実施
定期的な脆弱性診断により、セキュリティホールを発見し、対策を講じます。
脆弱性診断には、自動ツールによる診断と、セキュリティ専門家による手動診断があります。自動ツールは定期的に実行し、基本的な脆弱性をチェックします。年に1回程度は専門家による詳細な診断を受けることで、より高度な脆弱性も発見できます。
診断で発見された脆弱性は、リスクレベルに応じて優先順位をつけて対応します。重大な脆弱性は即座に対応し、中程度以下の脆弱性も計画的に修正していきます。
SSL証明書の選び方と実装手順

SSL証明書は、ECサイトのセキュリティにおいて最も基本的かつ重要な要素の一つです。お客様の個人情報や決済情報を暗号化して送受信するために不可欠な技術です。ここでは、SSL証明書の選び方から実装手順まで、詳しく解説していきます。
SSL証明書とは何か
SSL(Secure Sockets Layer)証明書は、インターネット上でデータを暗号化して送受信するための電子証明書です。現在は、より安全なTLS(Transport Layer Security)が主流となっていますが、一般的にはSSL証明書と呼ばれています。
SSL証明書を導入することで、以下のメリットが得られます。まず、通信内容の暗号化により、第三者による盗聴や改ざんを防げます。また、サイトの運営者が本物であることを証明でき、なりすましサイトとの差別化が図れます。
SSL証明書の種類と選び方
SSL証明書には、認証レベルによって3つの種類があります。
ドメイン認証(DV)証明書は、最も基本的な証明書です。ドメインの所有権のみを確認して発行されるため、取得が簡単で価格も安価です。個人サイトや小規模なECサイトで利用されることが多いですが、企業の実在性は証明されません。
企業認証(OV)証明書は、ドメインの所有権に加えて、企業の実在性も確認して発行されます。登記簿謄本などの書類提出が必要で、取得に数日から1週間程度かかります。中規模以上のECサイトでは、この証明書が推奨されます。
EV(Extended Validation)証明書は、最も厳格な審査を経て発行される証明書です。企業の実在性、物理的な所在地、電話確認など、詳細な審査が行われます。大規模ECサイトや金融機関などで利用されています。
ECサイトの規模や扱う商品、ターゲット顧客などを考慮して、適切な証明書を選択することが重要です。一般的には、年商1億円以上のECサイトではOV証明書以上、決済情報を直接扱う場合はEV証明書の導入を検討すべきでしょう。
SSL証明書の実装手順
SSL証明書の実装は、以下の手順で進めます。
1. CSR(証明書署名要求)の作成
まず、Webサーバー上でCSRを作成します。CSRには、ドメイン名、組織名、所在地などの情報が含まれます。この際、秘密鍵も同時に生成されるため、安全に保管する必要があります。
2. SSL証明書の申請
作成したCSRを認証局に提出し、必要な審査を受けます。DV証明書の場合は数分から数時間、OV証明書は数日、EV証明書は1〜2週間程度の審査期間が必要です。
3. 証明書のインストール
審査が完了すると、認証局から証明書が発行されます。この証明書をWebサーバーにインストールし、適切な設定を行います。Apache、Nginx、IISなど、使用しているWebサーバーによって設定方法が異なるため、マニュアルを参照しながら慎重に作業を進めます。
4. HTTPSへのリダイレクト設定
SSL証明書をインストールしただけでは、HTTPでのアクセスも可能な状態です。すべてのアクセスをHTTPSに統一するため、HTTPからHTTPSへの自動リダイレクトを設定します。
5. 混在コンテンツの解消
HTTPS化したページ内に、HTTPで読み込まれる画像やスクリプトがあると、セキュリティ警告が表示されます。すべてのコンテンツをHTTPSで配信するよう修正します。
SSL証明書の運用管理
SSL証明書は、導入後も適切な運用管理が必要です。
