DXはさまざまな企業で注目され、取り組まれており、その一つとして動画を活用する事例がみられます。DX動画とも呼ばれていますが、具体的にはどのようなものなのでしょうか。この記事で、DX動画の基本情報や成功させるためにやるべきことなどを把握しましょう。
■目次
DXとは
DXとは、デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)の略称であり、企業が新しいデジタル技術を使ってビジネスに変革を起こし、顧客に対して新しい価値の提供を目指すことをいいます。
DXに関しては、企業だけではなく国も積極的に取り組んでいます。経済産業省では産業界のDX推進に向けて複数の施策を展開しており、具体的にはDX推進指標やDX認定制度といったことが挙げられるでしょう。
経済産業省 産業界のDX推進施策
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/dx/dx.html
DXとIT化の違い
DXと似たような言葉として、IT化が挙げられます。両方ともデジタル技術に関することですが、少し意味するところが異なっています。
IT化とは組織の生産性向上を目的として、デジタル技術やデータを活用することを指します。一方のDXは、IT化を目的達成の手段として活用し、さらにIT化の先にあるビジネスモデルへの変革を目指すものです。
例えば、会計業務の効率化を図るためにソフトを導入することはIT化といえるでしょう。DXではさらに一歩発展し、ソフトを導入してデータ活用することで業務の領域を拡大したり、新しい業務を生み出すというような、これまでの仕組みが変わることを意味します。
IT化やDXに関することは、下記の独立行政法人情報処理推進機構によるDX白書でも紹介されているので、気になる方はチェックしてみてください。
DX白書2023
https://www.ipa.go.jp/publish/wp-dx/dx-2023.html
DX動画とは?
DX動画は、DXの推進につながる動画のことを指します。動画を使うことによってDXをより理解しやすく、効率よく取り組みやすくすることを目指します。
またDX動画は、DXがどのようなものかを自社の従業員に理解してもらう際にも役立ちます。DX動画の中には、簡単にDXについてのさまざまな手法を紹介している動画もあるため、従業員に基礎から学んでもらいたいと考えている会社におすすめです。
DX動画を活用する事例については後の項目で紹介しているため、そちらを通読してみてください。
企業の課題を解決するDX
DXについては、積極的に取り組むことをおすすめします。その理由として、企業の課題を解決できるためです。
日本の企業が抱えている課題は数多く、主なものは次のとおりです。
- 変化している顧客ニーズの理解不足
- デジタルを駆使した経営戦略が不明確
- ITスキルを持つ人材の不足
- 既存システムの老朽化、複雑化による運用負荷
- 事業部門と生産部門の連携が不足
DXの取り組みによって上記のような問題を解決することで、生産性の向上や新しい業態の創造につながるのです。特にIT人材不足は多くの企業が抱えている課題であるため、いち早く解決することで、競合する企業よりも業務の効率性を高められるかもしれません。
動画を活用したDX推進の効果とは?
動画を活用したDX推進の効果は、生産性の向上や新しい業態の創造につながることだけではありません。以下のようなことも挙げられます。
伝えられる情報量が多い
1つ目は、伝えられる情報量が多いことです。動画は短時間でも効率よく情報を伝えることができ、情報の定着率がテキストの2倍高いといわれており、記憶に残りやすいという特長があります。そのため、視聴者とのコミュニケーションの質を高めることが可能です。
動画の場合、単に伝えられる情報量が多いというだけではなく、具体的に伝えられるといった効果もあるのです。例えば業務の効率化といったDXのメリットを動画で紹介することで、多くの視聴者に納得してもらい、積極的に取り組む姿勢へと行動変容することができます。
時間や場所を選ばずに情報を伝えられる
2つ目は、時間や場所を選ばずに情報を伝えられることです。これはDXの推進に動画を使う大きなメリットであり、視聴者は自宅にいる時や通勤の最中など、自分の好きなタイミングで動画を視聴できます。
現在、動画はPCだけではなく、スマートフォンやタブレットなどでも視聴が可能です。「時間」と「場所」の制約を取り払えるため、ターゲットユーザーへのアプローチやビジネスの進め方をアップデートすることができます。
マーケティングを効果的なものにできる
3つ目は、効果的なマーケティングができることです。動画はさまざまなユーザーにリーチできます。そのため多くのユーザーデータを集めることができ、そのデータを使ってマーケティングを展開することが可能です。
