「ECサイトを始めたいけれど、まずはモールに出店するのがいいと聞いた」「Amazonや楽天市場に出せば本当に売れるのだろうか?」
そう思いながらも、モール型ECについて詳しく理解できていない方は多いのではないでしょうか。
この記事では、代表的なモールの種類や特徴を紹介し、モールECを始める際に知っておくべきメリット・デメリットを詳しく解説していきます。
実際に出店して終わりではなく、成果を上げるために欠かせない運営のポイントや、成功事例に共通する戦略についても触れています。モール型ECサイトの全体像を体系的に理解し、自社にとって最適な活用法を見つけていきましょう。
モール型ECサイトとは?
モール型ECサイトとは、複数の事業者が1つのプラットフォーム上に出店し、商品を販売できるオンラインモールのことを指します。実店舗でいえばショッピングモールに近い存在で、「ECモール」とも呼ばれます。
1つのECモールに多様なショップが並ぶため、消費者は1つの場所で複数の商品を比較・購入できる利便性があります。また、出店者にとっては、すでに多くの集客力を持つプラットフォームに参加することで、販売の機会を得やすくなる点が魅力です。
自社ECとの違い
ECには「自社ECサイト」と「モール型ECサイト」の2種類があり、それぞれに特徴と戦略が異なります。
- 自社EC
自社で構築・運用するオンラインショップ。ブランド独自の世界観や機能を自由に設計できますが、ゼロから集客や運営を行う必要があり、初期投資やノウハウが求められます。
- モール型EC
モール運営会社が用意したプラットフォームに出店し、すでに存在する集客導線を活用できるため、スタートが比較的容易です。一方で、出店手数料や制約、競合との価格競争に注意が必要です。
ECモールの種類

モール型ECサイトには、主に「テナント型」と「マーケットプレイス型」という2つの運営スタイルがあります。それぞれの仕組みや出店者の役割、運用方法に違いがあり、自社の商品や戦略に合わせて選ぶことが重要です。
テナント型ECモール
例)楽天市場やau PAYマーケットなど
リアルなショッピングモールにおけるテナント出店とよく似た構造を持っています。モールという大きな施設(=プラットフォーム)の中に、出店者ごとに専用の「店舗ページ」が与えられ、その中で自社の商品を販売していく形です。
出店者は、自社のショップページを一定の範囲でカスタマイズできるため、ブランディングを意識したデザイン設計が可能です。ただし、モールごとのルールや仕様に従う必要があるため、自由度は自社ECサイトに比べると制限されます。
また、テナント型ではショップ運営に必要な設定やページ作成、在庫・受注管理など、モール内の“ひとつの店舗”としての運用業務が必要になります。マーケットプレイス型に比べて工数はかかりますが、その分、ブランドとしての魅力を伝える力も高く、リピーターの獲得やファンづくりにつなげやすいのがメリットです。
マーケットプレイス型
例)AmazonやQoo10など
大型のバザールや市場のようなイメージに近い構造で、出店者は「自分の店を構える」のではなく、モールという巨大な販売スペースの一部に「商品を出品する」という形式で参加します。
Amazonのような統一されたデザインの中で商品を検索・比較し、価格やレビューをもとに商品を選びます。基本的に購入者は「どの店から買っているか」よりも、「どの商品を買うか」に意識が向いており、出店者個々のショップページは目立ちません。
出店者は、商品名・価格・在庫数・商品説明などを登録し、モールの仕組みに従って販売します。ショップデザインやブランディング要素はほとんどなく、店舗ページを作る必要もありません。そのため、初期設定や運用の手間が少なく、商品登録だけで販売を始められるという手軽さが大きなメリットです。
