Web広告の代表的媒体といえば、Google(GDN)とYahoo!(YDA)が挙げられます。
提携するウェブサイトをはじめ、モバイルアプリや動画コンテンツに広告を配信できます。またYouTubeにも配信可能です。
5Gの普及によって動画のディスプレイ広告はますます増えていくと考えられており、テキストや静止画に比べてユーザーへの高い訴求力があります。短時間で興味を惹きやすく、次のアクションにつながりやすい効果を上手に活用してみましょう。
注力すべきと分かっていても、いざ広告を出稿するとなると不安なことも多いはず。
本記事では、ディスプレイ広告のメリット、具体的な準備、出稿手順を詳しくご紹介します。
■目次
ディスプレイ広告とは
ディスプレイ広告とは、Webサイトやアプリの広告枠に表示される、バナー広告のことです。画像とテキスト、あるいは動画とテキストという形で入稿します。Webサイトのコンテンツに応じて表示されるため、コンテンツ連動型広告とも呼ばれます。
ディスプレイ広告をクリックするごとに課金される、クリック課金制です。リスティング広告は、購入意欲の高い顕在ユーザー層にアプローチするのに適しており、ディスプレイ広告は、まだ購入を意識していない潜在層にアプローチするのに適しています。
主なディスプレイ広告の3つの種類
ディスプレイ広告の主なネットワークは、Googleディスプレイネットワーク(GDN)、Yahoo!ディスプレイ広告(YDA)、YouTube広告の3つです。
それぞれユーザー数や配信できる提携サイトが異なるため、ネットワークごとの特徴を理解した上で、どこに出稿するかを考えましょう。
1.Googleディスプレイネットワーク(GDN)
Googleディスプレイネットワーク(GDN)は、Googleが提供するさまざまなサービスやアプリ、Webサイトに広告を配信できるディスプレイ広告です。
広告配信先が幅広く、コンテンツターゲティングやオーディエンスターゲティングも可能なため、多くの潜在顧客に効率よくアプローチできるという特長があります。
種類 | 配信先 | 概要 |
スキップ可能なインストリーム | YouTube 動画、Google 動画パートナー | YouTubeおよび Google 動画パートナー上のウェブサイトやアプリで配信されている動画の、前後または途中に再生される動画広告 再生開始から5秒後にスキップできる |
スキップ不可のインストリーム | YouTube 動画、Google 動画パートナー | YouTubeおよび Google 動画パートナー上のウェブサイトやアプリで配信されている動画の、前後または途中に再生される動画広告 スキップできない |
インフィード | YouTube ホームフィード、YouTube 検索 | ターゲットユーザーが視聴する可能性の高いYouTubeコンテンツの近くで配信される動画広告 |
バンパー | YouTube 動画、Google 動画パートナー | スキップ不可のインストリームのうち、6秒以下のもの |
アウトストリーム | Google 動画パートナー(GVP) | モバイル端末専用で、Google動画パートナーサイトやYouTube以外のアプリに表示される広告 |
2.Yahoo!ディスプレイ広告(YDA)
Yahoo!ディスプレイ広告(YDA)は、Yahoo!のトップページやYahoo!ニュース、そのほか提携しているサイトなどに広告を配信できるディスプレイ広告です。
YDAには、特定のキーワードを検索したユーザーに対して広告を配信できる「サーチターゲティング」という機能があります。ニーズがあるユーザーにピンポイントでアプローチできるのが魅力です。
また、朝日新聞デジタルや食べログなど、信頼できる法人サイトと提携しているため、不適切なWebサイトに広告を配信してしまうリスクも防げます。
種類 | 概要 |
バナー | 画像または動画のみを表示する広告 文章は入らない |
レスポンシブ | テキストや画像、動画、「もっと見る」などのボタンで構成される広告 |
