ECモールでの販売は集客力が魅力的ですが、手数料の高さに悩まされている事業者様も多いのではないでしょうか。楽天市場やAmazonなどの大手モールでは、販売手数料や決済手数料、広告費などを合わせると売上の20〜30%が手数料として消えていくケースも珍しくありません。
しかし、自社ECへの移行は「売上が下がるのでは?」「集客ができるか不安」といった懸念から、なかなか踏み切れないのが現実です。でも実は、適切な戦略と段階的な移行プランを立てることで、売上を維持しながらモール手数料を削減し、利益率を大幅に改善することも夢ではありません。
本記事では、ECモールから自社ECへの移行を検討している事業者様に向けて、具体的な手数料削減効果のシミュレーション、失敗を避けるための対策、段階的な移行プラン、そして移行後も売上を維持・向上させるための実践的なノウハウをご紹介します。
モール手数料と自社ECのコスト比較シミュレーション

ECモールの手数料は、一見すると「売上の数パーセント」という形で提示されることが多いですが、実際にはさまざまな費用が積み重なり、トータルコストは想像以上に高額になることがあります。ここでは、具体的な数値を用いて、モール手数料と自社ECのコスト差を詳しく見ていきましょう。
主要ECモールの手数料体系
まず、代表的なECモールの手数料体系を整理します。楽天市場の場合、基本的な販売手数料は3.5〜7.0%(がんばれ!プランの場合)ですが、これに加えて月額利用料、決済手数料、システム利用料、アフィリエイト手数料などが発生します。
Amazonの場合は、販売手数料が8〜15%(カテゴリーによって異なる)、月額利用料(4,900円/月)または販売手数料に加えて成約料(商品1点あたり100円など)が必要です。さらに、FBAを利用する場合は保管手数料や配送代行手数料も加算されます。
Yahoo!ショッピングは初期費用・月額費用が無料という特徴がありますが、販売手数料として売上の2.5%〜16.5%(ストアポイント原資負担、キャンペーン原資負担、アフィリエイトパートナー報酬原資、アフィリエイト手数料を含む)が必要となります。
月商500万円のショップでの具体的なコスト比較
それでは、月商500万円のアパレルショップを例に、実際のコストを計算してみましょう。
楽天市場の場合(がんばれ!プラン・客単価10,000円を想定):
- 月額利用料:25,000円(※年間一括払)
- システム利用料(パソコン)(6.2%):63,875円
システム利用料(モバイル)(6.2%):246,000円
楽天ポイント(1.0%):50,000円
- 決済手数料(3.0%):150,000円
- アフィリエイト手数料(2.0%):15,000円
※売上の15%がアフィリエイト経由の購入の場合を想定
- 月間合計コスト:597,375円(売上の11.95%)
Amazonの場合(大口出品):
- 月額利用料:4,900円
- 販売手数料(アパレル・商品1点あたりの売上の合計が2,500円を超え、3,000円以下の場合は商品代金の12%):600,000円
- 月間合計コスト:604,900円(売上の12.10%)
自社ECの場合(Shopifyベーシックプラン):
- 月額利用料:3,650円
- 決済手数料(3.55%):177,500円
- 月間合計コスト:181,150円(売上の3.62%)
※本試算は概算での一例であり、別途手数料やジャンルやプラン・キャンペーン等により変動します。
詳しくは各公式HPをご確認ください。
楽天市場:https://www.rakuten.co.jp/ec/plan/
Amazon:https://sell.amazon.co.jp/pricingShopify:https://www.shopify.com/jp/pricing
この比較から分かるように、楽天市場では月間約41万円、Amazonでは月間約42万円のコスト削減が可能です。年間に換算すると、楽天市場からの移行で約492万円、Amazonからの移行で約504万円の手数料削減効果が期待できます。
隠れたコストも含めた総合的な比較
上記の基本的な手数料以外にも、ECモールでは以下のような追加コストが発生することがあります:
