
立体的なキャラクターやオブジェクトをコンピュータグラフィックス技術を使ってリアルに表現する3Dアニメーション。この技術を動画に活用することで、視覚的なインパクトや視聴者の興味を引きつける表現方法が拡がります。
本記事では、3Dアニメーションの基本的な制作手順や活用シーン、メリットや制作のポイントについてわかりやすくご紹介します。この記事を通じて、3Dアニメーションの魅力と可能性を理解し、ビジネス活用の参考にしてみてください。
■目次
3Dアニメーションとは
3Dアニメーションとは、3次元空間に立体的なキャラクターやオブジェクトを造形して、ソフト上で動きやカメラを設定して1コマずつレンダリングしてアニメーションを作る手法です。
コンピュータグラフィックス技術を用いることで、セルアニメーションよりも圧倒的にリアルで滑らかな映像表現ができるようになります。
3Dアニメーションと2Dアニメーションの違い
2Dアニメーションは、縦×横の2次元平面上にキャラクターやオブジェクトを1コマずつ描き、動きを作り出します。これに対して、3Dアニメーションには、奥行きが加わります。オブジェクトは立体的に造形されているため、視点を変えても描き直す必要はありません。
平面に描いたイラストを動かすのが2Dアニメーション、立体的なフィギュアを動かすのが3Dアニメーション、と考えるとわかりやすいでしょう。
3Dアニメーションは、2Dアニメーションに比べて、現実の人間や物体の動きに近い表現や、視点もダイナミックに移動して臨場感のある映像表現が可能になります。
3DCGと実写映像を合わせる実写合成とは
実写合成(VFX)とは、実際に撮影した映像に3DCGを合成し、現実にはありえない世界をリアルに表現する技術のことです。
例えば、街並みの映像に3DCGで作った怪獣のモデルを合成すれば、まるで怪獣が街に現れたかのようなアニメーションを制作できます。実際にはないものがそこにあるかのように見せられ、表現の幅が広がるのが魅力です。映画やドラマ、CMのワンシーンなどに多く利用されています。
最近では、AIによって撮影した人物の映像を3Dキャラクターに置き換え、簡単に実写合成ができるツールも登場しています。
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3Dアニメーションを動画に活用する3つのメリット

3Dアニメーションは、幅広いシーンで活躍し、ビジネスにも活かせる技術です。
実写化が難しいシーンもリアルに表現できたり、口頭や文面で伝えるのが難しい内容も、アニメーションでわかりやすく伝えられたりします。実写動画にはないインパクトもあるため、上手く制作できれば、他の動画と差別化できるでしょう。
ここでは、3Dアニメーションを動画に活用する3つのメリットを解説します。
1.実写化できないものをリアルに表現できる
3Dアニメーションの大きなメリットは、実写化できないものをリアルに表現し、視覚化できる点です。
例えば、開発途中の製品の構造や、建築中の施設の完成イメージ、製品化最中の製品のデザインなどを、わかりやすく説明できます。また、実写合成を活用すれば、実際にはありえないシチュエーションも再現できます。
このように、仮想の情報をリアルに表現できるのは、3Dアニメーションならではの特長です。
2.複雑で難しい内容をわかりやすく伝えられる
3Dアニメーションは、複雑で難しい内容をわかりやすく伝えられます。
製品の内部構造や人体の機能など、目視できない難解なものを3Dアニメーションでリアルに表現できるほか、製品の仕組みや機器の使い方などを詳しく説明できます。
文字や画像だけでは伝えるのが難しい情報をわかりやすく伝えられるため、製品や技術を魅力的に紹介できるでしょう。
3.インパクトがあり興味を引ける
3Dアニメーションを動画に使うことで、インパクトのある表現に仕上がり、ユーザーの興味を引けるのもメリットです。
実写動画の中で3DCGアニメーションで作ったキャラクターやオブジェクトを登場させれば、通常の動画には出せない、インパクトのあるビジュアルに仕上がります。
動画をビジネスに活用する企業が増えている中、他の動画との差別化につながり、訴求力を高められます。
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3Dアニメーションの活用シーン

