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クロスセルは、顧客との関係を深めながら売上やLTV(生涯顧客価値)を向上させられる手法として活用できます。本記事では、クロスセルの基本からメリット・デメリット、実施方法や成功ポイントまでを解説します。

クロスセルとは

クロスセルとは

既に商品やサービスを購入している顧客に対して、その商品と関連性の高い別の商品やサービスを追加で提案・販売するマーケティング手法です。

クロスセルの目的は、一人の顧客から得られる売上を最大化することにあります。顧客が既に信頼関係を築いているブランドから、新たなニーズを満たす商品を提案されることで、Win-Winの関係を構築できるのが特徴です。

クロスセルの具体例:

  • 化粧品購入者に化粧ポーチを提案
  • 美容液購入者にシートマスクを提案
  • 園芸用品を購入した顧客に、植木鉢や肥料、スコップなどを勧める
  • 季節ごとの商品展開で、夏には日焼け止めと虫除け、冬には暖房器具と防寒グッズを一緒に提案する

似た概念として「アップセル」がありますが、これは同じ商品カテゴリでより高額・高機能な商品への乗り換えを提案する手法です。クロスセルは横展開、アップセルは縦展開と覚えると理解しやすいでしょう。

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クロスセルのメリット

クロスセルのメリット・デメリット

クロスセル戦略を導入することで、企業にはどのような具体的なメリットがあるのでしょうか。ここでは、特に重要な3つのメリットについて詳しく解説します。

メリット1.顧客単価が上がる

クロスセルを活用すると、顧客単価(客単価)を効率的に向上させることができます。既存顧客が追加で商品・サービスを購入することで、一回の取引における売上が自然と増加します。新規顧客の開拓には多大な時間とコストがかかりますが、クロスセルなら低コストで売上を伸ばせるのが大きな強みです。実際に、適切なクロスセル戦略を実施している企業では、既存顧客の客単価が平均的に向上している傾向が見られます。

メリット2.LTV(顧客生涯価値)が向上する

LTV(顧客生涯価値)とは、1人の顧客が企業との取引を続ける中で支払う金額の合計を指します。クロスセルによって、顧客に関連性の高い商品を継続して提案することができます。そうすると、購入回数が増えたり、企業との関係が深まったりします。その結果、LTVが高まり、長期的な収益の安定と企業成長につながります。

メリット3.単体だと販売が難しい商品の訴求ができる

クロスセルを活用することで、主力商品の販売力を活かして、単独ではなかなか売上が伸びない商品も効果的にアピールできます。例えば、特定のサプリメントは単品では手に取ってもらいにくい場合でも、人気の健康ドリンクと一緒にセットで提案することで、関連商品としてお客様の関心を引きやすくなります。このように、新商品や知名度が低い商品、利益率が高いものの購入の後押しがしにくい商品も、主力商品と組み合わせて提案することで、売れる可能性が大きく広がります。

クロスセルのデメリット

デメリット1. 押し売り感が出やすい

「顧客が望んでいない商品」を薦めた瞬間に、押し売り感へと変わります。特に、購買意欲が満たされている段階で無関係な提案をすると、お客様は「この会社は売ることだけを考えている」と感じてしまいます。押し売り感を避けるには、提案する商品に購入理由が自然に結びつくストーリー性が必要です。クロスセルは、顧客が自ら選択していると感じられるアプローチでなければ、長期的な関係を壊すリスクがあります。

デメリット2. 既存の顧客が離れる可能性がある

クロスセルは既存顧客との関係を強化できる反面、やり方を誤ると離脱の原因になります。特に、頻繁すぎる提案や、購入履歴を無視したニーズに合わないものをすすめた場合、「「私のことを理解してくれていない」と感じさせます。顧客ごとに適切な頻度を見極めるパーソナライズと、反応のない顧客に対する提案停止ルールの設定が有効です。

クロスセルの手順

クロスセルの手順

ステップ1. 既存顧客のデータを整理・分析する

クロスセルの精度はデータ分析の質で決まります。

購入履歴・閲覧履歴・顧客属性(年齢、地域、使用端末など)・問い合わせ内容

これらを収集し、顧客をセグメント化します。ツールとしては、CRMやMA(マーケティングオートメーション)の活用が効果的です。重要なのは「何を買ったか」だけでなく、「何と一緒に買われやすいか」「購入サイクルはどうなっているか」という関連性・タイミングの分析を行うことです。

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ステップ2. 関連する商品やサービスを選定する

選定の基準は2つ。「用途を補完し合う」ことと「顧客が気づいていないニーズを満たす」ことです。要は、単純に利益率の高い商品を提案するのではなく、顧客にとって本当に価値のある商品を選ぶことが重要です。データ分析の結果を基に、各顧客セグメントに適した提案商品を選定します。

