TikTokは日本のユーザー数が1,700万人を超え、いま最も勢いのあるSNSと言えるでしょう。多くのダンス動画やリップシンク動画が投稿されているアプリとして若年層に人気があります。最近ではVlog(ビデオブログ)やグルメ動画、ペット、ビジネスまでコンテンツの幅が広がり、10代中心のメディアと思われていましたが、日本のユーザーの平均年齢は34歳(博報堂調査)と、少し上の世代にもリーチできるメディアになっています。
TikTokはレコメンドで流れてくる動画を見続けるメディアの特徴から、広告もコンテンツの一つとして受け入れやすいと言われています。また日経トレンディで「TikTok売れ」と言われたように「TikTokで見て、商品を調べた、購入した」というユーザーが増えています。TikTok広告は認知拡大だけでなく直接的な商品の購入にも期待できるようになっているのです。
今回はTikTok広告について、その種類と特長から、活用するメリット、広告出稿のステップ、広告の規定、制作のコツまで紹介します。TikTok広告に興味のある方、新しい広告メディアをお探しの方はぜひ参考にしてください。
■目次
TikTok広告の主な4つの種類
TikTokは縦型のショート動画を投稿・シェアできるSNSです。若者向けのダンス動画だけではなく、グルメ系やビジネス系などバラエティに富んだ動画も多く投稿されており、幅広いユーザーが閲覧しています。そのためTikTokの広告は注目を集めており、多くの企業が活用しています。
TikTok広告には、大規模なプロモーションに適した「予約型」と、気軽に始めやすい「運用型」の大きく2タイプがあります。予約型には、さらに起動画面広告やインフィード広告、ハッシュタグチャレンジ広告とさまざまな種類があり、それぞれ特徴があります。
TikTok広告を利用する前に、まずは種類ごとの特徴を理解し、どの広告を活用するかを検討しましょう。
1.アプリ起動時に表示される「起動画面広告」
起動画面広告は、TikTokを起動した時に全画面に表示される広告のことです。1日1社限定で、アプリを起動させたユーザー全員に広告を見てもらえます。新商品の発表・イベント告知・キャンペーンなど短期間で認知とリーチを獲得したい時に最適な広告といえるでしょう。全画面に表示されるため訴求効果が高く、広告内にリンクも設置できます。
しかし1日1社限定であるため、広告枠の獲得が難しいのがデメリットです。広告効果が見込まれる一方、インプレッション課金型のため費用の相場は500万円程度とコストがかかります。
2.投稿の間に表示される「インフィード広告」
インフィード広告は、TikTokのおすすめ枠に表示され、投稿と投稿の間に表示される広告です。通常の投稿と同様に「いいね」や「コメント」「シェア」ができます。広告を表示させたいユーザーに効果的にアプローチでき、通常の投稿とも馴染みやすいため、自然に広告を見てもらえるのが特徴です。広告費用の相場は40万〜300万円程度となります。
一方、スクロールすることができるため、簡単に飛ばされてしまう可能性があります。ユーザーの目を引くことを意識したクリエイティブ制作がカギになるでしょう。
3.ユーザー参加型の「ハッシュタグチャレンジ広告」
ハッシュタグチャレンジ広告は、手軽に投稿・拡散しやすいユーザー参加型の広告です。
企業は独自のハッシュタグ(#○○)を設定し、そのハッシュタグをつけて楽曲に合わせたダンスなどの動画を投稿します。その動画を真似してユーザー自身に拡散してもらうという仕組みで、高いエンゲージメントの獲得を期待できます。
広告らしさをあまり感じないのが魅力で、成功すれば企業とユーザーとの一体感が生まれ、多くのファンを獲得できます。またTikTok内に多数のUGCが生成されることも期待できます。
しかし、費用が1,000万円以上になる場合があるのがデメリットです。
4.柔軟に設定・配信できる「運用型広告」
運用型広告は、広告の掲載期間や配信金額、ターゲット、課金方式や広告予算を設定できるものです。予約型広告に比べると柔軟性が高く、目的や予算に合わせて配信できます。少額からスタートできるため、初めて広告を出稿する場合にはおすすめです。
とはいえ、配信に必要な設定をすべて自身で行う必要があり、運用型広告の経験者向きです。TikTok広告に関する知識を持った人材がいない場合、運用は難しいかもしれません。
TikTok広告を活用する3つのメリット
TikTok広告を利用することで、TikTokの特性を活かしたプロモーションが可能になります。
若年層へのアピールに効果的である点や、ユーザーに受け入れられやすい点は、TikTok広告ならではの魅力といえるでしょう。コンバージョンにつながりやすいのもメリットです。
1.若年層に効果的に訴求できる
TikTok広告は、若年層向けのプロモーションにおいて大きな威力を発揮します。