3Dアニメーションというと、アニメや映画・ゲームなどエンタメ業界で活用されているもの、というイメージがある方は多いでしょう。しかし、今では不動産業や製造業など、さまざまな業種・領域で使われています。今後も幅広いビジネスに活用されることが期待される、注目の技術です。
あわせて読みたい!「アニメーション動画とは?相場や活用事例、メリットを紹介」
ここでは、3Dアニメーションの代表的な活用シーンを4つ紹介します。
商品やサービスのプロモーション動画・営業用資料
3Dアニメーションは、情報をわかりやすく伝えられるため、商品やサービスのプロモーション動画や営業用資料に用いられています。
商品の使い勝手やサービスの活用イメージなど、文章や画像だけではイメージしにくい情報を効果的に伝えられるため、訴求力アップにつながるのがメリットです。
営業担当者のプレゼン資料としても活用できます。
建物の外観や間取りの紹介
実写では表現できないものを視覚化するにも、3Dアニメーションは効果的です。建築予定のビルや施設の完成イメージ、間取りの紹介動画などに使われています。
平面の設計図だけ見ても、どのような構造、デザインの建物が完成するのかをイメージするのは難しいものです。3Dアニメーションを活用することで、施工前や設計途中であっても、建物の具体的な完成イメージを見てもらえるのが魅力です。
また、撮影した映像に3CCGで制作した建築物や人の動きなどを合成し、よりリアルに完成イメージを伝える、という方法も用いられています。
製造業の指示書やシミュレーション
製造業では、作業指示書や組立指示書に3DCGが活用されています。アニメーションで3Dモデルを動かすことで、モデルを回転させて複数アングルから見られるようにする、部品ごとに分解させる、細かい部分を拡大する、などの操作ができるのが特長です。紙の指示書よりも、わかりやすく作業や組立の流れを伝えられます。
また、実際の工場と全く同じ設備を3DCGで再現し、仮想空間で製造のシミュレーションを行う、という活用方法もあります。
映画・アニメーション・ゲーム

映画・アニメーション・ゲームなどのエンタメ業界では、3Dアニメーションが盛んに活用されています。2Dのアニメーションに比べて、よりリアルで臨場感のある表現ができるため、視聴者を物語の世界に引き込めるでしょう。
2021年8月には、スタジオジブリの初のフル3DCG作品である「アーヤと魔女」が公開されました。3DCGにすることで、ジブリ作品ならではの、キャラクターの豊かな表情や細かい動きをよりリアルに表現できているのがポイントです。
また、実写映像を撮影し、人物と3DCGのキャラクターを合成できるツールを使えば、キャラクターが現実世界を生きているかのような映像が仕上がります。
参考:YouTube「スタジオジブリ最新作!ジブリ初のフル3DCG作品。自分が魔女の娘とは知らずに育った少女アーヤの物語。」
3Dアニメーションを制作する際の5つのポイント