動画視聴状況の分析をすることで視聴ユーザーの理解を深めて、より効果的なターゲットユーザーへのアプローチが可能になります。また分析ツールを活用することで、マーケティングの効率性を高められます。主なものに、YouTubeアナリティクスやWistia、J-Stream Equipmediaなどがあります。
例えばYouTubeアナリティクスでは、視聴回数や総再生時間、視聴者属性などを調べることができます。
DX動画を成功させるために4つのやるべきこと
DX動画は、安易に作っても成功できるものではありません。思うような効果が得られない可能性があります。効果的なDX動画を作るためには、以下の4つのポイントを踏まえて作るのがおすすめです。
ユーザー視点で目的達成のための動画を考える
DXを推進するためには、ユーザー側の視点に立った変革が必要です。
仮に、『採用動画』を制作するとしましょう。課題は次のようなことが想定できます。
「自社にとって長期的に優秀な人材を確保したい」
つぎに、ユーザー視点に立つことで、動画に取り上げるべき内容が把握しやすくなります。課題に対しての解決法が明確になると、動画で伝えることがはっきりとイメージできるのです。ここでは、先輩社員の本音トークや福利厚生の具体例の動画がターゲットに刺さるのではないかと考えることができるでしょう。
IT化社会でコミュニケーションをデジタル化するDX動画では、ユーザー視点に立って疑似体験につながるような内容を考えてみましょう。
動画で業務オペレーションを改善する
動画を取り入れることで、これまで全てを人の手で対応していた業務を改善できないかどうかを考えてみましょう。
例えば自社の商品やサービスの解説を『製品紹介動画』にまとめることで、担当者が説明する手間を省ける上に、インターネット上にアップロードしておけば、好きな時間と場所で作業者が動画を視聴できます。
動画は多くの情報を短時間で伝達できるため、幅広い業務でも活用が可能です。DX推進で動画を取り入れるのであれば、「営業」「生産」「教育」などさまざまなシーンで効率化や改善できそうな業務を探してみましょう。
企業での体制の構築
では、動画制作を進めればDXになるのでしょうか。大切なのは、デジタル技術やデータ活用に精通し、戦略を立て分析し実行できる人材の育成です。
動画制作を内製化することで、動画を撮影・編集できるいわゆる動画クリエイターの育成に時間を割くことはあまりおすすめしません。
動画制作はプロに任せることで、質の高い最適なDX動画を作ることができます。ゴールは動画制作ではなく、作った動画をいかにサービスや事業の効率化につなげるかということです。
DXは、今後を生き抜く企業にとって重要なカギとなるといっても過言ではありません。だからこそ、社内でDX動画の認識をすり合わせ、マーケティング戦略につなげられる人材育成に注力するべきなのです。
新たなビジネスモデルを生む社内環境づくり
本来DXとは、生産性の向上や新しい業態の創造につなげる取り組みのことです。同業界の他社での取り組みに追従するのでは目的を達成することはできません。まずは自社の特長・強みを洗い出し、改善点がないか見直してみましょう。
デジタルシフトした生活者に合わせて企業自体が変革していくことが重要です。そのためには、若い世代や現場からの意見やアイデアを積極的に取り入れてみるのも一つの方法です。要は、社内で新しい意見やアイデアがいい合える環境づくりがDX推進の第一歩かもしれません。
DX推進に動画を活用する具体例
DX推進に動画を活用できるとはいえ、具体的にどう活用すればよいのかが分からない方もいるのではないでしょうか。そこで、DX推進に動画を活用する具体例を3つピックアップして紹介します。
具体例を知ることで活用方法をイメージしやすくなり、動画の内容を決めやすくなるでしょう。どのように動画を活かせばよいのかを知りたい方は、ぜひチェックしてみてください。
営業シーンでの動画活用(商品説明、ハウツー動画)
DX推進に動画を活用する際には、顧客視点に立った動画を考えるのが大切です。例えば、顧客体験価値(CX)を改善・向上していけるようなインタラクティブ動画や360度動画、VR動画などが挙げられます。
これらの動画を活用することで、リアルな体験ができるコミュニケーションのデジタル化を実現できます。これまでの動画のように一方向的なものではなく、双方向的なコンテンツを視聴させることになるため、商品理解において効果的に活用できるでしょう。
また、ハウツー動画もDX推進に効果的です。これまで製品ごとに制作していた紙の取扱い説明書よりもリアルで分かりやすいものを作ることができます。
採用シーンでの動画活用(会社紹介、ブランディング動画)
採用シーンでは、会社の紹介やブランディングなどで動画を活用することができます。会社説明で動画を使うことにより、求職者に自社で働く様子をよりリアルにイメージしてもらえるため、求職者と企業のイメージのズレを防ぐことができます。
また、動画とオンライン会社説明会やライブ配信を活用することで、地方在住者にも「場所」「時間」を超えたコミュニケーションを提供することができます。そのため、これまでよりも広い範囲から適切な人材を集められるでしょう。