動的ディスプレイ | CSV形式でアップロードした商品リストの情報を、掲載面に合わせて動的に表示できる広告 |
カルーセル | 複数枚の画像を組み合わせて表示する、横長のバナー広告 |
テキスト | テキストのみの広告 |
3.YouTube広告
YouTube広告は、YouTubeの動画再生ページや動画の前後、検索結果部分などに表示されるディスプレイ広告です。GDNに申し込むと掲載できるため、正確にはGDNの一種です。
YouTube内のディスプレイ広告はクリック先がLPやWebサイトのものを指し、検索結果や関連動画に表示されるディスカバリー広告は、クリック先が動画広告のものを指します。
YouTube広告の中でも動画内に表示されるインストリーム広告は、動画を再生した人に必ず見てもらえるため、リーチが広がりやすいという特長があります。
また、動画再生画面全体で訴求できるため、ユーザーの印象に残りやすいのもポイントです。
ディスプレイ広告で動画を出稿する4つのメリット
ディスプレイ広告は、テキストと静止画で出稿することもできます。しかし、より効果的な広告にしたい場合は、動画を出稿するのがおすすめです。
ここでは、ディスプレイ広告で、静止画ではなく動画を出稿するメリットを4つ紹介します。
1.静止画よりも多くの情報を伝達できる
動画は、静止画よりも多くの情報を伝達できるのがメリットです。1分間の動画は、テキスト180万語分と同じ情報量であるとされています。ディスプレイ広告に動画を用いることで、多くの情報を短時間で伝えられます。
また、静止画では伝えるのが難しい情報も、動画なら具体的に伝達できるのも魅力です。たとえば、コスメのテクスチャーや色合い、お肉が焼ける音などは、動画を用いることで効果的に訴求できます。
2.印象に残りやすく潜在層にアプローチできる
視覚や聴覚にアプローチできる動画広告は、静止画に比べると印象に残りやすいというメリットもあります。覚えてもらえる確率が高いということは、企業や商品の認知度向上やブランディングに役立つでしょう。
また、まだ商品やサービスを知らない潜在層にアプローチしやすいのもポイントです。Yahoo! JAPANの調査では、動画広告は静止画の広告に比べると、潜在層に反応してもらえる傾向にあることがわかっています。
参考:Yahoo! JAPAN広告「動画広告を配信するメリットとは?」
3.購入や資料請求といったユーザーの行動を促せる
比較検討段階のユーザーに対して、購入や資料請求といった行動を促しやすいのも特長です。
ユーザーが広告を視聴して情報を得た後にクリックするため、コンバージョン率が高くなりやすいと考えられています。
商品やサービスを認知しているものの、資料請求や購入といった行動には至っていないユーザーにアプローチしたい場合、動画広告が効果的です。
4.多様なターゲティングで効果的にアプローチできる
動画広告なら細かいターゲティングができ、効果的にアプローチできます。
動画広告では、ユーザーの年齢や性別、興味関心や購買意向など、多様なターゲティングができることが多いです。広告を掲載するサイトやカテゴリーを選べる場合もあります。そのため、商品やサービスに興味を持っているユーザーにピンポイントで配信でき、効果的にアプローチできます。
ニーズがあるユーザーを狙って訴求できるため、広告費も抑えられるでしょう。
参考:https://www.lycbiz.com/jp/column/yahoo-ads/marketing/what-is-display-movie/
GDNにおけるディスプレイ広告動画の入稿規定
ディスプレイ広告で動画を入稿する際は、入稿先ごとの規定があります。
GDNにおけるディスプレイ広告動画の入稿規定は、以下のとおりです。
スキップ可能なインストリーム | スキップ不可のインストリーム | インフィード | YouTube動画広告 | |