ただし、モール側が商品の見せ方やルールを厳格に管理しており、出店者がコントロールできる部分は非常に限られます。また、同じ商品を複数の出店者が取り扱うこともあり、価格競争になりやすい傾向があります。モール側が受注や配送を代行する「FBA(フルフィルメント by Amazon)」のようなサービスを使えば、さらに手間を省けますが、その分手数料も発生します。
マーケットプレイス型は、ブランドの認知よりも商品力や価格競争力で勝負するスタイルであり、手軽に始められる反面、差別化やファンづくりには工夫が必要なモデルです。
モール型ECサイトのメリット

EC事業のスモールスタートに最適
まず、出店のハードルが低いことが挙げられます。初期費用が比較的少なく済み、出店手続きもシンプルなため、EC初心者でも取り組みやすいのがポイントです。自社で一からサイトを構築する必要がない分、スムーズにオンライン販売をスタートできます。
集客力が高い
集客力が強い点も大きなメリットです。Amazonや楽天市場といったモールは、すでに多くのユーザーに知られており、日常的に訪問されているため、出店するだけで一定のアクセスが見込めます。自社で集客施策を打たなくても、モール自体の集客力に乗る形でユーザーの目に触れやすくなります。
サポートが手厚い
運営のサポートが整っているのも特徴です。カスタマーサポートや決済処理、物流支援などがモール側で用意されており、出店者は販売に集中しやすくなります。特に、物流をモールに委託できる場合は、発送の手間や在庫管理の負担が軽減されるでしょう。
信頼・安心感
楽天市場やAmazonなど、すでに多くのユーザーに利用されている実績があります。そのため、ユーザーは「このモールなら安心」と感じやすく、初めて購入する店舗であっても抵抗なく買い物ができます。モール全体のブランド力が、出店する店舗にも信頼感としてプラスに働き、購入のハードルを下げる効果が期待できます。
初期費用が少なく、システム構築の必要もないため、事業の立ち上げ時に向いています。
モール型ECサイトのデメリット

モール型ECサイトには多くの利点がある一方で、いくつかのデメリットも存在します。
手数料・ロイヤリティの発生
手数料やロイヤリティが発生することは、利益面での大きな制約となります。出店時には初期費用や月額の利用料がかかる場合があり、さらに商品が売れるたびに販売手数料が差し引かれます。また、広告枠の利用には別途費用が必要なことも多く、こうした経費が積み重なることで、利益率が大きく圧迫される可能性があります。
価格競争が激しい
価格競争や利益圧迫のリスクも見逃せません。モール内には同じような商品を扱う店舗が多く、検索結果では価格が重視されやすいため、どうしても価格を下げる方向に競争が進みがちです。その結果、売上が伸びても利益が残りにくくなるというジレンマに陥ることもあります。
顧客情報の取得が難しい
モール型ECでは、顧客情報はモール運営側が管理しているため、出店者は購入者のメールアドレスや細かい属性データを自由に活用できないケースが多いです。そのため、リピーター施策や顧客との直接的な関係づくりに限界があり、自社ブランドとしての囲い込みが難しくなります。
ブランディング・差別化のしにくさ
特にAmazonのようなマーケットプレイス型では、商品の一覧においてブランドの世界観や個性を訴求するのが難しく、ページのデザイン自由度も低いため、独自性を打ち出しにくくなります。これにより、価格やレビューといった要素でしか勝負ができず、長期的なブランド価値の構築が困難になる恐れがあります。
モール型ECサイト6社の概要・特徴

Amazon
世界最大級のマーケットプレイス型モールで、商品単位で検索・購入される仕組みが特徴です。FBA(物流代行)を利用すれば、配送やカスタマー対応を任せることができ、運営の手間を大幅に軽減できます。ただし、価格競争が激しく、ブランディングの自由度が低いため、利益を確保するには戦略が必要です。
楽天市場
楽天市場は、日本国内最大級のテナント型ECモールで、幅広い年齢層に支持されています。出店者はショップページを自由にデザインでき、ブランドの世界観を表現しやすいのが特徴です。楽天ポイントによる購買促進力も高く、リピーター獲得に強みがあります。ただし、手数料や広告費が高めのため、利益確保には戦略的運用が不可欠です。
