近年、医療分野において、テクノロジーの進歩が目覚ましいのをご存知でしょうか。膨大な情報にアンテナを張り、知識や技術が必要な医療の世界。専門的な本を読み込むことももちろん大切ですが、なかでも動画の活用に注目が集まっています。
医療スタッフの技術向上といった教育面、体内の見えない部分の表現や複雑な仕組みを知る技術面といった情報を動画にすることで、比較的短い時間で得ることができます。さらに動画にCG技術を掛け合わせることで、よりリアルな表現が可能になります。
この記事では、医療分野で使われている動画やCG技術の活用シーン、制作依頼時におけるポイントなどを分かりやすくご紹介します。また、患者への治療に使うさまざまな医療機器にスポットを当て、CG動画を活用した事例もご紹介しています。
■目次
医療分野で活用されるCG技術とは
動画は、エンタメ分野だけでなく、医療分野でも積極的に活用されています。
医療現場の今を知る!記事はこちら「医療分野におけるAR/VRの活用|効果や活用事例、展望を解説」
特に注目されているのが、3DCG動画です。
文字や静止画にはない動画のメリットを生かして、専門的かつ複雑な情報を効果的に伝えられるのがポイントです。3次元のコンピュータグラフィックスを使用して制作されるもので、人体の内部構造や医療機器などを立体的に表現できます。
・患者に対する説明
一般の人にとって、専門的な医療の知識を理解するのはとても大変なことです。そこで、CGを活用した動画の出番になります。医療知識のない患者やその家族に症状や治療方法などを説明する際にCG動画を活用します。動画を見てもらうことで理解がより深まり、患者自身の不安を和らげることにつながります。
また、病院や医者への信頼や満足度が上がることも期待できます。
・医療スタッフの情報共有
病院の現場で働く医療スタッフにとっても、動画を使った情報共有が行われています。
人の命を預かる立場上、あってはいけないのが認識の違いや理解不足といった齟齬です。
例えば、3DCGの技術を使った動画は、医療機器の使い方や注意点を視覚的に分かりやすくイメージできます。複雑な医療機器を扱うことは、医療スタッフにとって大事な知識といえます。動画はその使い方を理解するのに役立ち、現場での認識のズレを少なくすることができるでしょう。
このように、CG動画が大いに役立ちます。
CGを使った動画の活用しよう(医療機器メーカーの場合)
ここでは前述した医療機器メーカーにおいて、CG動画の活用シーンを3つ挙げてみます。
視覚的理解の向上
CGを使用した動画は、複雑な医療機器の構造や機能を視覚的に分かりやすく説明できます。これにより、医療スタッフや患者が機器の使い方や作用機序を直感的に理解しやすくなります。視覚的な情報は文字や口頭説明よりも記憶に残りやすく、医療技師や医師、看護師への高い教育効果が期待できます。
参考:https://esse-sense.com/articles/115
マーケティングとプロモーション
CG動画は、医療機器のプロモーションやマーケティングにおいて強力なツールとなります。
例えば、ある製薬会社は、薬剤の効果や作用機序を3DCGで視覚的に表現し、医療スタッフや患者への理解を促進しています。また、医療機器メーカーも、製品の内部構造や動作原理を3DCGで再現し、製品説明やプロモーションに活用しています。
3DCGを用いた動画で、医療技師や医師、看護師などに、医療機器の使い方をわかりやすく説明できるのが大きなポイントです。
3DCGを用いたコンテンツは、製品の機能や利点を視覚的に訴求することで、具体的なイメージを持ってもらいながら理解してもらえるため、効果的なプレゼンテーションが可能となり、製品の魅力を最大限に伝えることができます。
リアルなシミュレーションとトレーニング
手術に使用する医療機器や人体の3DCG動画を制作することで、手術前にリアルなシミュレーションが再現できます。