証明書の有効期限管理は特に重要です。証明書の有効期限が切れると、お客様がサイトにアクセスできなくなったり、セキュリティ警告が表示されたりします。有効期限の90日前、30日前、7日前にアラートが出るよう設定し、余裕を持って更新作業を行います。
証明書の更新作業も計画的に実施します。新しい証明書の取得、インストール、動作確認まで、一連の作業を手順化しておくことで、ミスなく更新できます。可能であれば、自動更新の仕組みを導入することも検討しましょう。
HTTPS化による追加のセキュリティ対策
SSL証明書の導入と併せて、以下の追加対策も実施することで、より強固なセキュリティを実現できます。
HSTS(HTTP Strict Transport Security)の設定により、ブラウザに対してHTTPSでのみアクセスするよう指示できます。これにより、中間者攻撃のリスクを大幅に低減できます。
証明書の透明性(Certificate Transparency)ログへの登録により、不正な証明書の発行を検知できます。これは、認証局が不正に証明書を発行した場合でも、それを発見できる仕組みです。
OCSP Staplingの設定により、証明書の有効性確認を高速化できます。これにより、ページの表示速度を向上させながら、セキュリティも維持できます。
決済セキュリティ(PCI DSS)への対応方法

ECサイトで最も重要なセキュリティ対策の一つが、決済情報の保護です。クレジットカード情報を扱うすべての事業者は、PCI DSS(Payment Card Industry Data Security Standard)に準拠する必要があります。ここでは、PCI DSSの概要から具体的な対応方法まで、詳しく解説していきます。
PCI DSSとは
PCI DSSは、クレジットカード情報を安全に取り扱うための国際的なセキュリティ基準です。Visa、Mastercard、JCB、American Express、Discoverの5大国際ブランドが共同で策定し、クレジットカード情報の漏洩や不正利用を防ぐことを目的としています。
この基準は、年間のクレジットカード取引件数によって4つのレベルに分類されており、それぞれ異なる要件が設定されています。ECサイトの規模に関わらず、クレジットカード決済を扱う限り、何らかの形でPCI DSSへの準拠が求められます。
PCI DSSは12の要件から構成されており、ネットワークセキュリティ、データ保護、脆弱性管理、アクセス制御、監視・テスト、セキュリティポリシーなど、包括的な対策が求められます。
ECサイトにおけるPCI DSS準拠の重要性
PCI DSSに準拠することは、単なる義務ではなく、ビジネスにとって多くのメリットをもたらします。
まず、お客様の信頼を獲得できます。PCI DSSに準拠していることを明示することで、セキュリティに真剣に取り組んでいる企業として認識され、購買意欲の向上につながります。
次に、情報漏洩リスクの大幅な低減が期待できます。PCI DSSの要件に従って対策を実施することで、体系的なセキュリティ体制が構築され、様々な脅威から決済情報を守ることができます。
さらに、万が一の事故発生時の責任軽減も重要なポイントです。PCI DSSに準拠していれば、適切な対策を講じていたことの証明となり、損害賠償額の軽減や、決済代行会社との契約継続などの面で有利に働く可能性があります。
準拠レベルの確認と対応方法
自社のECサイトがどのレベルに該当するか、まず確認することから始めましょう。
レベル1(年間600万件以上の取引)に該当する大規模事業者は、外部の認定セキュリティ評価機関による年次の実地監査が必要です。これは最も厳格な要件で、相当のコストと労力が必要となります。
レベル2(年間100万〜600万件)の事業者は、年次の自己問診と四半期ごとのネットワークスキャンが必要です。外部監査は必須ではありませんが、自己評価を正確に行う必要があります。
