お問い合わせ メニュー

ECサイト運用

2025.07.17

BtoB ECとは?種類やメリット・課題を理解し、ビジネス成功へ導く

BtoB ECとは?種類やメリット・課題を理解し、ビジネス成功へ導く

BtoB向けのECサイトは企業にとって成功のカギを握るといっても過言ではありません。

しかしながら、BtoB EC化の構築はそう簡単ではありません。自社の基幹システムとの連携コスト、取引先や社員のデジタル対応力、さらには「既存のやり方を変えたくない」という心理的な抵抗感も根強く残っている現状があります。しかし、こうした課題に向き合い、デジタル化を成功させた企業は、目に見えるコスト削減や新規受注の拡大といった確かな成果を得ています。

この記事では、BtoB ECサイトの知識をつけ、自社の課題を洗い出した上で、5つのBtoBのECサイト構築手法、事例をピックアップ。企業ビジネスの成功へと導く内容になっています。

BtoB ECとは

BtoB ECとは

近年、企業間取引におけるデジタルシフトはますます加速しています。「BtoB」とは、「企業間」や「企業同士の取引」を指す言葉で、英語の「Business to Business」を省略したものであり、「B2B」と表記されることもあります。

従来、BtoBビジネスといえば、電話やFAX、はたまた紙の見積もりや注文書によってやり取りされてきました。しかし、デジタル技術の進歩とともに、そうしたアナログな手法は省力化の大きな壁となり、今や企業の競争力を左右する課題として浮上しています。

この流れのなかで注目を集めているのが、BtoB ECサイトの活用です。「BtoB EC」とは、企業同士がインターネットを通じて商品やサービスの売買・受発注を行う電子商取引のことです。

一般消費者を対象にしたBtoC EC(いわゆるネット通販)と比べ、商談の条件設定や仕入れ・販売のボリュームが大きい、取引の反復性が高いなど、ビジネスならではの特徴が数多くあります。

※ECは「電子商取引」の意味で、「Electronic Commerce(エレクトロニック・コマース)」の略称です。一般的にEコマースやイーコマースとも呼ばれています。

BtoB EC、BtoC EC、CtoC ECの比較表

項目BtoB EC(企業間)BtoC EC(企業⇔消費者)CtoC EC(消費者間)
取引主体企業と企業企業と一般消費者個人と個人
取引規模大規模、継続的小規模~中規模、都度取引小規模、不定期
価格・数量個別見積り、大量注文が多い公開価格、少量注文が中心個別交渉、単品または少数
企業向け資材調達サイト、卸売サイトECモール、アパレル通販、家電通販フリマアプリ(メルカリなど)、ネットオークション
取引サイクル長め、複数回にわたる場合が多い比較的短い、1回限りが多い一度きりや不定期
商談・審査必要な場合が多い基本的に不要基本的に不要
サイト機能見積・多段階承認・与信管理など専門性高いカート・決済・レビューなど一般的出品・配送支援・取引評価システム
支払い
方法
請求書払い・掛売・銀行振込クレジットカード・電子マネー・代引きクレジットカード・キャッシュレス・現金など
主な
メリット
取引効率化・コスト削減市場拡大・顧客層拡大・利便性向上不要品売買・個人間で自由に取引

EDIとは

「EDI(Electronic Data Interchange)」とは企業間の発注や請求書などの各種取引データを、紙やFAXではなく電子データとして専用回線やインターネット経由でやり取りする仕組みです。1980年代から日本の大企業を中心に導入が進み、人的ミスの削減や作業効率・コスト削減、書類管理の効率化といったメリットから広く利用されてきました。

しかし、従来のEDIは特定企業同士の継続的な取引に最適化されている半面、専用システムの構築・維持コストが高く、柔軟性や新規顧客の開拓が難しいという課題がありました。近年では、多様な取引形態や迅速な対応、拡張性といったビジネス拡大のメリットから、Webを活用したBtoB EC(企業間電子商取引)を導入する企業が増えています。

業種別BtoB EC化率

「ウチの業界ではEC化なんてまだまだ…」という声が上がる一方で、業種によっては急速にBtoB ECが普及し、大きな成果を上げている分野もあります。では、現在のEC化率は業種ごとにどのような違いがあるのでしょうか。

