COLUMNコラム

教育業界で注目高まる動画活用。メリットと活用事例、制作のポイントを紹介

公開日: 2023年9月21日    

文部科学省によるGIGAスクール構想のもと、今、学校教育ではICT環境整備とその活用が大きく進んでいます。ICT教育の一環として、動画教材の利用やオンライン授業など動画活用への注目も高まっています。この記事では教育現場で動画を使うメリットや活用事例、プロならではの制作ポイントをご紹介します。

教育業界で動画が注目されている理由

学習塾や予備校では以前から授業動画を使ったeラーニングを展開していたり、学校教育では新型コロナウイルス禍にオンライン授業を行ったりと、動画は一見すると不便さや問題の解消に役立っています。しかし今後、便利であるというだけでなく、学力向上につながる教材として期待されています。

GIGAスクール構想で進むICT教育

2019年12月、文部科学省が生徒1人に1台の端末と高速大容量の通信ネットワークを整備するGIGAスクール構想を打ち出しました。

文部科学省「GIGAスクール構想の実現について
https://www.mext.go.jp/a_menu/other/index_00001.htm

Microsoft,Apple,Googleの大手IT企業が、それぞれ教育機関向けの学習支援アプリ等を用意しており、GIGAスクール構想に応じています。

〈教育現場での活用事例等〉
マイクロソフトGIGAスクールパッケージ
https://www.microsoft.com/ja-jp/biz/education/gigaschool-make-good-use.aspx

Google for Education
https://giga.withgoogle.com/

GIGAスクール構想をAppleと
https://www.apple.com/jp/education/giga/

このように教育ICT環境の実現が進む中、新型コロナウイルスの蔓延により、初めてオンライン授業を取り入れた学校も多くありました。コロナ禍の数年の間に一気に加速したかのようにも見える学校教育でのICT活用。学校現場でも今後ますます動画の活用が進むのではないかと考えられています。

動画教材は多くの情報を提供できる

学校教育では、動画を利用することで授業が分かりやすくなり、学習効果が高まると期待されています。授業中、板書をノートに書き写すばかりでは、内容が頭に入ってこないこともしばしばあります。動画は、テキストだけでは分かりにくい内容も視覚的に伝えることができます。動きを見ることでイメージがつきやすいもの、音声(声や音)を伴うものの学習にはとくに有効です。ニュースや参考映像を活用すれば、生徒の知識や興味が多方面に広がり、深い学びへとつながります。

学習内容や情報を伝えやすい

動画は、文字ばかり並ぶ教科書を読むのと違って、テレビを見るように気負わずに視聴することができます。視覚的に訴求するので、興味を惹きやすく、記憶にも残りやすいといわれています。アニメーションやデモンストレーションを活用したり、テロップや効果音を使ったりと、動画ならではの表現方法は学習内容を直感的に伝えることができます。

動画コンテンツの普及と高まる需要

YouTubeで検索すると、多彩な教育チャンネルが用意されています。また、授業や家庭で活用できる動画コンテンツをWebサイト上で無料で提供している国や民間企業の取り組みもあります。

STEAM Library(経済産業省の「未来の教室」事業の一環)
https://www.steam-library.go.jp/

NHK for School
https://www.nhk.or.jp/school/

eTeachers GIGA School(チエル株式会社)
https://eteachers.jp/

このように学校教育での活用を前提とした質の高い動画や教材となるコンテンツを、今はインターネットで簡単に閲覧、ダウンロードすることができます。
一方で、学校の方針や授業内容、生徒の年齢や属性にぴったりと合ったコンテンツが見つからないなど、動画活用への意識が高まれば高まるほど、従来のコンテンツでは物足りなさを感じる場合もあるでしょう。YouTubeやSNSで動画慣れしている生徒を飽きさせないためには、動画のクオリティも求められます。

効果的な教育動画とは?