レベル3(年間2万〜100万件)およびレベル4(年間2万件未満)の事業者も、自己問診による評価が必要です。多くの中小ECサイトはこのレベルに該当します。
具体的な対応策
PCI DSSへの準拠を効率的に進めるため、以下の対応策を実施します。
決済代行サービスの活用は、最も現実的な対応方法です。クレジットカード情報を自社サーバーで保持せず、PCI DSSに準拠した決済代行サービスにリダイレクトまたはトークン化により処理を委託することで、自社の準拠負担を大幅に軽減できます。
トークナイゼーションの導入により、クレジットカード番号を別の文字列(トークン)に置き換えて保存します。これにより、万が一データが流出しても、実際のカード番号は漏洩しません。
適切なネットワーク分離も重要です。決済処理を行うシステムは、他のシステムから物理的または論理的に分離し、アクセスを厳格に制御します。これにより、他のシステムへの侵入があっても、決済情報への影響を防げます。
継続的な準拠維持
PCI DSSへの準拠は、一度達成すれば終わりではありません。継続的な取り組みが必要です。
定期的な脆弱性スキャンを実施し、新たな脆弱性が発生していないか確認します。PCI DSS認定スキャンベンダー(ASV)によるスキャンが推奨されています。
従業員教育も欠かせません。全従業員に対してセキュリティ意識の向上を図り、特に決済情報を扱う担当者には、より詳細な教育を実施します。フィッシング詐欺への対応、パスワード管理、情報の取り扱いなど、実践的な内容を含めます。
インシデント対応計画の策定と訓練も重要です。万が一の情報漏洩に備えて、対応手順を明文化し、定期的な訓練を実施します。初動対応の遅れは被害を拡大させるため、迅速な対応ができる体制を整えておく必要があります。
情報漏洩時の対応フローと事前準備

どれだけセキュリティ対策を施していても、情報漏洩のリスクをゼロにすることはできません。重要なのは、万が一の事態に備えて適切な対応体制を整えておくことです。ここでは、情報漏洩が発生した場合の対応フローと、事前に準備しておくべき事項について詳しく解説します。
情報漏洩発生時の初動対応
情報漏洩が発覚した際、最初の数時間の対応が被害の拡大を防ぐ上で極めて重要です。
まず、被害の拡大防止を最優先に行います。不正アクセスが継続している場合は、該当システムをネットワークから切り離し、これ以上の情報流出を防ぎます。ただし、証拠保全の観点から、システムの電源を切らず、ネットワークケーブルを抜く、ファイアウォールで遮断するなどの方法を取ります。
次に、現状の把握と記録を行います。いつ、どのような経路で、どの範囲の情報が漏洩した可能性があるかを調査し、詳細に記録します。この記録は、後の原因究明や関係者への報告、再発防止策の検討に不可欠です。
緊急対策本部の設置も重要です。経営層、情報システム部門、法務部門、広報部門などの関係者を集め、組織的な対応を開始します。責任者と各担当者の役割を明確にし、情報の一元管理を行います。
関係者への通知と報告
情報漏洩が確認された場合、速やかに関係者への通知を行う必要があります。
監督官庁への報告は、個人情報保護法により義務付けられています。個人情報保護委員会への報告は、速報と確報の2段階で行います。速報は認識した時点から3〜5日以内、確報は30日以内(不正アクセスの場合は60日以内)に提出します。
被害者への通知も重要な義務です。漏洩した情報の内容、想定される被害、お客様が取るべき対応などを、わかりやすく説明します。通知方法は、メール、書面、ウェブサイトでの公表など、状況に応じて適切な方法を選択します。
取引先への連絡も忘れてはいけません。決済代行会社、配送業者、システム開発会社など、関連する取引先に状況を説明し、必要な対応を依頼します。特に決済代行会社への連絡は、カード情報の不正利用を防ぐ上で極めて重要です。
最新情報、詳細はこちらをご確認ください。
漏えい等報告・本人への通知の義務化について|個人情報保護委員会