1. 広告費用:モール内での露出を高めるための広告費(月間売上の5〜10%程度)
2. 販促費用:セールやキャンペーン参加時の値引き原資
3. ポイント原資:モール独自のポイント制度への負担
4. オプション機能利用料:メール配信、分析ツールなどの追加機能
これらを含めると、実質的なモール利用コストは売上の15〜30%に達することも珍しくありません。一方、自社ECでは、これらの費用を自社でコントロールでき、効率的な投資が可能になります。
投資回収期間の試算
自社EC構築には初期投資が必要ですが、手数料削減効果により比較的短期間で回収可能です。
初期投資例(中規模ECサイト):
- サイト構築費用:100〜300万円
- 決済システム導入:10〜30万円
- 初期マーケティング費用:50〜100万円
- 合計:160〜430万円
月間41万円の手数料削減効果がある場合、約4〜10ヶ月で初期投資を回収できる計算になります。さらに、自社ECでは顧客データを自由に活用でき、リピート率向上やLTV(顧客生涯価値)の最大化にも取り組めるため、中長期的な収益性向上が期待できます。
自社EC移行で失敗する5つのパターンと対策

自社ECへの移行は大きなメリットがある一方で、準備不足や戦略ミスにより失敗するケースも少なくありません。ここでは、よくある失敗パターンとその対策について詳しく解説します。
失敗パターン1:集客力の急激な低下
ECモール最大の魅力は、その圧倒的な集客力です。楽天市場やAmazonには毎日数百万人のユーザーが訪れ、検索結果に表示されるだけで一定の露出が確保できます。しかし、自社ECではこの集客を自力で行う必要があり、準備不足のまま移行すると売上が激減するリスクがあります。
対策として重要なのは、移行前から自社ECへの集客チャネルを構築しておくことです。具体的には以下のような施策が効果的です:
1. SEO対策の強化:商品ページやコンテンツの最適化により、Google検索からの流入を増やす
2. SNSアカウントの育成:Instagram、Twitter、TikTokなどで日常的に情報発信し、フォロワーを増やす
3. メールリストの構築:モール購入者から許諾を得てメールアドレスを収集し、定期的な情報配信を行う
4. コンテンツマーケティング:ブログやYouTubeで役立つ情報を発信し、潜在顧客との接点を作る
これらの施策は時間がかかるため、自社EC移行の6ヶ月〜1年前から着手することが理想的です。
失敗パターン2:ブランド認知度不足による信頼性の欠如
大手ECモールには「楽天だから安心」「Amazonなら返品も簡単」といったプラットフォームへの信頼があります。無名の自社ECサイトでは、この信頼を一から構築する必要があり、初回購入のハードルが高くなりがちです。
信頼性向上のための具体的な施策:
1. SSL証明書の導入と表示:セキュアな通信環境をアピール
2. 特定商取引法に基づく表記の充実:会社情報を詳しく記載
3. カスタマーレビューの活用:購入者の声を積極的に掲載
4. 返品・返金ポリシーの明確化:モール以上に充実した保証を提供
5. 実績や受賞歴の掲載:メディア掲載情報なども活用
また、初回購入者向けの特典(送料無料、返品保証、お試し価格など)を用意することで、購入ハードルを下げることも効果的です。
失敗パターン3:運用体制の準備不足
ECモールでは、受注管理や顧客対応の多くがプラットフォーム側でサポートされています。自社ECでは、これらすべてを自社で対応する必要があり、体制が整っていないと顧客満足度の低下につながります。
必要な運用体制の整備:
1. カスタマーサポート体制:電話、メール、チャットなどの問い合わせ対応
2. 受注・配送管理システム:効率的な業務フローの構築
3. 在庫管理の仕組み:リアルタイムでの在庫連携
4. 決済トラブル対応:クレジットカード決済エラーなどへの対処
5. システム保守・更新体制:定期的なメンテナンスとアップデート
特に重要なのは、スタッフの教育です。モール運用とは異なるスキルが求められるため、事前の研修や外部専門家のサポートを検討することも必要です。
失敗パターン4:価格競争力の低下
ECモールでは、同じ商品を扱う複数のショップが価格で競争することが一般的です。自社ECに移行すると、この価格比較から外れるため、「もっと安いところがあるのでは?」と思われやすくなります。