医師や医療スタッフが新しい医療機器を安全に操作するためのトレーニングを受けることができます。シミュレーション動画は、現実世界での練習よりも低コストで、リスクのない環境で学習できるという利点があります。
医療分野で使われる動画やCGの4つのメリット
医療系動画やCGコンテンツを制作することで、複雑な情報を短時間で効率よく伝達できたり、医療品質の向上に貢献できたりします。活用場面も多岐にわたるため、動画やCGコンテンツを積極的に利用するのがおすすめです。
1.複雑な情報もわかりやすく伝えられる
動画ならではのメリットとして、複雑な情報も視覚的にわかりやすく伝えられる点が挙げられます。
医療機器の使い方を紙の説明書や画像で説明しようとしても、複雑でわかりにくくなってしまうことは少なくありません。
マニュアル動画を制作することで、視覚・聴覚・言語のすべてを通して情報を伝えられます。複雑な情報も、素早く適切に理解してもらえるのが魅力です。
2.短時間で多くの情報を伝達できる
動画のもうひとつのメリットは、文字や画像に比べて短時間で多くの情報を伝達できる点です。
動画の情報伝達能力は、文字に比べて約5,000倍とも言われています。また、1分間の動画で伝えられる情報量は、180万語に相当するという研究もあり、動画の情報伝達能力が非常に優れていることがわかります。
特に、医療業界では法規制やガイドラインが厳しいため、説明の際は専門的で情報量が多くなりがちです。動画を活用することで、短時間で多くの情報を伝達できます。
動画の視聴者にとっては、受動的に情報をインプットできるため、負担が少なくすむという特長もあります。
3.医療系動画は3DCGと親和性が高い
動画や3DCGコンテンツは多くの領域で活用されていますが、特に医療系動画との親和性が高いのもポイントです。前述のとおり、構造が複雑な医療機器の使い方を説明する際は、テキストや画像よりも動画のほうが適しています。
また、3DCGなら立体的に表現できるため、医療機器の構造や人体をよりリアルに映像化できます。たとえば、カテーテルの挿入方法をわかりやすく表現するためには、3DCGを利用するのが効果的です。
このように、医療系動画は3DCGと親和性が高いため、積極的に活用するとよいでしょう。
4.医療品質の向上に役立つ
動画やCGコンテンツは、医療品質の向上に役立つのもメリットです。
動画やCGを活用して、医療機器の使用方法に関する教材を作成できれば、手術前のシミュレーションや研修医への教育などに利用できます。教材を使って繰り返し学習してもらうことで、医師の技術力が向上することが期待できます。
統一した教材で学習してもらうことで、指導者によって教育の質が変わってしまうリスクを軽減できる上、一度作った教材は何度でも利用できるため、トータルで見ると教育コストを抑えることにつながるでしょう。
動画やCG制作を依頼する流れ
CGを活用した動画を自社で制作するためには、機材や編集ソフトを準備したり、それらを使いこなす人材を確保しなければなりません。
特に、3DCG動画を制作するためには、モデリングやライティング、アニメーションなどなどさまざまな工程が必要であり、高度な技術が求められます。
そのため、映像制作のプロである制作会社に依頼するのが一般的です。
動画制作を依頼する流れは、以下のとおりです。
1.打ち合わせ・見積もり
2.企画
3.構成・コンテ作成
4.撮影/CG制作
5.編集
6.確認・修正
7.納品
当社は、CGを使用した動画制作に強みがあります。丁寧なヒアリングを通じて、ニーズや予算に合った企画を提案し、高い技術力でクオリティの高い動画やCGコンテンツを制作します。3DCGにも対応しているため、動画やCGコンテンツの活用を検討している方は、ぜひお問い合わせください。
弊社の実績はこちら。医療分野の実績も多数あります!