経済産業省は、令和5年の日本国内のBtoB-EC(企業間電子商取引)市場規模は465.2兆円(前年420.2兆円、前々年372.7兆円、前年比10.7%増)に増加した、という市場調査結果をまとめました。そのEC化率(すべてのBtoB取引に占めるEC利用比率)は年々上昇傾向にあります。

経済産業省「令和5年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」

日本のBtoB-EC市場規模

そのなかでも、製造業や卸売業はBtoB ECの導入が特に進んでいる分野です。一方で、建設業や一部のサービス業では、まだ紙やFAXに依存した運用が根強く残っている現状もあり、業種間で明暗が分かれています。

この差は、商品・サービスの特性だけでなく、既存の商慣習や現場オペレーションのあり方が大きく影響しています。たとえば製造業や卸売業はもともと大量・高頻度の取引が多く、効率化への要望が強いことから、EC化が進みやすい素地がありました。では、それぞれの業界でどのようにBtoB EC化が進展しているのでしょうか。

BtoB EC市場規模の業務別内訳
令和5年度 電子商取引に関する市場調査 報告書 

製造業

製造業では、部品や原材料など多種多様な商材を日常的に大量かつ迅速にやり取りする必要があります。また、グローバルなサプライチェーンの拡大もあり、効率的かつミスの少ない発注体制の構築は業界全体の命題となっています。そうした背景から、製造業では早くからEDIの導入が進み、それを基礎としたBtoB ECサイトの展開も活発です。

例えば、自動車部品や半導体といった分野では、国内外の複数メーカー・サプライヤーとのつながりをデジタル化することで、取引スピードの向上や在庫の適正化を実現しています。最近では更に、自社専用のクローズド型BtoB ECサイトを使い、発注から納品までをシステム上で完結させる企業が増えてきました。

一方、長年にわたる商慣習や複雑なカスタマイズ要件、現場レベルでのデジタル習熟度にはまだ格差があるため、段階的なEC化の推進や、それを支える教育・サポート体制の整備が各社の課題となっています。

卸売業

卸売業は、メーカーと小売・各種サービス業との仲介役として、従来から受発注・在庫管理の効率化ニーズが強い業界です。取扱商材の幅が広く、取引先も多岐にわたるため、膨大な伝票処理や問い合わせ対応を、いかに省力化できるかが永遠のテーマとなってきました。

こうした業界特性もあり、BtoB ECサイトの導入は卸売業でも着実に進んでいます。

最近では、全取引先へWebカタログを公開し、ECサイト経由で都度オリジナルの価格や在庫メッセージを表示したり、企業ごとに個別に設定した条件で注文できる仕組み(クローズド型EC)を整備している事例が増えています。これにより、受発注業務の効率化はもちろん、人的ミスの低減、新規取引先開拓のスピードアップといったメリットを享受している企業が多いのが現状です。

ただし、すべての卸売業でBtoB EC化が順調に進んでいるわけではありません。特に、旧態依然とした商慣習が色濃く残る業界や、中小規模の事業者では、紙やFAXによる注文が根強く残っています。そのため、業界全体としてのデジタル化推進が、より強く求められているのです。

BtoB ECサイトの種類

一口にBtoB ECサイトと言っても、その形態や機能、利用目的によっていくつかのタイプに分かれます。自社にとってベストなBtoB ECサイトを考えるうえで、まずはどのような種類があるのかを正しく理解することは非常に重要です。それぞれのタイプには特徴や強み、そして注意すべきポイントがあります。ここでは大きく分けたうちの3つのタイプについて解説します。