3Dアニメーションの制作は容易ではありません。はじめはソフトの操作に手こずったり、自然にキャラクターを動かせなかったりと、上手くいかないこともあります。
そこで、3Dアニメーションを上手に制作するための5つのポイントを解説します。
1.スペックの高いパソコンと使いやすいソフトを選ぶ
3Dアニメーションをスムーズに制作するためには、スペックの高いパソコンと使いやすいソフトを選びましょう。
特に、容量が大きくスペックの高いパソコンを使用することがポイントです。3Dアニメーションを制作する際は、複数のファイルを同時に使用する必要があります。また、レンダリングにも時間がかかります。スムーズに作業を進められるよう、CPU/GPU処理速度が速く、HDD容量が大きいパソコンを使用してください。
さらに、使いやすいソフトを選ぶことも欠かせません。3Dアニメーション制作ソフトには複数の種類があり、無料のものと有料のものがあります。もちろん有料の方が操作性が高く、クオリティの高い3Dアニメーションを制作できます。しかし、無料ソフトにも基本的な機能は揃っており、性能の高いものもあります。気軽に3Dアニメーション制作に挑戦したい場合は、無料ソフトでも十分かもしれません。
また、モデリングからレンダリングまで一連の工程を行える統合型と、各工程に特化した特化型があります。制作目的や予算、実際の使い勝手などを確認し、ニーズに合うソフトを選ぶことが大切です。
2.簡単なものから挑戦する
3Dアニメーション制作に取り組む際は、簡単なものから始めましょう。
いきなり難易度の高い3Dモデルを作って動かそうとしても、制作工程の多さやソフト操作の難しさゆえに、挫折してしまう可能性が高いです。
3Dモデルは、ポリゴンという小さな三角形や四角形などを組み合わせて造形します。ポリゴン数が多ければ、その分滑らかで複雑な形状を作れますが、扱うのが難しくなります。まずは、ポリゴン数が少なくてすむ、球や立方体といった単純なモデルを作り、動かしてみましょう。
そして、細部にこだわりすぎないことも大切です。とにかく最後まで作ってみることで、制作の流れやソフトの操作方法などを大まかに理解するためです。数をこなすと徐々にポイントがわかり、技術が上達します。
3.キャラクターを使う場合は細かく設定を考える
キャラクターの3Dアニメーションを制作する場合は、キャラクター設定を細かく考えましょう。プロフィールを細かく設定し、キャラクターデザインを作り込むことで、キャラクターの魅力を細部まで表現しやすくなります。
まずは、年齢や性格、職業、特技、属性といった設定を考えます。そして、設定がわかりやすく伝わるよう、顔や表情、髪型、体型、服装、仕草などをデザインしましょう。
4.事前に各工程のスケジュールを立てる
3Dアニメーションを制作するためには、モデリングやリギング、レンダリングなど、さまざまな工程が必要です。無計画に進めると、作業に遅れが生じて納期に間に合わなかったり、無駄な作業が発生したりするリスクがあります。
事前に各工程のスケジュールを立てておき、計画的かつ効率よく進められるようにしましょう。
はじめて制作に挑戦する場合は、予想よりも時間がかかることを前提に、余裕のあるスケジュールを立ててください。
5.人間の動きや表情を観察する
日頃から人間の動きや表情を観察することで、3Dアニメーション制作に活かせます。
自然でクオリティが高い3Dアニメーションを制作するためには、まるでモデルが実在するかのように、リアルにキャラクターやオブジェクトを動かす必要があります。
キャラクターの仕草や微妙な表情の動き、陰影のでき方や洋服の質感などをリアルに表現できるよう、日頃から周りの人をよく観察するのがポイントです。
3Dアニメーションの作り方
では実際に、3Dアニメーションを作ってみましょう。
STEP1: 3Dアニメーション用のソフトを用意する
まず、3Dアニメーションを制作するためには、専用のソフトが必要です。無料のソフトと有料のソフトがあり、初心者の方や基本的な機能のみを使用したい方には無料のソフトがおすすめです。よりクオリティの高いアニメーションを制作したい場合は、機能が豊富で使い勝手に優れた有料ソフトを使用しましょう。また、統合型か特化型か目的に合ったソフトを選びましょう。
STEP2: 三面図を制作する
次に、三面図を制作します。三面図とは、対象物を正面・横・上から見た3面で表現した図です。これは3Dモデルの設計図となります。三面図を制作する際は、実際に見えている部分を実線で、隠れていて見えない部分を破線で表すようにします。
STEP3: モデリングを行う
三面図に基づいて、モデリングを行います。モデリングとは、小さな三角形や四角形などを組み合わせて3Dモデルを制作することです。これらの小さなパーツが多ければ多いほど、なめらかで複雑な形状を作れます。しかし、その分扱うのが難しくなるため、まずは数を少なめにし、シンプルなモデルの制作から始めましょう。
STEP4:マテリアル・テクスチャをつける
モデリングで完成した3Dモデルは、単色で無機質な状態です。そのため、マテリアルを使用して質感を表現したり、テクスチャで模様をつけたりします。マテリアルとテクスチャをつけることで、リアルな質感や光沢、模様を持つ3Dモデルを完成させることができます。
STEP5:リギング・スキニングで動きを与える
続いて、リギングを行い、3Dモデルに動きを与えます。リギングとは、骨(リグ)を3Dモデルに埋め込む工程です。キャラクターを動かす場合は、スケルトンという骨格を作成し、自然な動作ができるようにスケルトンの調整も必要です。リギングを行った後は、骨とキャラクター・オブジェクト本体を関連付けるスキニングを行い、3Dモデルが自然になるようウェイト調整も行います。
STEP6:レンダリングでファイルを書き出す
最後に、完成した3Dアニメーションをレンダリングし、ファイルを書き出します。レンダリングは一気に行うと時間がかかるため、ある程度作業が進んだ段階で部分的にレンダリングを行い、必要な調整を加えながら進める方法が効率的です。
このように、各ステップを順番に進めていくことで、クオリティの高いアニメーションを制作できます。
まとめ

3Dアニメーションとは、立体的なキャラクターやオブジェクトをコンピュータグラフィックス技術を使ってリアルに表現し、映像として動かす技術です。これにより、現実に近い滑らかな動きや臨場感のある映像を実現することができます。
この技術は、エンタメ業界だけではなく、ビジネス業界のプロモーション動画や指示書と言った幅広い分野でその魅力を発揮しています。3Dアニメーションは、リアリティと視覚的な訴求力を表現し、情報をわかりやすく伝えられるというメリットがあります。
しかし、3Dアニメーションを制作するためには、スキルや知識はもちろん、高性能なパソコンと専用のソフトが必要となります。クオリティの高い3Dアニメーションを制作したい場合は、プロに依頼するのがおすすめです。
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