価格以外の価値提供による差別化:
1. 限定商品・先行販売:自社ECでしか買えない特別感を演出
2. 充実したアフターサービス:購入後のサポートを手厚くする
3. ポイント制度の導入:実質的な割引と顧客囲い込み
4. セット販売・まとめ買い特典:客単価向上と同時に価値提供
5. 会員限定サービス:メンバーシップ制度による特別感の演出
価格だけでなく、総合的な顧客体験で勝負することが、自社EC成功の鍵となります。
失敗パターン5:マーケティング戦略の欠如
モールでは、プラットフォーム内の検索最適化や広告出稿がマーケティングの中心でした。自社ECでは、より幅広いマーケティング施策が必要となり、戦略なしに進めると効果的な集客ができません。
効果的なマーケティング戦略の構築には、データに基づいた施策が重要です。私たちが支援した自社ECの事例では、AI(機械学習)を用いたレコメンドエンジンを導入することで、大きな成果を上げることができました。
この事例では、標準機能では実現できなかったユーザーごとの動的な商品推薦を、外部のレコメンドサービスと連携することで実現しました。閲覧ページごとに最適な相関(閲覧履歴相関、閲覧購買相関、同時購買相関など)を切り替えてレコメンド表示することで、導入前と比較してCV(コンバージョン)が40%増加し、客単価も向上しました。さらに、手動での商品選定作業が不要になり、運用効率も大幅に改善された好例になります。
その他の重要なマーケティング施策:
1. Google広告・Facebook広告の活用:ターゲティング精度の高い広告配信
2. インフルエンサーマーケティング:商品に合った発信者との協業
3. アフィリエイト広告:成果報酬型で低リスクな集客
4. リターゲティング広告:サイト訪問者への再アプローチ
5. LINEやアプリを活用したCRM:顧客との継続的な関係構築
これらの施策を組み合わせることで、モール依存から脱却し、独自の集客基盤を構築することが可能になります。
段階的移行プラン(併売期間の設計)

自社ECへの移行を成功させるためには、いきなりモールから撤退するのではなく、段階的な移行プランを立てることが重要です。ここでは、リスクを最小限に抑えながら着実に移行を進める方法について詳しく解説します。
フェーズ1:準備期間(3〜6ヶ月)
移行の第一歩は、しっかりとした準備期間を設けることです。この期間中は、モールでの販売を継続しながら、自社ECの基盤を整えていきます。
準備期間に行うべき主な作業:
1. 自社ECサイトの構築
- プラットフォーム選定(Shopify、EC-CUBE、MakeShopなど)
- デザイン制作とユーザビリティの検証
- 決済システムの導入とテスト
- 配送システムの構築
2. 商品データの整備
- 商品情報の統一化とデータベース構築
- 高品質な商品画像の準備
- SEOを意識した商品説明文の作成
- カテゴリー構造の最適化
3. 顧客データの分析と整理
- モールでの購買データ分析
- 優良顧客の特定とセグメント化
- メールアドレスなどの連絡先情報の整理
- 顧客の購買パターン分析
4. 運用体制の構築
- スタッフの採用と教育
- 業務フローの設計と文書化
- カスタマーサポート体制の確立
- 在庫管理システムとの連携
フェーズ2:並行運用期間(6〜12ヶ月)
自社ECサイトがオープンしたら、モールと並行して運用する期間を設けます。この期間は、自社ECの認知度を高めながら、運用の改善を重ねる重要な時期です。
並行運用期間の戦略的施策:
1. 価格・サービスの差別化
- 自社EC限定商品の投入
- 会員限定価格の設定
- ポイント還元率の優遇
- 送料無料基準の引き下げ
2. 顧客誘導施策
- モール購入者へのチラシ同梱
- メールマガジンでの自社EC案内
- SNSでの自社EC限定情報発信
- LINE公式アカウントへの誘導
3. データ収集と分析
- 両チャネルの売上推移分析
- 顧客の移行率測定
- 広告効果の検証
- 問い合わせ内容の分析
4. 継続的な改善
- ユーザビリティの向上
- ページ表示速度の最適化
- 決済フローの簡素化
- モバイル対応の強化