クローズド型BtoB ECサイトスモール型BtoB ECサイトマーケットプレイス型BtoB ECサイト
適したターゲット・既存取引先との関係維持を重視
・機密性重視の業界
・個別対応が多い企業
・中小規模・ニッチ業界
・オリジナル商品や少量多品種の商品を扱う事業者
・初めてBtoB ECを導入したい企業
・新規取引先開拓を目指す企業
・販路拡大や調達先多様化希望
・多様なバイヤー・サプライヤーを求める企業
特徴・会員制(ID・パスワード管理)
・顧客別価格や条件設定が可能
・限定公開で高セキュリティ
・シンプル機能で導入
・運用が容易
・低コスト
・短納期
・拡張・カスタマイズしやすい
・複数社が出店するモール型
・幅広い企業が参加可能
・運営会社による決済
・与信サポート
注意点・新規取引先獲得はしにくい
・運用や教育コスト
・システム連携や管理体制が必要
・機能が限定的
・成長に合わせた拡張が必要
・大規模展開には不向きな場合がある
・手数料等のコスト発生
・価格競争に巻き込まれやすい
・独自条件の設定制限や差別化の必要性

クローズド型BtoB ECサイト

クローズド型BtoB ECサイトは、取引先や特定の企業会員だけが利用できる「会員制」のECサイトです。通常、ログインIDやパスワードでアクセスを制限し、取引契約を結んだ企業や既存顧客に限定して商品やサービスの情報を公開します。

このタイプの最大の特徴は、「個別取引条件」に柔軟に対応できる点です。たとえば、得意先ごとに金額や支払条件をカスタマイズしたり、特別な在庫割当や販促情報を個別発信したりと、きめ細やかな対応が可能になります。また、競合には明かせない自社の卸価格や独自サービス内容などを守れるというセキュリティ面の安心感も大きなメリットです。

一方で、クローズド型は既存取引先とのリレーション強化や業務効率化を主目的としたものが多いため、新規顧客開拓が主眼の場合は別のアプローチが必要になる場合があります。

スモール型BtoB ECサイト

スモール型BtoB ECサイトは、オンライン上に公開されている企業間取引用のECサイトです。中小企業や特定のニッチな業界、市場規模がそれほど大きくない商材を扱う企業に適しています。

最大の特徴は、必要最低限の機能に絞った設計にあります。受発注管理や在庫確認といった基本的な機能を備えつつ、複雑な機能は省くことで、導入時のコストと手間を大幅に削減できます。また、自社に合わせて柔軟にカスタマイズや改修がしやすい点もメリットです。近年は、初期費用を抑えたクラウド型やASP型サービスを活用し、小規模から導入を始める企業が増えています。

ただし、将来的な事業拡大を見据えた設計をしないと、後々システムの大幅な入れ替えや改修が必要になるケースもあるため、導入時には注意が必要です。

マーケットプレイス型BtoB ECサイト

マーケットプレイス型BtoB ECサイトは、多数の売り手企業と多数のバイヤーが参加し、市場のように自由に取引が行える“場”を提供する形態です。有名なものでは「Amazon Business」や「アリババ」などが代表例として挙げられるでしょう。

このタイプでは、出展する側(売り手)は比較的容易に商品を登録・販売でき、購買側(買い手)は一つのプラットフォーム上で多くのサプライヤーの商品や価格、在庫状況を比較しながら最適な調達を進められる利点があります。また、マーケットプレイス運営者が決済や物流、データ分析などの共通インフラを提供するケースも多く、個々の売り手や買い手は自社でシステムを一から構築しなくて済むため、事業参入のハードルを大きく下げる役割も果たしています。新規取引先の開拓もしやすいといえます。

一方で、同一カテゴリーの商品が並ぶため、価格やサービスの“差別化”が難しくなりやすい点、またプラットフォーム依存が生じやすい点には注意が必要です。

BtoB ECのメリット

BtoB ECのメリット

BtoB ECサイトの存在は、今や単なる受発注の効率化に留まりません。デジタル化が進んだことで、企業間取引そのものが大きく変わりつつあります。では、BtoB ECサイトを導入することで、どのようなメリットが享受できるのでしょうか。

受発注業務を効率化できる

日々の受発注業務に追われていると、人手も時間も本来注ぐべきところへ回せなくなります。BtoB ECサイトを導入した場合、“いつでも・どこでも・誰でも”必要な時に注文や確認ができるため、見積もり・発注・納品管理といった一連の流れが驚くほどスムーズになります。

注文内容も自動入力・自動確認でき、担当者の確認作業や書類作成、取引先との電話やメールのやり取りも大幅に削減。これまで非効率だった伝票処理や社内連絡といった、煩雑な“手作業”が大きく減ることで、本来のコア業務へリソースをシフトできるようになるのは、企業規模を問わず非常に大きな魅力です。