動画の長さの上限 | 上限なし(3分未満が推奨) | 15〜20秒 | 上限なし | フォーマットまたはキャンペーン タイプによって異なる |
推奨解像度 | 1080p(フル HD) | |||
推奨アスペクト比 | 16:9 9:16 1:1 |
16:9 1:1 |
16:9 9:16 1:1 |
|
推奨フォーマット | MPG(MPEG-2 または MPEG-4) | |||
ファイルサイズ | 256GB以下 | |||
広告見出し / 説明文 | 15文字以下 | 広告見出し:最大 2 行、1 行あたり半角 40 文字(全角 20 文字)
説明文:最大 2 行、1 行あたり半角 35 文字(全角 17 文字) |
– |
参考:Google広告ヘルプ「スキップ可能なインストリーム広告」
参考:Google広告ヘルプ「スキップ不可のインストリーム広告」
参考:Google広告ヘルプ「インフィード動画広告」
参考:Google広告ヘルプ「動画広告の仕様について」
YDAにおけるディスプレイ広告動画の入稿規定
YDAにおけるディスプレイ広告動画の入稿規定は、以下のとおりです。
バナー | レスポンシブ ※A、Bどちらかのサイズで作成する |
|
アスペクト比 | 16:9 1:1 |
A.16:9 B.1:1 |
最小ピクセルサイズ(横×縦) | 640ピクセル x 360ピクセル 600ピクセル x 600ピクセル |
A.640ピクセル x 360ピクセル B.600ピクセル x 600ピクセル |
ファイルサイズ | 最大200MB | A.最大200MB B.最大200MB |
音声コーデック | AAC LC | |
動画コーデック | H.264、H.265 | |
ファイル形式 | MP4、MOV | |
最小映像ビットレート(推奨値) | 1Mbps以上 | |
最小音声ビットレート(推奨値) | 128kbps以上 | |
再生時間 | 5〜60秒 | |
タイトル | – | 20文字以内 |
説明文 | – | 90文字以内 |
最終リンク先URL | – | 1024文字以内 |
参考:Yahoo!広告ヘルプ「バナー(動画)-運用型」
参考:Yahoo!広告ヘルプ「レスポンシブ(動画)」
ディスプレイ広告で動画を配信する際の課金方式
ディスプレイ広告で動画を配信する場合、掲載自体は無料である場合が多いです。
広告が表示されたら課金される「インプレッション課金」と広告のクリックや動画再生といった、ユーザーの反応に課金される「クリック課金」や「動画再生課金」があります。
課金方式をまとめると、以下のとおりです。
課金方式 | 内容 |
動画再生課金 | 動画が再生されるごとに課金される方式 |
クリック課金 | 広告がクリックされるごとに課金される方式 |
ビューアブルインプレッション課金 | ユーザーが目にする範囲内に広告が表示された際に課金される方式 |
ディスプレイ広告に出稿する動画の制作方法
ディスプレイ広告に出稿する動画を制作する際は、自社で制作する方法と、プロに依頼する方法があります。
1.自社で制作するか制作会社に依頼するか決める
まずは、動画を自社で制作するか、制作会社に依頼するかは何に重点をおくかが重要です。
内製化することで、外注費用がかからないため、コストを抑えられます。しかし、動画制作ができる人材や専門の機材などを揃えなければなりません。特に、ディスプレイ広告の場合は、広告の種類ごとに細かい入稿規定があるため、制作に時間がかかる可能性が高いです。
入稿規定を守りつつ高品質な動画を制作したい場合は、プロの映像制作会社に依頼しましょう。当社では、さまざまなニーズに合わせて、クオリティの高い動画を制作できます。ディスプレイ広告用の動画を制作したい方は、ぜひお問い合わせください。
2.ペルソナを具体的に設定する
ディスプレイ広告用の動画を制作する際は、「誰に向けて広告を出すのか」を意識しましょう。ペルソナを具体的に設定することで、より視聴者に刺さる動画を制作できます。