TikTokユーザーの多くが10~20代の若年層です。総務省情報通信政策研究所が発表した「令和3年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」によると、TikTokの利用率は10代が62.4%、20代が46.5%でした。このように、多くの若年層から支持されているSNSであるため、TikTok広告は若年層向けのプロモーションに効果的なのです。
シェア機能もあるため、InstagramやTwitterといった他のSNSに広告がシェアされることもあり、多くの若年層に広告を見てもらえる可能性があります。
参考:総務省情報通信政策研究所「令和3年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」
2.ユーザーに受け入れられやすい
TikTok広告は、スクロールするだけで簡単にスキップできるため、ユーザーに受け入れられやすく広告の押しつけをあまり感じないのが特長です。
YouTubeが導入しているスキップ不可の広告の場合、なかば強制的にユーザーの目に触れます。ユーザーは「早く動画本編を見たいのに広告が邪魔」といった不快感を感じるリスクがあります。広告が逆効果になってしまう可能性も考えられます。
それに対して、すぐにスキップできるTikTok広告はユーザーがストレスを感じにくく、好感を持ってもらいやすいのがメリットです。
3.コンバージョンにつながりやすい
TikTok広告は、コンバージョンにつながりやすく、高い広告効果を見込めるのもポイントです。
「TikTok売れ」という言葉があるように、TikTokで紹介された商品やサービスは、広く拡散されて爆発的な売り上げにつながる傾向にあります。
TikTok広告をきっかけに商品やサービスを知ったユーザーが、興味を持ってサイトを訪れたり、実際に商品を購入したりするケースも出てきています。TikTok公式サイトでもTikTok広告が効果的な理由として、以下の点を挙げています。
- TikTok視聴後に、何らかの行動を起こすユーザーは92%
- TikTok視聴後に、商品を実際に買ったり調べたりしたユーザーは25%
広告は、出稿するだけでは意味がありません。コンバージョンにつながりやすいTikTok広告は、効果的な販促ツールといえるでしょう。
参考:TikTok for Business「TikTok広告で ビジネスの可能性を広げよう」
TikTok広告を出稿する6ステップ
TikTok広告の出稿は、手順に従えば難しくありません。大まかな流れは、以下のとおりです。
- TikTok for Businessのアカウントをつくる
- 広告主審査を受ける
- ピクセルとイベントを設定する
- オーディエンスを設定する
- 広告キャンペーンと広告セットを作成する
- 広告を制作して入稿する
ここでは、TikTok広告の出稿方法を、6つのステップに沿って解説します。
1.TikTok for Businessのアカウントをつくる
TikTok広告を出すためには、TikTok for Businessのアカウントが必要です。メールアドレス、あるいは電話番号を入力し、パスワードを設定しましょう。登録した連絡先に認証コードが送られるので、アカウント登録画面に入力します。
それから、国や会社名、業界などの必要事項を入力し、登録をクリックすればアカウントの作成は完了です。
2.広告主審査を受ける
アカウント登録したら、ビジネス情報の登録に移ります。プロモーションするサービスや会社のURL、住所、課税情報などを入力しましょう。
ビジネス情報の登録が終わると、広告主審査を受けます。審査期間は約1営業日です。内容によっては、審査に時間がかかることもあるため注意しましょう。
TikTokの広告ポリシーを守っていれば、基本的には問題ありません。
3.ピクセルとイベントを設定する
審査に通過したら次は決済情報を登録し、いよいよ広告の細かい設定に移りましょう。決済方法としては、手動決済と自動決済のどちらかを選択できます。
ピクセルとは計測のタグのことで、広告をターゲット層に配信するために欠かせません。ピクセル設定ページに示された項目に沿ってピクセルを登録、設置しましょう。
同時にイベントの設定も必要です。イベントとはユーザーの特定のアクションのことで、「アプリインストールイベント」「サイト訪問イベント」などの設定によってユーザーの行動分析に活用できたり、類似ユーザーへのリーチにつながったりします。
4.オーディエンスを設定する
より効率的にターゲティングを行うために、オーディエンスを設定します。オーディエンスには、以下の2つのタイプがあります。
- カスタムオーディエンス:独自の設定が可能
- 類似オーディエンス:カスタムオーディエンスにさらに条件を追加できる
広告管理画面の「アセット」から「オーディエンス」をクリックし、表示された項目に沿って設定しましょう。
5.広告キャンペーンと広告セットを作成する