人的ミスを削減できる

手書きの注文書やFAX対応、メールでのやり取りが当たり前だった時代には、“ちょっとしたミス”が思わぬトラブルやクレームに発展してしまうケースが後を絶ちませんでした。

BtoB ECサイトを使えば、注文データや顧客情報が一元管理され、入力ミスや伝達ミス、発注忘れなど“人的ミス”の発生を大きく抑えることが可能です。さらに、発注フローや承認プロセスもシステムで標準化できるため、担当者が変わっても品質を保ちやすくなります。こうした小さなミスの削減が積み重なれば、関係部署や取引先との信頼関係強化にもつながります。

データを活用して分析できる

BtoB ECサイトのもう一つ大きな魅力は、「自動的に蓄積されるデータ」を活用できる点です。誰が、いつ、どの商品を、どれだけ注文したのか。どんな検索キーワードから商品情報にアクセスしたか。こうした取引データは、紙ベースやメール対応中心では把握しにくい情報です。

多くのBtoB ECサイトでは売上データや顧客属性、購入傾向などがリアルタイムで可視化でき、これをもとに営業や販促、在庫管理の施策立案に役立てる企業が急増しています。蓄積したデータを活用し、需要予測やリピート率向上の取り組みへの活用、ダイレクトマーケティングによる個別アプローチも可能になるなど、「攻めのビジネス」の先端を担う存在といえるでしょう。

新規顧客を獲得できる

従来のような人的ネットワークや紹介営業、展示会出展だけに頼るのではなく、Web上に自社商品やサービスを掲載することで、自分たちが想定していなかった新しい顧客層にも情報が届きやすくなります。

たとえば、Web検索経由からの問い合わせや、ECプラットフォームに登録したことでこれまで接点のなかった企業からの引き合いが増えたなど、こうした事例は少なくありません。新規リード創出や販路拡大を低コスト・短期間で実現できるのは、BtoB ECならではの強みになるでしょう。加えて、サイト上での情報発信や価値訴求に注力すれば、これまで未開拓だったニッチ市場や海外市場にもチャレンジしやすくなります。

BtoB ECサイトの課題

ところが、BtoB ECサイトは、導入すれば必ず成功するというわけではありません。現場での運用やビジネス成果を最大化する上では、さまざまな課題と向き合う必要があります。ここでは、多くの企業が実際に直面している主な課題について解説します。

基幹システムとの連携コストや不具合

BtoB ECサイト導入にあたり、間違いなく最大のハードルとなるのが“既存システムとの連携”です。営業管理や在庫管理、会計、物流といった多くの企業はすでに独自の基幹システムを構築・運用しています。ECサイト単体では成り立たず、リアルタイムで受発注データが基幹システムへ正確に連動しなければ、二重入力や在庫のズレ、請求ミスといった新たな混乱を招く可能性すらあります。

連携を実現するには、システム間の仕様調整やデータ変換、時にはAPI開発やカスタマイズも必要です。これらの開発・運用コストが想定以上に膨らみ、当初計画していた効果が得られなかった――そんな苦労話も珍しくありません。さらに、少しの仕様変更や外部システムのアップデートが“連携不具合”の原因となり、現場がパニックになるケースもよく耳にします。

それだけにBtoB EC構築の際は、現状のシステム環境や今後のIT戦略をしっかり見極め、段階的・計画的な連携設計を推進することが欠かせません。

社内の業務フロー改善

BtoB ECサイトは「入れれば終わり、すぐ使いこなせる」というものではありません。むしろ導入こそが、業務改革のはじまりだといえるでしょう。

実際、どれだけ便利なECサイトが用意されても、従業員一人一人が活用しなければ意味がありません。現場に根付いた独自のやり方、慣習化された業務フロー、紙やエクセル中心だった記録管理といった習慣に対して、そこにデジタルの仕組みを持ち込むことで、かえって混乱や反発が生じることも往々にしてあります。

