近年、AIによる動画編集が注目されています。素材やテキストを用意するだけで、AIが自動で動画を編集してくれるのです。動画制作を内製化してプロモーションに活用したい方は、AIによる動画編集について理解することをおすすめします。
本記事では、AIによる動画編集の現状やメリット・おすすめの編集ソフトを紹介しています。さらに、AIの限界を踏まえた注意点も詳しく解説していますので、動画制作を効率化したい担当者は必見です。
■目次
AIによる動画編集とは
近年、AIによる動画編集が注目されています。AIによる動画編集とは、素材やテロップなどを設定することで、動画のカットやテロップの挿入といった基本的な編集作業を、AIが実行することです。
AIが素材やテキスト情報を判別し、自動で構成を作成、動画を編集してくれます。AIによる動画編集によって、動画編集のスキルがない方でも、ある程度のクオリティの動画を作成できるようになりました。
AI動画編集の現状
AIによる動画編集は、さまざまな場面で採用されています。企業による活用例も増えており、今後ますます活用の幅が広がることが期待されるでしょう。
例えば、NTTぷららはAIによる動画編集を活用している企業の良い例です。NTTぷららは、ソニーのAIによる動画・音響解析技術を用いて、ダイジェスト動画の自動制作に取り組んでいます。
具体的には、ソニーのAI動画編集技術を活用して、スポーツの試合のダイジェスト動画を自動で制作することを目指しているのです。
ダイジェスト動画を制作するうえでは、試合の中でも特に盛り上がった部分を集約する必要があります。ソニーのAIによる音声解析技術は、プレー中のボールの音や観客の歓声などから、盛り上がりシーンの自動抽出を可能にしました。
ダイジェスト動画に使用する素材はAIがピックアップしてくれるため、あとはストーリーに沿って編集し、配信形式ごとに変換するだけで簡単に作成できます。
現在はシーンの抽出作業の部分でAIを活用していますが、今後はダイジェスト動画を全て自動制作することが期待されています。
AIによる動画編集のメリット
AIによる動画編集には、次のようなメリットがあります。
- 編集コストを削減できる
- 誰でも簡単に動画を制作できる
- 動画の分析ができる
特に、動画制作のハードルが下がったという点は大きなメリットです。また、AIならではの分析能力を活かすことで、特定のシーンや人物の動画をピックアップできます。以下では、AIによる動画編集の3つのメリットを解説します。
動画編集のコスト削減
AIによる動画編集サービスの多くが、ツールに素材とテキストを入れるだけで簡単に動画が作れる仕組みです。そのため、動画制作会社に依頼する場合に比べて、編集にかかるコストを削減できます。
また「月額○万円で動画作り放題」というように、月額プランを用意している場合も多くあるため、このようなサービスを利用すればコストを抑えて多くの動画を素早く制作できるでしょう。
簡単に動画編集ができる
AIが自動的に動画を編集してくれるため、誰でも簡単に動画を制作できます。動画編集の知識や技術がなくても、容易に動画を作れるのは大きなメリットです。
また短い動画ならば、素材やテキストを入れれば書き出して10分以内に動画が完成するツールもあります。
現在、AIによる動画編集で対応できる作業は、動画のカットやテロップ挿入といった単純につないでいくものです。感情に訴えかけるような、細かい編集が必要な動画をAIだけで制作することは未だできません。
それでも、簡単な編集作業のみで完成する動画であれば、誰でも気軽に制作できるでしょう。
動画の分析ができる
AIは、動画や画像の抽出だけでなく、分析もできます。例えば、AIがスポーツの試合の動画編集を行い、さらにプレーの分析をする、ということも可能です。
試合の動画の中から、AIが特定のシーンを抽出したり、選手やボールの動きをマッピングしたりすることで分析に活かせます。
AIによる動画分析は、スポーツ以外でも活用可能です。例えば、過去の動画に登場した出演者の顔を登録することで、AIが動画に出てくる出演者の顔を自動で認識・抽出できます。
このように、AIが動画を分析し、特定のシーンや人物の動画をピックアップすることが可能なのです。
AIによる動画編集の仕組み
AIによる動画編集サービスは、次のようなステップで制作します。
- ソフトに動画素材やテキスト情報などを取り込む
- AIが情報を判別する
- 動画の抽出・編集を自動で行い、動画を提案する
- 微調整を行い、動画が完成する
AIによる動画編集は、AIエンジンに解析条件が設定されており、その解析結果に基づいてあるシーンを抽出・編集する仕組みです。
また、コンテンツ管理システムと連携可能なものもあります。データを検索・分析するだけでなく、自動でダイジェストを編集したり、SNS投稿までを一貫して行ったりすることが可能です。このように、AIで動画を制作し、投稿するまでのフローを効率化できます。
おすすめの編集ソフト[3選]
AIによる動画編集ツールには、さまざまな種類があります。なかには、無料で使用できるソフトもあり、AIによる動画編集を気軽に体験できるのが特長です。
ここでは、AIの技術を活用して高品質な動画を制作できるおすすめの編集ソフトを3つご紹介します。
- Filmora
- PowerDirector
- Adobe Premiere Pro
それぞれの特長や魅力、概要も掲載しているので、ソフトを選ぶ際の参考にしてください。
Filmora
「Filmora」は、Wondershareが配信する動画編集ソフトです。素材における最高の瞬間を自動で抽出し、設定した時間に応じてカットして編集してくれます。
またAIが素材内の人物を検出し、背景を消して別の動画に重ねることも可能です。編集スキルやグリーンバック・クロマキーなどのツールがなくても簡単に動画を合成できます。
無料プランが用意されており、期間制限なく使用できます。そのため、使用感を確かめやすいのも魅力です。