教育動画にとって大切なことは、教材として分かりやすいか、学習効果があるかです。
効果的な動画とは何でしょう。

  • 学習のポイントが整理されていて、伝えたい内容が明確である
  • イメージしやすく、生徒が興味を持って見ることができる

「ただ見るだけ」に終わらず、学習の理解が深まるもの、実際の授業やテストと組み合わせ学習効果が感じられるものでなければなりません。

2. 教育業界における動画の活用事例

教育業界での動画の活用は教材としてだけではありません。教育現場で進む活用事例をご紹介します。

学校・施設紹介

入学希望者や保護者に向けて学内や学校施設を紹介する際などに活用されます。動画なら、まるで自分がそこにいるかのような感覚になれるので、学校の雰囲気や入学後の生活のイメージが膨らみ、印象にも残りやすいです。WEBサイトで閲覧できれば、遠方の方でも見てもらうことができます。
理事長や学校長のあいさつにインタビュー動画を使う方法もあります。声や表情とともに伝えたい想いをダイレクトに届けることができるので、よりメッセージ性が高まります。

研究内容の公開

大学や専門機関では、研究内容を動画で公開する場合もあります。専門性が高い内容を論文で読むのは、ともすると素人相手には敬遠されがちです。しかし動画であれば、ニュースや教育番組のように興味を持って見てもらうことができます。テロップを使ったり、ナレーションを別に収録したりすることで多言語化も可能です。
教育現場での身近な例としては、東京都教育委員会が配信している「とうきょうの情報教育」というYouTubeチャンネルがあります。まさに東京の情報教育やICTの活用事例などを、実際の授業動画などを用いて情報発信しています。

とうきょうの情報教育
https://www.youtube.com/channel/UCgPiTYK938qlQCi-lTxaKVQ

授業動画

学習塾や予備校、資格スクールなどでは、すでに映像コンテンツとして授業動画の活用が進んでいます。生徒たちはどこにいても同じ動画を視聴できるので、教師の質や環境による学習の偏りをなくすことができ、教育の均質化に役立っています。
いつでも、どこでも、繰り返し見ることができるので、休んだ日の授業や分からない部分の学び直し、予・復習にと、自分のペースで学習できるのが大きなメリットです。

〈授業動画の一例〉
スクールTV
https://school-tv.jp/
小中学生向けの動画学習サービス。単元ごとの授業が無料で視聴できる動画もあります。

オンライン授業

オンライン授業は、コロナ禍で一般にも広く浸透しました。今ではほとんどが対面授業に戻りましたが、学校にはさまざまな理由で登校が難しい生徒もいます。インターネット環境とパソコンやタブレット端末さえあれば、教室でなくても授業が受けられるようになると、そのような生徒も授業に遅れることなく、同じように教育の機会を享受することができます。

3. 教育動画を制作するポイント

今は無料の動画編集ソフトもあり、自分で動画を作ることもできます。より効果的な動画を作るために押さえるべきポイントをご紹介します。

ストーリー仕立てにするなどシナリオに工夫を!

動画を作るには、「撮影」「編集」以外に「企画」「シナリオ作り」も重要な工程です。撮影を始める前に、まずしっかりとした企画やシナリオを用意しましょう。
テーマによって向き不向きもありますが、よく使われる事例としてストーリー仕立てにするという方法があります。視聴者(生徒)と等身大のキャラクターが登場することで、共感性が高まり、印象にも残りやすくなります。ストーリー性を持たせる場合は、特にシナリオ作りが重要です。
また、動画の途中にクイズやワークを設定して、生徒自身が考えたり、調べたり、周りの生徒と話し合ったりする時間を作るなどの方法もあります。動画を作る時点でリアルな授業での展開を考えておくと、学習の理解がより深まるものになります。

動画ならではの表現方法を活用する

動画には多彩な表現方法があります。話し方や効果音など「耳で聴く」と、アニメーションや実写映像、スライド、テロップなど「目で見る」を上手に組み合わせ、時には使い分けて、そのテーマに最適な表現方法を選びましょう。アニメーションは特に自由度が高く、内容に合わせて工夫しやすいので、ぜひ活用したいところです。
授業動画の場合、教師の顔、板書、説明(音声)だけでは飽きてしまいがちです。合間にスライドを挟んだり、テロップを活用して学習のポイントを強調したりと表現を使い分け、飽きない工夫をしましょう。

関心が薄い生徒の興味を惹きつける

動画をテレビのように視聴できるといっても、関心の薄い視聴者(生徒)もいるでしょう。興味を惹くためには、自分のこととして捉えられるような工夫をします。実際のエピソードや正しい例と悪い例(間違い例)を盛り込むとイメージがつきやすく、関心も高まりやすくなります。
ダラダラと説明するよりも、まずは冒頭で結論(その動画で伝えたい学習のポイント)を先出しします。そうすれば聞くべきポイントを意識しながら見ることができます。