フェーズ3:比重移行期間(3〜6ヶ月)
並行運用で自社ECが軌道に乗ってきたら、徐々に重心を自社ECに移していきます。この期間は、モールの依存度を計画的に下げていく重要なフェーズです。
比重移行期間の具体的アクション:
1. 在庫配分の調整
- 人気商品の在庫を自社EC優先に
- 新商品の先行販売を自社ECで実施
- モールでの在庫を段階的に削減
- 品切れリスクの管理強化
2. 広告予算の再配分
- モール内広告の段階的削減
- Google広告・SNS広告への投資増加
- コンテンツマーケティングの強化
- インフルエンサー施策の実施
3. 価格戦略の調整
- モールでの価格を段階的に引き上げ
- 自社ECでの特別価格を強化
- まとめ買い割引の充実
- 会員ランク制度の導入
4. カスタマーサポートの強化
- 自社EC専用のサポート窓口設置
- チャットボットの導入
- FAQ・ヘルプページの充実
- 返品・交換ポリシーの改善
フェーズ4:移行完了期(1〜3ヶ月)
自社ECの売上が安定し、運用体制も確立したら、最終的な移行を実施します。ただし、完全撤退するかどうかは慎重に判断する必要があります。
移行完了期の重要な判断ポイント:
1. 売上構成比の確認
- 自社EC売上が全体の70%以上
- モール依存度が許容範囲内
- 新規顧客獲得の安定性
- リピート率の維持・向上
2. 収益性の評価
- 利益率の改善効果
- 広告費用対効果の比較
- 運用コストの最適化
- 投資回収の進捗
3. 将来戦略の策定
- 完全撤退 vs 最小限維持の判断
- 新規チャネル開拓の検討
- 海外展開の可能性
- オムニチャネル戦略の構築
併売期間中の注意点
段階的移行を成功させるためには、以下の点に特に注意が必要です:
1. 在庫管理の徹底
- リアルタイムでの在庫同期
- 過剰在庫・欠品の防止
- 複数チャネル間の在庫配分最適化
2. 価格の一貫性
- チャネル間の価格差の説明
- 顧客への明確な価値提供
- 不当な二重価格の回避
3. ブランドイメージの統一
- デザインの一貫性維持
- メッセージの統一化
- 顧客体験の標準化
4. 法的リスクの管理
- モール規約の遵守
- 顧客情報の適切な取り扱い
- 独占禁止法への配慮
段階的な移行により、リスクを分散しながら着実に自社ECを成長させることができます。各フェーズで得られたデータと経験を次のフェーズに活かすことで、成功確率を大幅に高めることが可能です。
モール顧客を自社ECに誘導する実践テクニック

モールで獲得した顧客を自社ECに誘導することは、移行成功の鍵となります。しかし、モールの規約違反にならないよう注意しながら、効果的に誘導する必要があります。ここでは、実践的なテクニックと注意点について詳しく解説します。
商品同梱物を活用した誘導施策
商品発送時の同梱物は、顧客との重要な接点です。モールの規約に違反しない範囲で、効果的に自社ECへ誘導する方法を紹介します。
1. ブランドストーリーを伝えるリーフレット
- 商品開発の背景や想い
- 品質へのこだわり
- 社会貢献活動の紹介
- 自社ECのURLを自然に記載
2. 次回購入用クーポンの工夫
- QRコードでの自社EC誘導
- 限定特典の案内
- メルマガ登録への誘導
- LINE友だち登録の促進
3. 商品の使い方ガイド
- より詳しい情報は自社サイトで
- 動画コンテンツへの誘導
- レシピや活用方法の紹介
- カスタマーサポートの案内
4. アンケートはがきの活用
- 回答特典として自社EC割引
- 顧客の声を収集
- メールアドレスの取得
- 今後の商品開発への参加案内
SNSとコンテンツマーケティングの活用
SNSやブログなどのオウンドメディアは、モールの制約を受けずに顧客とコミュニケーションできる貴重なチャネルです。
効果的なSNS活用方法:
1. Instagram
- 商品の魅力的な写真投稿
- ストーリーズでの限定情報
- IGTVでの使い方動画
- ショッピング機能の活用
2. Twitter
- リアルタイムな情報発信
- カスタマーサポート
- キャンペーン情報の拡散
- フォロワー限定企画
3. YouTube
- 商品レビュー動画
- 使い方チュートリアル
- 開発者インタビュー