医療系動画にCGを取り入れるポイント
ニーズに合った高品質な動画を制作するためには、プロの映像制作会社に依頼するのが効率的です。しかし、制作会社に丸投げしてしまうと、専門的な分野であるが故に、想定通りの動画やCGコンテンツに仕上がらないリスクがあります。制作会社に依頼する際は、密なコミュニケーションと業界においての実績を知ることが重要です。
ここでは、制作会社に依頼する際の3つのポイントについて紹介します。
1.CGの場合は2DCGと3DCGのどちらを制作するか決める
CGコンテンツを制作する場合は、2DCGと3DCGのどちらを制作するかを決めましょう。
医療現場では3DCGを用いることが多く、情報を伝えやすいというメリットがあります。しかし、制作するのに時間やコストがかかったり、精度的に対応できない制作会社であったりするのが難点です。
内容にもよりますが、2DCGの方がスピーディかつコストを抑えて制作できます。
動画を制作したい理由や具体的な用途などを制作会社に相談し、2DCGにするか3DCGにするかを決めましょう。
2.目的を明確に共有する
制作する動画やCGコンテンツを何に利用するのか、目的を明確に共有することが大切です。
たとえば、一時的な情報共有に使用するのか、長期間利用する教材に使用するのかによって、必要な作業や精度などは大きく変わります。
目的を共有した結果、制作会社のこれまでの経験や知見から、当初想定していた内容とは異なる提案をされることも少なくありません。
齟齬が発生しないよう、制作会社への情報共有を徹底しましょう。
3.詳細な資料を用意する
映像制作会社に依頼して納得のいく動画を制作してもらうためには、事前の打ち合わせが肝心です。その際は、細かい部分まで伝えられるよう、詳細な資料を用意しましょう。
特に、3DCG動画の制作を依頼する場合は、準備できるのであれば3DCADデータがあれば非常にスムーズでしょう。CADデータがない場合は、さまざまな角度から見た写真やイラストでも対応は可能です。
医療分野における動画やCG活用の今後
今後は、医療機器メーカーなども含めた医療分野全体で、CGコンテンツがますます活用されることが期待されます。
特に、AI技術の発展に伴い、動画やCGコンテンツの制作が大幅に効率化すると見込まれているのがポイントです。最近では、自動で動画編集をサポートしてくれるAIツールや、動画を生成してくれるAIツールも登場しています。動画編集技術がなくても、AIツールを用いることで、簡単に医療用動画を制作できるようになるかもしれません。
AIツールについての記事はこちら
3DCGコンテンツの制作においても、AIによって作業がスムーズになるでしょう。現在の医療現場で3DCGコンテンツを制作する際は、医療用画像に写っているものから不要なノイズを除去する必要があります。この作業に時間と手間がかかっています。しかし、AIを活用してCGモデル化したい部分だけを自動で選別できるようになれば、より短時間で3DCG画像や動画を制作できるようになるでしょう。
このように、AIを積極的に活用することで、動画やCGコンテンツを効率的に作れるようになり、活用の幅が広がることが予想されます。
動画やCGを活用している医療機器メーカーの事例
最後に、動画やCGを活用している医療機器メーカーの事例を紹介します。
テルモ株式会社は、カテーテル治療の手順についてわかりやすく解説した、3DCG動画を制作、公開しています。カテーテル治療について詳しくない方でも、手順をイメージできるように工夫されています。テルモ株式会社や国内グループ会社のウェブサイトに掲載することを想定して制作しており、YouTubeにも動画をアップしています。
まとめ
医療分野でCGを活用した動画の取り組みが飛躍的に増えています。
今回はその活用場面やメリット、制作のポイントなどについて詳しく解説しました。医療分野での動画活用は多くのメリットがあります。短時間で分かりやすく情報を視覚化することがでます。さらにCGを使うことで、伝えることが難しかった表現方法の幅を広げることができます。
また、医療機器などの使い方についてもCGを活用すると操作技術の理解が深まります。
そこには医療スタッフ同士、患者と医師の信頼度や満足度が高められるメリットがあり、今後更なる医療技術の向上にも貢献できると期待されています。
当社は医療機器業界をはじめ、あらゆるジャンルの動画制作実績があります。お気軽にご相談ください。