「CG(コンピュータグラフィックス)」という言葉を耳にしたことがあると思います。いまやCGはTVCMや映画、アニメーションなど多くの媒体で使われ、知らず知らずのうちに目にする機会が増えていることはいうまでもありません。
この記事では、3DCGを作るCGクリエイターにフォーカスして、その仕事内容や勉強方法などをわかりやすく解説します。
■目次
CGの歴史
まず、CGの歴史を紐解いてみましょう。CGとは、いつ頃から使われるようになったのでしょうか。1980年初頭から使われはじめ、1982年の「TRON」というアメリカのSF映画が、世界で初めて本格的にCGを導入した映画として注目を集めました。
その後、1990年代には「ターミネーター」のVFXがCGの飛躍的な進歩として注目され、「ジュラシック・パーク」によってCGがこれまでのストップモーションアニメーションに代わるものとして評価されました。
現在、全編CGの映画やアニメも数多く登場し、日本でも多くのCG作品が作られるようになりました。
CGクリエイターとは?
職業としての観点から、CGを作る人の話を進めてみましょう。
CGクリエイターとは、コンピュータを使ってCGを制作する人のことで、さまざまな役割を担うポジションの総称です。日本では「CGデザイナー」「CGアーティスト」と呼ばれることもあります。
CGクリエイターのなかにもさまざまなポジションがあり、それぞれ得意分野を生かして活躍することもできます。
代表的な3つのポジションを挙げてみます。
【モデラー】
キャラクターやアイテム、背景など、平面を奥行きのある三次元の物体として立体的に形作ります。二次元では描かれていない隠れた部分や細部まで三次元化し、リアリティのある表現を可能にします。
【アニメーター】
アニメーターはキャラクターの動きをつけるだけではなく、モデラーが作った「三次元の物体」を動かしたり、カメラのポジションを動かしてアニメーションさせたりといった広範囲の作業を担っています。
【エフェクター】
爆発、炎、煙、雷、水、光など自然現象やイメージをCGを用いて演出し、視覚効果をデザインします。自然現象や物理法則など理解した上で、シーンを盛り上げ、リアリティが増すように効果的な演出を加えます。
CGは映画やCMなどの映像分野で使われているイメージがあるかもしれませんが、最近では、医療業界をはじめ、建築・車・製造業のようなプロダクト業界でも3DCGが活用されています。それに伴ってCGクリエーターの活躍の場は広がりをみせており、今後も多分野でCGクリエーターの需要は高まるといえるでしょう。
CGクリエイターの仕事内容とは?
CG制作は作業量が大変多く、チームで役割を分担して制作を進めていくことがほとんどです。先述したモデラー、アニメーター、エフェクターなどの役割に分かれ、専用ソフトを用いて各工程の作業に取り組みます。このように、さまざまなポジションのスペシャリストが技を結集して一つのCG作品を完成させていきます。もちろん、ゼネラリストと呼ばれる3DCGの全ての工程を一人でこなせるクリエイターもいますので、自身で作品の全てを作りたい人は、このゼネラリストを目指すべきでしょう。ちなみにモデラーやアニメーターはこのゼネラリストと対比してスペシャリストと呼ばれています。
そのほか、プロデューサーやディレクターは、チームで連携を取るための重要なポジションで、顧客との交渉を行うこともあります。
CGクリエイターに向いている人とは?
ではどんな人がCG制作に向いているのでしょうか?
根気よく作業する必要がある
CGは魅力的なものを作ることができ、作業自体も楽しいものと思うかもしれません。しかし、実際のところCGを作る作業そのものは地味であり、派手さはそれほどないのです。同じ作業を何度も繰り返したり、似ている作業を行ったりして完成させていきます。また、ちょっとしたズレが作品全体の質を下げてしまう可能性があるため、クオリティの高いCGを作るには細心の注意を払う必要があります。そのことからも、CG制作をする人は根気よく、最後まで取り組むための覚悟が必要です。
集中してものづくりができる
どのような創作物にもいえることですが、CGもすぐに作れるものではありません。具体的な時間は作品次第ですが、キャラクターを1体作るのに毎日8時間稼働する計算で、数日から数ヶ月ほどの時間がかかるとされています。とことん1つの物事に集中できる人であればCG制作を楽しく思えるかもしれません。つい時間を忘れてしまうほど好きなものを集中して作るような人、言い方を換えれば、それほどの熱量がある人、粘り強い性格の人は向いているといえるでしょう。
CGクリエイターになるためには?