- ライブ配信での交流
4. TikTok
- 商品を使った面白コンテンツ
- トレンドを活用した拡散
- 若年層への訴求
- インフルエンサーコラボ
LINEを活用した顧客接点の強化
日本では特に普及率の高いLINEは、顧客との距離を縮める効果的なツールです。
LINE活用の具体的施策:
1. 友だち登録の促進
- 登録特典の設定
- QRコードの活用
- 店頭での案内強化
- 既存顧客への案内
2. リッチメニューの最適化
- 自社ECへの導線設計
- お得情報へのアクセス
- 会員証機能の実装
- お問い合わせ窓口
3. メッセージ配信戦略
- 新商品情報の先行案内
- 限定セールの告知
- 1対1トークでの接客
- アンケート実施
モール規約を守りながらの誘導テクニック
各モールには外部誘導に関する厳格な規約があり、違反すると出店停止などのペナルティを受ける可能性があります。必ず最新の規約を確認し、必要に応じて事前申請や承認を得てください。
規約遵守のポイント:
1. 直接的な誘導文言を避ける
- 「詳しくは公式サイトで」ではなく「ブランドについて」(外部サイトへの誘導は原則禁止、外部リンク申請が必要な場合有)
- 価格比較や優位性の主張を避ける
- 自然な形でのURL記載
2. ブランディング重視のアプローチ
- 企業理念や社会貢献活動の紹介
- 商品開発ストーリー
- お客様の声や活用事例
- アフターサポートの充実度
3. 付加価値サービスでの差別化
- ギフトラッピングサービス
- のし対応
- メッセージカード
- 特別な梱包
4. 顧客サポートを通じた信頼構築
- 丁寧な問い合わせ対応
- 商品の詳しい説明
- 使い方のアドバイス
- アフターフォローの充実
モール顧客を自社ECに誘導する際は、強引な誘導ではなく、顧客にとっての価値を提供することが重要です。自社ECでしか得られない特別な体験や情報を用意し、自然に移行してもらえる環境を整えることが、長期的な成功につながります。
移行後の売上維持・向上させる仕組み作り

自社ECへの移行が完了した後も、継続的に売上を維持・向上させていく仕組み作りが重要です。モールに依存していた集客力を自社で補い、さらに成長させていくための具体的な施策について解説します。
リピート購入を促進する仕組みの構築
自社ECの大きな強みは、顧客データを自由に活用できることです。このデータを活用して、効果的なリピート促進施策を実施しましょう。
1. 会員ランク制度の導入
- 購入金額に応じたランク設定
- ランク別の特典設計
- 限定商品へのアクセス権
- 優先的なカスタマーサポート
2. サブスクリプション(定期購入)の提案
- 定期購入割引の設定
- お届けサイクルの柔軟な変更
- スキップ・休止機能の実装
- 定期購入者限定特典
3. ポイント・マイレージプログラム
- 購入金額に応じたポイント付与
- 誕生日ポイントなどの特別付与
- ポイント有効期限の設定
- ポイント交換商品の充実
4. パーソナライズされた商品提案
- 購買履歴に基づくレコメンド
- 閲覧履歴からの提案
- 季節や時期に応じた提案
- AIを活用した精度向上
新規顧客獲得のためのマーケティング強化
モールからの流入がなくなった分、自社での新規顧客獲得が重要になります。多様なチャネルを活用した集客施策を展開しましょう。
1. SEO対策の徹底
- 商品ページの最適化
- コンテンツSEOの実施
- 構造化データの実装
- ページ表示速度の改善
2. リスティング広告の最適化
- Google広告の運用
- ショッピング広告の活用
- 動的リマーケティング
- 検索クエリの分析と改善
3. SNS広告の活用
- Facebook/Instagram広告
- Twitter広告
- TikTok広告
- Pinterest広告
4. アフィリエイト・インフルエンサー施策
- ASPとの提携
- インフルエンサーとのコラボ
- アンバサダー制度の構築
- UGC(ユーザー生成コンテンツ)の活用
顧客満足度を高めるカスタマーエクスペリエンス
自社ECでは、独自の顧客体験を設計できます。モール以上の満足度を提供することで、競争優位性を確立しましょう。
1. スムーズな購買体験の提供
- 直感的なサイトナビゲーション