多くの企業は、現状業務を分析し、ムダや非効率の“あるある”を洗い出しながら、ECの仕組みに合わせて業務プロセスそのものを再設計していく必要に迫られます。また、システムへの“慣れ”や“学び直し”をサポートする研修、マニュアル整備も欠かせません。部分最適になりがちな現場を、全社的な視点でどうつなぐか――DX時代の難しさがそこに現れています。

ECサイトの使い勝手の悪さ

最後に挙げたいのは、ECサイトそのものの使い勝手の悪さ、つまりUI/UXの課題です。

「見たい情報にすぐアクセスできない」「商品検索がしづらい」「スマホでは使えない」「必要な書類ダウンロードが面倒」といった不満は、BtoB ECサイトでも日常茶飯事です。使いにくいサイトは“現場離れ”を招き、むしろ注文が減ってしまったというケースもありまます。

特にBtoBの場合、取扱商品が数千~数万点に及ぶことも多く、選択肢が多ければ多いほど、導線設計や検索・絞り込み機能の完成度が問われます。また、リピート発注が前提なので、定期注文や過去履歴の利用、承認フロー設定など特有の機能が絶対不可欠です。ユーザー目線で「本当に使いやすいのか」を何度も検証し、継続的な改善を怠らない企業こそが、BtoB EC成功への切符を手にできるのです。

BtoB ECサイトの主な構築方法5選

さて、「自社もBtoB ECを始めたい!」と思い立った際、どんな方法で構築すべきか? 実はここにも大きな選択肢があります。IT部門の専門家に任せきりにせず、経営や現場担当者こそが“選び方・違い”を理解しておくことで、より確かな投資判断ができるはずです。

ここでは、代表的な5つの構築方法を紹介します。

ASP

ASP(Application Service Provider)型のECサイト構築は、「手軽さ・スピード感」を重視する企業にぴったりの選択です。インターネット経由でECシステムを“サービスとして”提供されるため、初期投資も比較的低く、サーバー管理やソフトウェア更新、セキュリティ対策などもほとんどベンダー側に任せられます。

機能テンプレートや運用サポートも充実しているため、ITリテラシーがあまり高くない中小企業でも導入・運用がしやすいのが特徴。短期間で自社のECサイトをオープンしたい場合や、まずは小規模から様子を見たい場合に最適です。ただし、カスタマイズ性や外部システム連携などには制限があるため、あとから「あれもこれも」と機能追加したくなったときは、物足りなさを感じることもあるでしょう。

パッケージ

より大規模、かつ自社の“業務そのもの”にECサイトを密着させたい場合には、「ECパッケージ型」が選ばれています。これはEC専用のパッケージソフト(製品)を購入し、そこに独自の要件やデザインを加えて導入していくスタイルです。

細やかなカスタマイズや基幹システム連携、特定業界向け機能など“現場のこだわり”を反映しやすいのが最大の強みです。その分、開発費や導入リードタイムはASPに比べてかなり大きくなりやすく、ITベンダーとの綿密な意思疎通や運用テストも重要になってきます。本格的なDX基盤として、長期利用を視野にECサイトを作りこみたい企業には、一考の価値がある方法です。

オープンソース

「とにかくコストを抑えつつ、自由度高く始めたい」という企業に注目されているのが“オープンソース型”です。WordPress(WooCommerce)やEC-CUBE、Magentoといった、無償公開されているECプラットフォームを自社内、あるいは外部パートナーとともにカスタマイズしながら構築します。

ライセンス費用がかからず、独自機能開発も理論上は無限大。ただし、構築・運用・障害対応まで「自力でやり切る力」が求められるため、IT人材の不足やセキュリティ面の不安があれば慎重に検討する必要があります。うまく使いこなせれば、低コストでも本格的なBtoB EC運用が実現可能ですが、それなりの専門ノウハウとセキュリティリスクやバグ対応といった継続的な体制の確保も必要です。

クラウドEC

近年特に注目を集めているのが、“クラウドEC”と呼ばれる構築方式です。これは前述のASP型よりもさらに柔軟で拡張性の高いサービスを、インターネット経由で利用できるのが最大の特徴です。必要な分だけリソースを増減できる「スケーラビリティ」のほか、機能・セキュリティの自動アップデートなど常に最新に保たれています。