https://www.ppc.go.jp/news/kaiseihou_feature/roueitouhoukoku_gimuka/
原因究明と再発防止
初動対応が一段落したら、原因究明と再発防止策の検討を進めます。
フォレンジック調査により、侵入経路や手口を詳細に分析します。専門的な知識が必要なため、外部のセキュリティ専門家に依頼することが一般的です。ログの解析、マルウェアの分析、システムの脆弱性評価などを通じて、事故の全容を明らかにします。
再発防止策の立案では、調査結果を基に、技術的対策と運用面での対策の両面から検討します。脆弱性の修正、アクセス制御の強化、監視体制の見直し、従業員教育の強化など、多角的な対策を実施します。
対策の実施と検証も重要です。立案した対策を着実に実施し、その効果を定期的に検証します。新たな脅威に対応するため、継続的な見直しと改善が必要です。
事前準備の重要性
情報漏洩への対応を適切に行うためには、平時からの準備が不可欠です。
インシデント対応計画の策定は、最も重要な準備事項です。情報漏洩が発生した場合の対応手順、連絡体制、役割分担などを明文化し、関係者全員で共有します。計画は定期的に見直し、実効性を維持します。
緊急連絡先リストの整備も欠かせません。社内の関係者はもちろん、監督官庁、弁護士、セキュリティ専門家、広報代理店などの連絡先を一覧化し、常に最新の状態に保ちます。休日や夜間の連絡体制も含めて整備します。
模擬訓練の実施により、計画の実効性を検証します。年に1〜2回程度、情報漏洩を想定した訓練を実施し、対応手順の確認と改善点の洗い出しを行います。訓練を通じて、関係者の対応スキルも向上させることができます。
サイバー保険の活用
情報漏洩による経済的損失に備えて、サイバー保険への加入も検討すべきです。
サイバー保険は、情報漏洩による損害賠償、事故対応費用、営業損失などをカバーする保険です。補償内容は保険会社によって異なりますが、フォレンジック調査費用、弁護士費用、被害者への見舞金、信用回復のための広告費用などが含まれることが一般的です。
保険に加入する際は、自社のリスクに応じた適切な補償内容と保険金額を選択することが重要です。また、保険会社が提供するリスクアセスメントサービスや、事故対応支援サービスも活用できる場合があります。
ただし、保険はあくまでも経済的な補償であり、ブランドイメージの毀損や顧客の信頼喪失を完全に回復することはできません。保険に頼るのではなく、事故を起こさないための対策を最優先に考えることが重要です。
まとめ
ECサイトのセキュリティ対策は、事業の継続性と顧客の信頼を守るために欠かせない取り組みです。本記事では、セキュリティリスクの現状から具体的な対策まで、幅広く解説してきました。
重要なポイントをまとめると、まずセキュリティ対策は一度実施すれば終わりではなく、継続的な取り組みが必要です。脅威は日々進化しており、新たな攻撃手法に対応するため、常に最新の情報を収集し、対策をアップデートしていく必要があります。
また、技術的な対策だけでなく、運用面での対策も同様に重要です。最新のセキュリティシステムを導入しても、パスワード管理が杜撰だったり、従業員のセキュリティ意識が低かったりすれば、そこが弱点となって攻撃を受ける可能性があります。
セキュリティ対策にかかるコストは、決して安くはありません。しかし、情報漏洩が発生した場合の損失と比較すれば、予防的な投資として十分に価値があります。自社の規模とリスクに応じて、優先順位をつけながら着実に対策を進めていくことが大切です。
最後に、セキュリティ対策は専門的な知識が必要な分野です。自社だけで対応することが難しい場合は、専門家のサポートを受けることをお勧めします。私たちゼネラルアサヒでは、ECサイトのセキュリティ強化に関する豊富な経験を活かし、お客様のビジネスを守るお手伝いをさせていただいています。
セキュリティに関するご相談や、具体的な対策のご提案をご希望の方は、ぜひお問い合わせページからご連絡ください。お客様の大切なECサイトを、共に守っていきましょう。