- 高速なページ読み込み
- 簡単な会員登録プロセス
- ワンクリック購入の実装
2. 豊富な決済手段の提供
- クレジットカード各種
- コンビニ決済
- 後払い決済
- スマホ決済(PayPay、LINE Payなど)
3. 柔軟な配送オプション
- 配送日時指定
- 置き配対応
- コンビニ受取
- 営業所止め
4. 充実したカスタマーサポート
- チャットボットでの即時対応
- 電話・メールサポート
- FAQ・ヘルプの充実
- 動画での使い方説明
データ分析による継続的な改善
自社ECの大きなメリットは、詳細なデータ分析が可能なことです。このデータを活用して、継続的な改善を行いましょう。
1. Google Analyticsの活用
- ユーザー行動の分析
- コンバージョン経路の把握
- 離脱ポイントの特定
- A/Bテストの実施
2. ヒートマップツールの導入
- クリック位置の可視化
- スクロール率の確認
- フォーム離脱の分析
- UIの最適化
3. 顧客満足度調査
- NPS(Net Promoter Score)の測定
- 購入後アンケート
- 定期的な満足度調査
- 改善要望の収集
4. 売上データの詳細分析
- 商品別の売上推移
- 顧客セグメント別分析
- 季節性の把握
- 価格弾力性の分析
長期的な成長戦略の立案
自社ECを持続的に成長させるためには、中長期的な戦略が必要です。市場環境の変化に対応しながら、新たな成長機会を探りましょう。
1. オムニチャネル戦略
- 実店舗との連携
- ポップアップストアの展開
- ショールーミング対応
- 在庫の一元管理
2. 商品ラインナップの拡充
- PB(プライベートブランド)開発
- 他社商品のセレクト販売
- コラボレーション商品
- 限定商品の企画
3. 国際展開の検討
- 越境ECの準備
- 多言語対応
- 海外決済手段の導入
- 国際配送体制の構築
4. テクノロジーの活用
- AR/VRでの商品体験
- AIチャットボットの高度化
- 音声ショッピング対応
- ブロックチェーン活用
自社ECへの移行は、単なるプラットフォームの変更ではなく、ビジネスモデルの転換です。顧客との直接的な関係を構築し、データを活用した改善を継続することで、モール依存から脱却した持続可能な成長を実現できます。
最も重要なのは、顧客中心の考え方を持ち続けることです。自社ECだからこそできる、きめ細やかなサービスと独自の価値提供により、顧客から選ばれ続けるECサイトを目指していきましょう。
まとめ
ECモールから自社ECへの移行は、手数料削減による利益率改善だけでなく、顧客との直接的な関係構築やデータ活用の自由度向上など、多くのメリットをもたらします。本記事で紹介した具体的なシミュレーションでは、月商500万円規模で年間300〜500万円もの手数料削減が可能であることがわかりました。
成功への鍵は、段階的な移行プランの実行です。準備期間をしっかりと設け、並行運用期間で運用ノウハウを蓄積し、徐々に自社ECへ比重を移していくことで、リスクを最小限に抑えることができます。また、失敗パターンを理解し、事前に対策を講じることも重要です。
移行後は、モールに頼らない独自の集客施策と、顧客満足度を高める仕組み作りが必要になります。SEO対策、SNSマーケティング、メールマーケティングなどを組み合わせた総合的なアプローチにより、持続的な成長を実現できるでしょう。
自社ECへの移行は確かに大きな挑戦ですが、適切な戦略と着実な実行により、より収益性の高い、顧客との強い絆を持ったビジネスへと進化することができます。
もし自社ECへの移行についてより詳しい情報をお求めの場合は、ぜひ当社のECサイト構築・運用の実績ページをご覧ください。100社以上のEC事業者様との取引実績と、35,000件以上の制作実績を持つ私たちが、貴社の状況に最適な移行プランをご提案いたします。
ECモールから自社ECへの移行は、今後のEC事業の成長にとって避けては通れない道かもしれません。この記事が、その第一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。具体的なご相談やお見積もりをご希望の方は、お問い合わせページよりお気軽にご連絡ください。