ブランディング動画に関しては採用シーンだけではなく、イベントや商品プロモーションなどの際にも役立ちます。企業紹介以外に商品やサービスのブランディングにも使えるため、目的に応じてバリエーションを作ると良いでしょう。
人材育成シーンでの動画活用(社内マニュアル、研修動画)
人材を育成するシーンにおいても、動画を活用できます。この際の目的は、デジタル技術やデータ活用に精通した人材の確保や育成です。
各部門において業務内容に精通し、デジタル技術で何を変えられるかを考え、実行することができる人材をマニュアル動画や社内報動画の制作を通して育成しましょう。社内でデジタル技術やデータ活用に精通した人材を育てることで、DXを推進しやすくなります。
動画を活用したDX推進の成功事例
動画を活用したDX推進の成功事例はいくつかあり、主なものとして以下の企業が挙げられます。
- 株式会社サーラコーポレーション
- 株式会社GABA
- アライドアーキテクツ株式会社
- LogKnot株式会社
- アークシステムワークス株式会社
成功事例を見ることで、どのようにしてDXを推進していけばよいかのヒントを得られるかもしれません。
株式会社サーラコーポレーション
株式会社サーラコーポレーションでは、BtoB企業向けのオンライン展示会で用いる資料やオンラインで営業する際に動画を用いています。これまで紙や口頭で説明していた情報を動画にまとめることにより、多くの情報を正しくムラなくユーザーに届けることが可能になりました。
サーラコーポレーションでは、これまでオンラインでの展示会から営業活動の切り替えが上手く進まず、スムーズに営業活動が行えていないという課題を抱えていました。
しかし、オンライン展示会や営業で使っていた資料を動画化することでより多くの情報をより正確に視聴者に伝えられるようになり、視聴者の感情に刺さるようなコンテンツを作ることができました。
株式会社GABA
マンツーマンの英会話スクールを経営している株式会社GABAでは、これまで電車広告などのオフラインでの広告を主に行っていました。しかし、新型コロナウイルスの蔓延をきっかけにオンライン広告主体へ移行し、現在ではよりデジタル広告にシフトしてWeb広告やSNSアカウントの運用に力を入れており、積極的に動画の活用を進めています。
例えばInstagramに投稿した動画広告は、画像で配信していた時よりも成果を出すことに成功しました。事実、動画広告は画像広告と比べてCTRが平均約2倍になり、CPCを3分の2ほどに抑えるという成果を出しています。
アライドアーキテクツ株式会社
アライドアーキテクツ株式会社も、コロナ禍によってオフラインで開催していたセミナーをオンラインで開催するようになった企業の一つです。一部のセミナーでは動画を配信しており、これまでよりも手間をかけずにセミナー(ウェビナー)を開催できるようになりました。
他にもアライドアーキテクツでは、セミナーの申込みページにも動画を活用しています。結果としてセミナーの集客数を増やすことにつながりました。これは、コミュニケーションにデジタル技術を用いることで、CX(顧客体験価値)の質を上げることができた好例といえるでしょう。
LogKnot株式会社
LogKnot株式会社では、紙の資料だと思うように商品の魅力が伝わらないという課題を抱えていました。この課題を解決するために用いられたのが動画です。
動画を配信し、補完するコンテンツとのリンクを再構築することで、オンライン接客という新スタイルを確立することに成功しています。
その他、LogKnotでは動画の視聴ログやコンテンツへの遷移ログを分析し、そこから顧客のニーズを汲み取って新しい動画を作っています。動画は視聴状況のデータを取得することもできるため、いつ、どのようなユーザーが視聴したのかといった効果を測定したい時にも役立つのです。
アークシステムワークス株式会社
ゲーム会社であるアークシステムワークス株式会社は、製品をプロモーションする際に動画を用いています。現在ではゲーム会社が動画を用いること自体は当たり前になっていますが、その中でも早い時期から取り入れていたのがアークシステムワークスです。ゲームの内容や面白さをユーザー視点で分かりやすく伝えるために動画を活用し、よりリアルな体験ができるPVを提供しています。
アークシステムワークスは、他の会社よりもいち早く動画を取り入れたプロモーションを行いました。その結果、競合他社との差別化へつなげることに成功したのです。
業種や会社によっては、動画を取り入れることが他社との違いをアピールできることになるかもしれません。
まとめ
DXは、企業が新しいデジタル技術を使ってビジネスに変革を起こし、顧客に対して新しい価値の提供を目指すことであり、動画の活用によって効率よく推進できます。実際にDX動画で成功している企業の例もいくつかあるので、この機会に取り組んでみてはいかがでしょうか。
当社では動画制作やライブ配信などを行っています。DX動画も制作できるため、気になる方は、以下からぜひお問い合わせください。