クラウドECは大規模企業の基幹システム連携やBtoB特有の機能(個別価格・承認フロー・多段階決済など)にも強く、グローバル展開やIoT、AI活用など高度なビジネス連携を見据えている場合にも適応しやすい選択肢です。一方、サービスによってカスタマイズ範囲や料金形態はさまざまなので、事前の比較検討が欠かせません。今後ますます成長が期待される構築手法といえるでしょう。

フルスクラッチ開発

既存のパッケージやサービスを使わず、ゼロから完全にオリジナルでシステムを開発する方法です。BtoB向けのECサイトにおいては、業務プロセスや取引形態が企業ごとに大きく異なるため、「自社に最適化されたシステム」を実現できるのが最大の強みです。

例えば、複雑な見積もりフローや法人単位での価格設定、多段階の承認プロセスといったBtoB特有の機能も、業務にぴったり合った形で実装できます。また、既存の基幹システム(ERPや在庫管理など)と緊密に連携させたい場合にも、柔軟に対応可能です。

一方で、開発には時間とコストがかかり、保守・運用も自社または専任のベンダーに依存します。そのため、ITに関する十分な知見やリソースがある企業、または長期的な視点で独自の仕組みを強化したい企業に向いています。

あわせて読みたい!フルスクラッチの定義や費用、メリット・デメリットを解説

BtoB ECサイトの成功事例

BtoB ECの成功事例

BtoB ECの成功事例として、一般的な企業の取り組みをご紹介します。

大都|工具や資材のBtoB-EC「トラノテ」

2023年2月にBtoB-EC「トラノテ」を立ち上げ、好調に売上げを伸ばしています。

商品やサービスの需要に応じて自動で価格を変動させるダイナミックプライシングの仕組みを導入。市場価格や在庫状況をリアルタイムに分析し、競争力のある価格を維持できるように工夫しています。現場での急な資材調達、土日祝日の出荷、多様な決済方法や見積もりといった法人購買のニーズに対応している点も顧客満足度の向上につながりました。

使いやすさを追求したBtoB-EC「MISUMI(ミスミ)」

ミスミのBtoB-ECは、国内外のインダストリアル・オートメーション産業の事業者向けに、金型部品、工具、消耗品などを展開しています。国内外で33万社超の事業者が利用しており、豊富な商品バリエーションが特徴です。注目ポイントは、「商品の数が多すぎて探しづらい」といったデメリットをサイトの使いやすさによって解決しています。例えば、探している商品を瞬時に検索する「瞬索くん」と呼ばれる独自の検索システムを搭載、仕様詳細を追加表示し、類似商品との比較も簡単にできるなどUI・UXを向上させました。当日のスピーディーな出荷対応も大きな強みとなっています。

これらの成功事例からわかるように、BtoB ECの導入は、企業のビジネスモデルや顧客ニーズに最適な形で行うことが重要です。具体的な事例を参考にすることで、自社に適したEC戦略を検討し、実行に移すことが可能になります。BtoB ECの成功は、単なる取引のデジタル化に留まらず、企業の競争力を高める新たな可能性を秘めています。

まとめ

BtoB ECの導入を通じて、競争の激しい市場での差別化を図り、業務効率アップと新規顧客獲得につなげることがいかに重要かご理解いただけたでしょう。

BtoB ECサイトの導入のメリットは、企業間の取引を効率化し、人的ミスを減らし、データ活用による分析を可能にするなど、多く挙げることができます。しかし、実際に導入する際には、基幹システムとの連携や社内の業務フロー改善に大きな課題があります。

これらの課題を乗り越えるためには、まず自社のビジネスニーズに合ったECサイトの構築方法を選択し、継続的な改善を行う必要があります。株式会社ゼネラルアサヒはECサイトにおける困り感やお悩みをヒアリングし、最適なソリューションをご提案できます。

ぜひお気軽にご相談ください。

他にもこんな記事も読まれています
Contact Us

First
Call
Partners

案件のご相談はこちらから

お仕事や当社のサービスに関するご質問・ご相談がありましたらお気軽にお問い合わせください。

メールでのお問い合わせ
お問い合わせ
お電話でのお問い合わせ

受付時間:9:00~17:00(土日/祝日除く)
窓口:瓜生(ウリュウ)