たとえば、20代前半の女性向けの動画と、40代後半の男性向けの動画では、ユーザーを惹きつけられる内容や動画のテンポ、使用するフォントなどは大きく異なります。
ペルソナが複数存在する場合は、それぞれに動画を制作するのが理想的です。
3.動画内で伝えたいメッセージを明確化する
動画内で何を伝えたいのかを明確にし、1つの広告には1つのメッセージを入れるようにしましょう。
動画広告を最後まで視聴するユーザーは少ないため、広告を短い間だけ見ても、メッセージが伝わるように工夫する必要があります。
伝えたいメッセージを明確化し、それが伝わるような構成・内容にすることが大切です。
ディスプレイ広告に出稿する動画制作の5つのポイント
ディスプレイ広告に出稿するための動画を制作する際は、ユーザーが興味を持てるような内容にしましょう。
ここでは、ディスプレイ広告の訴求力を高めるために、動画制作時に意識したい5つのポイントを紹介します。
1.テンポのよい動画を制作する
テンポのよい動画になるよう、ストーリー展開を工夫しましょう。
長く単調な動画は、視聴者に飽きられてしまいます。特に、Z世代の集中力持続時間は8秒といわれており、多くの視聴者にストレスなく見てもらうためには、短くテンポのよい動画を制作することが大切です。ユーザーに興味を持ってもらえれば、訴求力もアップします。
伝えたいメッセージが目立つよう、盛り込む情報はなるべく減らしましょう。
参考:JETRO「次世代を担う『ミレニアル世代』『ジェネレーション Z』-米国における世代(Generations)について-」
2.テキストの文字数を短くする
動画に入れるテキストの文字数を短くすることもポイントです。長いテキストは、ユーザーにとってストレスになり、離脱を招いてしまう場合があります。テキストを読むことに集中するあまり、動画のメッセージが伝わりにくくなってしまう可能性も否めません。
短く簡潔なテキストを入れ、何についての動画なのかがすぐわかるようにしましょう。
3.音声がなくても伝わる動画にする
ディスプレイ広告では、字幕や吹き出しなどを使い、音声なしでも内容がわかる動画にすることも大切です。
ディスプレイ広告の中には、クリックしないと無音で再生されるものがあります。また、音声をオフにして視聴する方も多いため、基本的に無音で再生されると考えておくべきです。
テキストを簡潔にすることも大切ですが、重要な部分には適宜文字を入れましょう。
4.冒頭で興味を惹きつける
冒頭5秒までに興味を惹きつけることで、動画を見てもらいやすくなります。冒頭で興味を持ってもらえなければ、動画を再生し続けてもらうことは難しいです。
離脱を防ぐためには、ユーザーの共感を呼ぶメッセージを入れる、会社名や商品名など覚えてもらいたい情報を冒頭に持ってくる、印象的な映像から始める、などの工夫が求められます。
5.具体的な数値を含める
具体的な数値を盛り込むことで、より訴求力がアップします。
たとえば、「作業を効率化!」という文言に比べ、「作業時間を30分短縮!」という文言のほうが、サービスを利用する魅力が具体的に伝わるでしょう。
商品やサービスを利用する効果を定量データで示したり、導入実績や満足度といった数値を入れたりして、購入するメリットが明確に伝わるよう工夫することが有効です。
まとめ
この記事では、ディスプレイ広告の種類、動画広告を出稿するメリット、出稿方法や効果の上がるポイントを解説しました。
GDN(Google)やYDA(Yahoo!)はインターネットユーザーに広くリーチできる広告といえます。そこで動画広告を上手く活用すれば、ターゲティングしたユーザー層に確実にアプローチすることができるでしょう。
動画広告は誰に向けて動画を作るのかを意識して、伝えるメッセージを絞り明確に伝わるように構成・内容を考えるのが大切です。制作のポイントは、テンポの良いストーリー展開にして、音声なしでも内容が分かるようにし、冒頭で興味を惹きつける演出をすることです。
ぜひこの記事を参考にして、動画を使ったディスプレイ広告にチャレンジしてみてください。