広告を配信する目的を達成できるよう、広告キャンペーンの目的を設定します。以下の3つの中から選べるため、ニーズに合わせて適切なキャンペーンを選択してください。
- ブランド認知
- 購買意向
- コンバージョン
キャンペーン名を設定した後、TikTok、BuzzVideo、Pangleの3つのプラットフォームから配信先を選定します。さらに配信対象や予算、スケジュールなどの細かい条件も設定しましょう。
6.広告を制作して入稿する
設定が完了すれば、いよいよ広告の制作と入稿です。広告の制作が完了すると審査が始まり、通常24時間以内に配信が開始されます。
TikTokでは、AIが動画を制作してくれる「スマートマイクロムービー」や簡単に動画を制作できる「テンプレート」を利用することができます。そのため、初めてでも安心して動画制作を行えます。
よりハイクオリティな動画を制作したい場合は、プロの動画制作会社に依頼しましょう。当社では、さまざまな目的やニーズに対応した高品質な動画制作サービスを展開しています。競合他社よりも質の高いTikTok広告を制作したい方は、ぜひお問い合わせください。
TikTok広告の画面サイズや解像度
TikTok広告用の動画を制作する際は、TikTokが定める動画のサイズや解像度などの規定を守りましょう。
一例として、インフィード広告として投稿される動画広告の規定を紹介します。
サイズ | 縦型 9:16 正方形 1:1 横型 16:9 |
解像度(推奨ピクセル) | 縦型 540×960px以上 正方形 640×640px以上 横型 960×540px以上 |
ファイルサイズ | 500MB以内 |
動画形式・フォーマット | mp4、mov、mpeg、3gp、avi |
動画の長さ | 5〜60秒(9〜15秒が推奨) |
参考:TikTok for Business「広告入稿の際に気を付けるべきポイント」
TikTok広告の効果を上げるコツ
TikTok広告は、ただ動画を制作して配信しても、期待した効果が得られるわけではありません。ここでは、TikTok広告の効果をより高めるための動画制作のコツと運用のコツを紹介します。コツを意識して自社のプロモーションを改善することが大事です。
TikTok広告用動画制作のコツ
TikTok広告用の動画を制作する際は、以下のポイントを意識しましょう。
- 冒頭の1〜2秒でユーザーを惹きつける
- 情報量の多いコンテンツにする
- ユーザーも参加できる内容にする
伝えたい情報やクライマックスシーンなどの見どころを冒頭2秒に持ってくることで、ユーザーを惹きつけられます。ここで興味を持ってもらえれば、飛ばされることなく動画を見てもらえるでしょう。
情報量の多さもポイントです。何度も見たくなるような、情報量の多いコンテンツを目指しましょう。
さらに、ユーザーが参加したくなる内容にすることで、拡散力が高まります。マネしやすい動きや覚えやすいダンス、耳に残るBGMなどを取り入れましょう。
TikTok広告を運用するコツ
TikTok広告を運用する際は、以下の2点が重要です。
- 「いいね!」を狙う
- 細かくターゲティングする
TikTokには、一定時間内に「いいね!」を獲得した場合、フォロワーでないユーザー向けにおすすめ動画として表示される機能があります。「いいね!」を狙って多くのユーザーに広告を見てもらいましょう。
広告の配信効果を高めるためには、詳細なターゲティングも欠かせません。自社の商品やサービスに興味を持ってくれそうな層を明確にし、最適なターゲティングを行ってください。
まとめ
TikTokは流れてくる動画を見続けるメディアの特徴から、広告もコンテンツの一つとして受け入れやすいと言われています。今回はTikTok広告について、種類や特徴、活用するメリット、広告出稿のステップ、広告の規定例、制作のコツを紹介しました。
TikTok広告には、プロモーションに適した「予約型」と、気軽に始めやすい「運用型」の2タイプがあり、予約型には起動画面広告やインフィード広告、ハッシュタグチャレンジ広告などの種類があります。
TikTok広告は、若年層へのアピールに効果的である点や、ユーザーに受け入れられやすい点が魅力で、その特性を活かしたプロモーションはコンバージョンにつながりやすく、効果的な販促ツールと言えます。
またTikTokでは、AIが動画を制作してくれる「スマートマイクロムービー」や簡単に動画を制作できる「テンプレート」を利用することができます。そのため、初めてでも安心して動画を制作することができます。
TikTok広告を効果的にするための動画制作のコツと運用のコツを紹介しました。ポイントを意識して自社のプロモーションを改善してみてください。特にユーザーが参加したくなる内容にすることで拡散力が高まります。また広告の配信効果を高めるためには、詳細なターゲティングも欠かせません。
TikTok広告に興味のある方、新しい広告メディアをお探しの方は、ぜひ取り組んでみてはいかがでしょう。