提供 | Wondershare |
対応OS | Windows、Mac |
価格 | 無料/6,980円(税込)~ |
無料トライアル | あり(期間制限なし) |
公式サイト | https://filmora.wondershare.jp/ |
PowerDirector
「PowerDirector」は、台湾のCyberLinkが提供するAI動画編集ソフトです。AI技術を活用した編集機能が豊富に搭載されており、誰でも簡単にプロレベルの動画が作れるよう設計されています。
「AIスピーチ強調」は、AIが素材中の話し声を検出し、強調・調整可能です。また、「AIウィンド除去」では、ウィンドノイズを自動で除去できます。さらに、「AI空の置き換え機能」ではAIが素材内の空を検出し、自然に別の空に置き換えられます。
このほかにもさまざまな便利機能が揃っており、レベルの高い動画を気軽に制作したい場合に適したソフトです。
無料トライアルが30日間と長めに設定されているほか、通常版やサブスクリプション版など自分に合ったものを選びたい、という方におすすめです。
提供 | CyberLink |
対応OS | Windows、Mac |
価格 | 通常版Ultra/12,980円(税込)ほか サブスク版/517円(税込)[1か月から]ほか |
無料トライアル | あり(30日間) |
公式サイト | https://jp.cyberlink.com/products/powerdirector-video-editing-software/comparison_ja_JP.html |
Adobe Premiere Pro
「Adobe Premiere Pro」は、Adobeが提供する動画編集ソフトです。AIによって、編集作業の大幅な短縮を実現しています。
AIが自動的にシーンをカットしてくれる「シーン編集検出」や、他のショットと色合いを揃えられる「カラーマッチ」など、便利な機能が魅力です。
さらに、インタビューのようにカットして素材をつなげることが多い動画をなめらかに仕上げられる「モーフカット」機能も搭載されています。
提供 | Adobe |
対応OS | Windows、Mac |
価格 | 月額2,728円(税込) |
無料トライアル | あり(7日間) |
公式サイト | https://www.adobe.com/jp/products/premiere.html |
AIによる動画編集の注意点
AIによる動画編集は、誰でも気軽に動画を制作でき、AIならではの分析も可能とさまざまなメリットがあります。しかし、以下のような点に注意が必要です。
- 動画が単調になりやすい
- AIに依存してしまう恐れがある
AIで動画編集を行う際はAIの限界を理解し、必要に応じて人の手を使いましょう。以下では、AIによる動画編集の注意点を詳しく解説します。
単調になりやすい → 企画やストーリーの重要性
現在、AIで可能な作業は、素材の抽出やテロップの挿入などの簡単なものに限られます。感動的な動画や興奮を伝えるような動画を作成するためには、人の手が必要です。
プロが動画編集を行う際、あえて無駄とみなされるようなシーンを入れることで、動画映像にメリハリを持たせることがあります。AIではそうした判断ができないため、没個性的でメリハリがない単調な動画になりやすいのが課題といえるでしょう。
そのため、AIによる動画編集では、企画やストーリー作成が重要です。企画やストーリー作成を工夫することで、個性や雰囲気のある動画に仕上がります。
AIへの依存 → AI vs 編集者で作業を分けて効率化
AIを使って動画編集を行う際は、すべての作業をAIに任せるのではなく、人間とAIで役割分担を行いましょう。
企画やストーリー構成・最終調整など、人の心に訴えかける動画を制作するうえで重要な部分は人間がしっかり行います。そして、一部の単純作業をAIに担当してもらうことで、効率よく質の高い動画が制作できるのです。
制作会社には、AIにはない以下のようなメリットがあります。
- 豊富な知見と企画力でクリエイティブな動画制作を依頼できる
- 動画撮影も依頼できる
- アニメーションやCG・エフェクト効果を駆使して動画を仕上げられる
動画制作会社の大きな強みは、豊富な知見に裏打ちされた企画力です。ターゲットや予算をもとに、適切な企画提案を行えます。
また、AI動画編集ツールでは撮影を自身で行う必要がありますが、動画制作会社なら撮影部分から依頼可能です。
さらに、編集においてもアニメーションやCG・エフェクト効果など、目的に応じた効果的な編集を見極め、クオリティの高い動画に仕上げられます。
このように、動画制作会社ならではのメリットも多く存在します。質よりもスピードや量が重要な動画制作ではAIを使って内製化し、クオリティが重要な場合はプロに依頼する、というように目的に応じて使い分けましょう。
当社では、会社紹介や製品プロモーションなど、さまざまな目的に応じた動画制作サービスを展開しています。丁寧なヒアリングを通して、ターゲットや予算に適したコンテンツを提案し、質の高い動画を制作できます。動画を活用したプロモーションを検討している方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
まとめ
本記事では、AIによる動画編集について、仕組みや注意点、おすすめのソフトなどとともに解説しました。AIを活用することで、誰でも気軽に動画が制作できます。しかし、人の心を動かすような動画を制作するためには、依然として人の手が必要です。
AIと、動画制作のプロである制作会社には、それぞれの強みがあります。各々のメリットを理解し、使い分けることが大切です。
今後も、AIによる動画編集サービスは拡大していくことが予想されます。効率化のために、AIの力を借りて一部作業を行うこともぜひ検討してみてください。