CGクリエイターに必要とされるスキルは多岐にわたり、前に述べたようなモデラー、アニメーター、エフェクターなど担当する作業によっても異なります。CG制作の全工程にふれ、自分の得意分野を知り、どのポジションを目指すか決めることも大切です。また、あらゆるポジションで経験を積めば、ディレクターやプロデューサーを目指すこともできるでしょう。
実力をつければフリーランスのクリエイターの道もありますが、制作会社やCG業界への就職が多数派でしょう。CGスキルはもちろんのこと、チームとのコミュニケーション能力、顧客となるユーザーの意図を汲み取り、要望に合わせることのできる対応力を備えておくことも重要になります。将来、プロのCGクリエイターを目指そうとする場合、押さえておきたいポイントです。
CGクリエイターになるための勉強方法
では、CGクリエイターになるにはどのような勉強方法があるのでしょうか。CGスキルを習得するための4つの方法を挙げてみます。
それぞれメリットやデメリットがあるため、自分に合った方法でCGスキルを習得するのがよいでしょう。
1. 独学で習得する
2. 専門学校で履修する
3. オンライン講座で学ぶ
4. 制作会社に就職する
独学で習得する
独学の場合はコストを抑えて勉強できるため、できる限りお金をかけずにCGスキルを習得したい人におすすめの方法です。YouTubeなど動画での情報のほか、初心者から上級者向けといったレベルに合わせた書籍を選ぶことで勉強することが可能です。自分のペースで勉強したい方には向いているといえるでしょう。
しかし独学の場合は、モチベーションに左右されやすいというデメリットがあります。専門学校やオンライン講座の場合は、お金を支払ったという覚悟や仲間の存在がありますが、独学の場合はありません。コストもそこまでかかっていないからこそ、モチベーションが下がるにつれてスキルの習得を諦めてしまう恐れがあります。
専門学校で履修する
専門学校の場合は、プロのCGクリエイターから教えてもらえるため、効率よくCGスキルを習得できます。専門学校では仲間も作りやすく、モチベーションの低下を防げるでしょう。
デメリットとしては、お金の問題です。今回紹介する方法の中では一番お金がかかる上に、授業時間も決められています。そのため、学校や仕事といった、いわゆるWワークでCGスキルを習得したい方は時間の確保が課題になります。
オンライン講座で学ぶ
オンライン講座は、わざわざ学校に通わなくても学ぶことができるため、近くに専門学校がない方にもおすすめです。ネット環境があれば、好きな場所、好きな時間に講座を受講できる点が大きな魅力です。専門学校に比べると、Wワークでも学びやすい方法になるでしょう。
直接講師から学べないデメリットもありますが、好きな時間に効率的に学ぶ選択肢が増えることはいうまでもありません。
制作会社に就職する
未経験で就職した後、仕事として取り組みながらCGスキルを習得する方法です。教育体制が整っている会社であれば可能ともいえるでしょう。
一方、未経験でCG制作会社に就職するのは難しいということがデメリットです。新卒の場合は未経験者でもOKという場合がありますが、それ以外は即戦力として経験者のみの採用が多いため、事前に希望する会社の採用情報、教育体制を調べることをおすすめします。
まとめ
CGクリエイターという職業について、仕事内容や勉強方法がおわかりいただけたかと思います。自分に合った方法でCGスキルを習得し、さまざまな業界へと活躍の場を広げてみてはいかがでしょうか。CGクリエイターは今後も大きな需要があると見込まれており、スキルを習得していれば就職に有利になることが期待できます。
日頃から多くのCG作品を見て感性を磨き、CGを使った作品を作ってみたい、という熱量をあわせて持ち続けることも重要でしょう。
ゼネラルアサヒではCGクリエイターの採用を積極的に行っています。ぜひお気軽にお問い合わせください。