ステップ3. 戦略設計

クロスセルの成功は「誰に・何を・いつ・どこで・どうやって」提案するかで決まります。顧客との接点やタイミング、提案方法などを詳細に計画することで、成功確率を高めることができます。

戦略設計の要素:

ターゲット顧客:誰に提案するか

提案商品:何を提案するか

タイミング:いつ提案するか

チャネル:どの方法で提案するか(メール、電話、Webサイトなど)

メッセージ:どのように価値を伝えるか

特典・インセンティブ:どのような魅力を付加するか

ステップ4. クロスセル施策を実行する

導入時は、提案内容を顧客が自然に受け入れられるよう、「商品の魅力」と「組み合わせによる付加価値」を明確に見せるコピーやビジュアルを用意します。単なる「おすすめ」ではなく、「一緒に使うことでこんな効果がある」という未来像を提示すると、購入意欲が高まります。

ステップ5. 効果検証をして改善につなげる

提案のクリック率、購入率、平均客単価などのKPIを設定し、結果を定期的に分析します。反応の薄い提案は商品やタイミング、チャネルを変更し改善します。また、一度きりではなく小さなABテストを繰り返す運用型アプローチが継続的な成果につながります。

クロスセルを成功に導くポイント

顧客情報を収集する

前述した通り、効果的なクロスセルは「誰に」「何を」「いつ」提案するかが明確であることが前提です。そのために必要なのが顧客データの収集と統合です。購入履歴だけでなく、顧客の潜在的なニーズ、悩み、将来の展望を徹底的に理解することが、効果的なクロスセル提案の基礎となります。

閲覧履歴・カート放棄・問い合わせ内容・レビューやアンケートの回答などをCRMやMAで一元管理し、セグメントごとに傾向を把握しましょう。実務では、「最後に買った商品」「購入頻度」「平均購入金額」「閲覧カテゴリ」を軸にセグメント化すると、自然で受け入れられやすい提案が作りやすくなるでしょう。

クロスセルのタイミングを見極める

提案のタイミングが悪ければ、良い商品でも拒否されます。顧客が最も提案を受け入れやすい瞬間を逃さないことが、成功確率を大きく高めます。

効果が高いタイミングの例は次のとおりです

  • 購入直後(サンクスページや購入確認メール)
  • 商品到着後のフォロー(使用開始のタイミング)
  • カート投入直前や決済画面での補完提案

チャネル別に最適化することも重要です。メールなら購入後数日、サイト内ならレコメンドの表示位置、店舗なら会計時のトークスクリプトをA/Bテストして最も反応が良いタイミングを見つけましょう。

無理な営業はしない

クロスセルは「提案」であって「押し売り」ではありません。提案頻度を管理し、反応のない顧客には一定期間提案を止めるルールを設けておきましょう。

文面やビジュアルも「価値提供」を前提に作ります。

例:「一緒に使うと効果が高まる」「定期利用で〇%オフ」

顧客が簡単に断れるUI(ワンクリックで非表示、オプトアウト)といった逃げ道を用意するとブランド信頼が保てます。

失敗例

<実施した健康食品会社A社のクロスセル施策>

サプリの定期購入顧客を増やすための施策。クライアント共に定期顧客は企業ロイヤリティも高いため他社で購入している青汁やブルーベリー、マルチビタミンなど一般的なサプリは、価格訴求で乗り換えも多いのではという予測を立て実施。競合他社からの顧客獲得を狙い、「2商品目以降は全て半額以下」という大幅割引キャンペーンを展開しました。

価格設定例:

• 1商品目:通常価格

• 2商品目以降:50%オフ以上の特別価格

なぜ失敗したのか?

結果として、売上向上にはつながりませんでした。

その要因は以下の通りです:

❌ 顧客セグメントの分析不足

• 既存顧客の購買パターンを十分に分析していなかった

• どの顧客層がクロスセルに反応しやすいかを把握していなかった

❌ 適切なターゲティングの欠如

• 全顧客に一律でアプローチしてしまった

• 顧客の健康への関心度や購買履歴を考慮しなかった

学んだ教訓

価格インセンティブだけでは、効果的なクロスセルは実現できません。顧客理解に基づいたセグメント戦略が成功のカギとなることが明確になりました。

まとめ

クロスセルは、顧客にとって価値ある提案を適切なタイミングで行えば、短期の売上増だけでなくLTV向上にも寄与します。一方で、データの整備・タイミング設計・提案の頻度管理を怠ると反発を招くリスクもあります。まずは小さなセグメントでテストを繰り返し、成功モデルを横展開することが近道です。

もし現在のクロスセル施策の改善点や、実行プランの作成にお困りでしたら、ゼネラルアサヒにお任せください。現状の流れやデータを教えていただければ、優先すべき改善案と具体的な施策案(メール文例、UI案、KPI設計)を作成してさまざまなご提案をいたします。お気軽にご相談ください。

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