情報を盛り込みすぎない

教育動画に限らず、最近の動画は短尺のものが主流になってきています。集中力は長く続かないので、学習のポイントを押さえて、長くても15分以内にまとめるようにしましょう。スマートフォンの普及により、1〜2分程度の非常に短い動画も増えています。伝えたい内容を細分化し、動画1本あたりの時間は長くなりすぎないように構成しましょう。

視聴者(生徒)目線で制作する

当事者が作る失敗例としてありがちなのが、「このくらいは分かるだろう」という思い込みが働き、結果、分かりにくい動画になってしまうことです。これまで述べてきたように、実際の対面授業とは異なる、動画ならではの伝え方のコツがあります。生徒が見て分かりやすいかどうか第三者に見てもらう、あるいは第三者に制作を依頼するというのもひとつの方法です。

4. 教育業界の動画を制作する際の注意点

実際に動画を作り活用していくとなると、その前にいくつか考えなければいけない問題があります。

設備・環境を整える

動画を制作するには、最低限必要な道具がいくつかあります。パソコン(編集ソフト)、カメラ、三脚、マイク、照明です。カメラは、画面の切り替えなどの演出を加えたい時や、レンズの口径や画角がイメージと合わない時の予備として、必要に応じて複数のカメラを用意し、アングルを変えて撮影します。カメラを固定する三脚も必要です。
マイクは、特に授業動画には必須です。声の聞き取りやすさが重要な要素になるので、パソコン内蔵ではなく、取り付けできる外部マイクを用意しましょう。
画質の良さは、明るさひとつで大きく変わります。できれば照明も用意しておきましょう。

セキュリティやプライバシーへの配慮

実際の授業を撮影して配信する場合などは、映り込んでいる生徒や学校関係者のプライバシーの問題もあります。外部の人は視聴できないようにアクセス制限をかけることが重要です。YouTubeの限定公開もありますが、URLが流出すれば誰でも見ることができてしまいます。セキュリティ対策を講じた専用システムを利用するのが最も安心できるでしょう。

教員のICTに関する理解の向上

このように動画を撮影、編集して、システム上にアップするにはパソコンの基本操作はもちろん、編集ソフトの操作、また、セキュリティやプライバシーへの高い意識が必要不可欠となります。適任者がいなければ、人材の育成、確保が必要となります。

5. 動画を制作するには

動画を制作する場合には2つのパターンが考えられます。自分で作る場合と、プロの制作会社に依頼する場合です。それぞれのメリット、デメリットをご紹介します。

自主制作する

一番のメリットはコストを抑えられることです。制作のノウハウさえ定着すれば、自分たちで修正ができたり、頻繁に新しい動画をアップできたりするのも強みです。
学校やクラスの雰囲気、先生の人柄が滲み出る、そんな動画も手作りならではの魅力。現場の手作り感は、視聴者(生徒)の関心も惹くでしょう。
デメリットとしては、膨大な時間がかかることが挙げられます。1本の動画が完成するまでには、企画、シナリオ作り、撮影、編集、スライド作り、ナレーション収録などたくさんの工程があります。慣れるまでは想定するよりも多くの時間がかかってしまうかもしれません。

制作会社に依頼する

動画を作る人材がいない、時間がない、またクオリティの高い動画を求めるなら、やはり動画制作のプロに依頼するのがおすすめです。制作会社に依頼する場合コストはかかりますが、撮影場所や撮影に要するスタッフの数、機材のレベルや編集のこだわりなどによって費用は大きく変動します。まずは、動画の目的や予算などを相談してみるのもいいでしょう。

まとめ

今、教育業界でも動画の活用に注目が高まっています。これは、エンターテインメントの面白さや動画の利便性を求めてではなく、学習意欲や学力の向上につながると期待されているからです。今回、学習効果の高い動画を作るためのポイントをお伝えしました。「自分で作る!」という方はぜひ参考にしてください。

当社は、企業様を中心に会社紹介や製品プロモーション、インタビュー動画などあらゆるジャンルの動画制作の実績があります。動画制作をプロに依頼したいとお考えの方はお気軽にご相談ください。

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