Yahoo!ショッピング
Yahoo!ショッピングは、出店初期費用や月額固定費が無料(2025年7月現在)で始めやすいモールです。PayPay連携による高いポイント還元が集客力につながっており、価格とポイント重視のユーザーに人気があります。広告やキャンペーンを活用しながら、能動的に販売促進を行うことが成果につながるポイントです。
ZOZOTOWN(ZOZO)
ZOZOTOWNはファッションに特化したECモールで、若年層を中心に高い支持を集めています。洗練されたUIとブランドごとの世界観の演出が可能で、アパレル企業にとって魅力的な販売チャネルです。入店審査があり、ブランドイメージや商品ラインナップが一定の基準を満たす必要があります。
au PAYマーケット
KDDIが運営する総合型のモール型ECサイトです。auユーザーを中心に、KDDIの強力な経済圏との連携を武器に成長しており、「au PAYポイント」や「auかんたん決済」などの独自サービスと組み合わせた購買体験が特徴です。
Qoo10
Qoo10は、韓国系企業が運営するECモールで、コスメ・ファッション・生活雑貨を中心に20〜30代の女性に人気です。タイムセールやクーポン、メガ割などの独自キャンペーンが豊富で、価格重視のユーザーとの親和性が高いのが特徴です。一方で、安さを求める傾向が強く、利益率の調整が課題になる場合もあります。
ゼネラルアサヒができること
ゼネラルアサヒは楽天、Amazon、Qoo10などの立ち上げから運用まで豊富な実績がございます。商品を魅力的に伝える撮影から運用までまるっとお任せいただく伴走型サポート、お客様の煩わしい部分のお手伝いをする案件型といったサポートも可能です。
モールEC出店を成功させる4つのポイント
モール型ECサイトで成果を上げるには、単に出店するだけではなく、計画的な戦略と運用が欠かせません。成功へと導くための4つの重要なポイントです。
1.中長期視点の戦略設計
モール型ECは短期間で売上が伸びやすい一方で、継続的に利益を出すためにはリピーターの獲得や商品レビューの蓄積、在庫回転の最適化などを見据えた運営が求められます。最初は広告で集客してレビューを増やし、将来的には自然検索でも売れる状態を目指すなど、段階的な成長プランを立てることが鍵となります。
2.自社ブランドの活かし方
なかでもテナント型モールでは、店舗ページのデザインや商品紹介文にルール内でのブランドの世界観を表現し、訪問者の認知につなげましょう。ロゴやカラー、コンセプトに一貫性を持たせ、訪問者に「このお店ならでは」の価値を感じてもらえる工夫が、競合との差別化につながります。
3.販促・広告の活用
モール内には検索連動型広告や特集ページへの出稿など、さまざまな販促メニューが用意されています。限られた予算でも効果的に使うためには、商品の特性やシーズンを考慮し、集中的に出稿するタイミングを見極めることが重要です。また、広告だけでなく、クーポン発行やレビューキャンペーンなども効果的な施策として取り入れましょう。
4.ショップ作成・運用
ユーザー視点での商品ページ設計が求められます。検索に強い商品タイトルや、見やすい画像、安心感を与える説明文が購入率を左右します。また、カテゴリやタグ設定を工夫して回遊性を高めたり、在庫切れや納期遅延が発生しないような体制を整えるなど、日々の運用の丁寧さが売上と顧客満足の向上に直結します。
まとめ
モール型ECサイトは、EC初心者でもスタートしやすく、一定の集客力とサポートが期待できる販売チャネルです。一方で、競争の激しさや制約、利益率の課題もあるため、適切な戦略と運営体制が求められます。
自社商品の特性と照らし合わせ、どのモールが適しているか、どのような差別化が可能かを見極めながら、事業拡大の足がかりとしてモール型ECを賢く活用しましょう。
どうぞお気軽にお問い合わせください。