インフォグラフィックとは、理解するのが難しい情報やデータをグラフやイラストを使って視覚的に分かりやすく表現したものです。テキストや表のみの情報よりも直感的に理解しやすいため、重要な情報を正しく伝えることができます。
広告やニュース記事で、イラストやグラフを駆使して情報を整理して分かりやすく解説しているのを、ご覧になった方は多いでしょう。今では動画として、企業や商品の紹介、ニュースリリース、調査や解析の説明など、幅広く活用されています。
本記事では、短い時間で自社の商品やサービスの魅力を効果的に発信することができるインフォグラフィック動画について、メリットや効果的な作り方、活用事例を解説しています。ぜひ参考にしてください。
■目次
インフォグラフィック動画とは?
インフォグラフィック動画とは、情報やデータを視覚的に分かりやすく伝えるために制作された動画のことを指します。基本的には、図・表・グラフなどを用いて表現したものにアニメーション・音楽・ナレーションを入れるといった類いの動画が多いです。
インフォグラフィック動画が他の動画と違う部分として、重要視しているところが異なることが挙げられます。通常の動画は感動や面白さなど感情を揺さぶることを重視しますが、インフォグラフィック動画で重要になるのは、情報を正確に分かりやすく伝えることです。言わば、知性を揺さぶることを重視します。エンターテインメント性に関しては、他の動画ほど求められません。インフォグラフィック動画はますます活用シーンが広がっており、さまざまなところで用いられています。
具体的には、経営状況や業績報告をしたい時や営業で商品・サービスの説明をする時などです。数値やテキストだけでは伝えにくいことでも、インフォグラフィック動画を使えば、分かりやすく伝えられるようになります。
インフォグラフィックの種類
ひと口に「インフォグラフィック」とまとめても、いくつもの種類があります。
主なものとして挙げられるのが、「表やグラフ」「フローチャート」「マップ」「ピクトグラム」の4つです。
それらを伝えたい内容やまとめたいデータに応じて使い分けることで、伝わりやすいインフォグラフィック動画を作れるでしょう。
ここでは、各種類の特徴や活用方法を紹介します。どのようなものなのか把握しておけば、適切なグラフィックで情報を伝えられるようになります。
表やグラフ
インフォグラフィック動画では、一般的な表計算ソフトのような表やグラフが用いられます。
例えば、会社の年表を紹介したい時や業界におけるシェア率をまとめたい時、毎年の業績などをまとめたい時などに役立つでしょう。
表やグラフは自由度が高く、工夫次第でさまざまな表現が可能です。
主な表現としては、立体的に作ったり、商品や会社に関するイラストを加えたりするなどです。また、表やグラフに動きをつければ、魅力的な動画になるでしょう。
ただし表やグラフは向いているデータが異なるため、伝えたいことを踏まえて決めるのがおすすめです。表はデータ同士を比較したい時に適しており、グラフは時系列の変化を表現したい時に適しています。
フローチャート
フローチャートとは図形と矢印を組み合わせた流れ図のことであり、順序や使い方、選択肢などを伝えるときに向いています。
フローチャートに関しては、表やグラフのようにデータを伝えたい時よりも、作業手順や商品の使い方、機能の選択肢などを伝えたい時におすすめです。
現在はフローチャートを作れるツールも登場しているため、気軽に誰でも作れます。
フローチャートにはいくつもの記号があるため、作る際は覚えておくようにしましょう。「開始・終了(楕円形)」「プロセス(長方形)」「条件分岐(ひし形)」「矢印」の4つは、覚えておくべき基本的な記号(図形)です。
作る際は、記号と記号の間に一定の間隔を空けましょう。間隔が狭いと見にくいフローチャートになってしまい、どのようなフロー(流れ)なのか把握しにくいものになってしまいます。
マップ(地図、配置図など)
企業の住所や活動拠点などを動画内で紹介したいのであれば、地図を使って説明するのがおすすめです。
各地の拠点や店舗などを地図上に示すことで、分かりやすく伝えられます。日本地図はもちろん世界地図でも活用できるため、グローバルに活動していることを伝えたい時などには特におすすめです。
なお動画の内容によっては、地図ではなく、組織図や配置図、路線図、動線などのさまざまなマップを取り入れることも考えてみると良いでしょう。
ピクトグラム
絵文字や絵単語とも呼ばれる情報を表現するピストグラムは、商業施設の誘導表示やフロア案内など、幅広いところで用いられています。
東京オリンピックでも使われて有名になったため、どのようなものかイメージできる方も多いでしょう。視覚的に分かりやすくなったり、印象が明るくなったりするピストグラムの効果を踏まえて、取り入れるのがおすすめです。
ピクトグラムは種類も豊富で、トイレを表すものやエレベーターを表すもの、交通の駅・路線を表すものなどがあります。動画の内容に応じてうまく取り入れてみることで、伝えるのが難しいサービスでも伝わりやすくなるでしょう。
ピクトグラムはJISやISOで標準化されたものがありますが、独自のピクトグラムを作って、より楽しく演出するのもおすすめです。
インフォグラフィック動画のメリット
動画にはさまざまな種類がありますが、その上でインフォグラフィック動画を使うメリットとして、主に3つのメリットが挙げられます。
- 情報を分かりやすく伝えられる
- 視覚的表現により印象に残りやすい
- SNSと相性がよく拡散しやすい
情報を分かりやすく伝えられる
インフォグラフィック動画を使えば、一見理解が難しそうな情報でもイラストやグラフなどを用いて視覚的に分かりやすく伝えられます。
例えば、クラウドサービスのような目に見えないものや専門的で難しいサービス内容でも楽しいイラストで分かりやすく説明すれば、視聴者に理解してもらいやすくなるでしょう。正しくより深く理解してもらえれば、サービスの契約や購入につながりやすくなります。
また、データに関することも分かりやすく伝えられるため、会社説明動画の中にインフォグラフィック動画を採用するのもおすすめです。これまでの業績や業界でのシェア率などを理解してもらいやすくなり、数字で見る客観的な会社の魅力をアピールできます。
視覚的表現により印象に残りやすい
動画内にイラストやナレーション、BGMなどを入れれば視聴者の印象に残りやすくなり、ブランド認知の向上にもつながります。ブランディングのために動画を活用しようと考えている場合にもインフォグラフィック動画はおすすめです。
印象に残すことを意識して動画を作ろうと考えるのであれば、インフォグラフィックにインパクトやストーリー性を持たせるようにしましょう。例えば、動画の冒頭をダイナミックな演出にしたり、ターゲットとしている層に焦点を当てた情報に関連したストーリーを考えると共感を得やすくなり、印象に残る動画になりやすいでしょう。
SNSと相性がよく拡散しやすい
インフォグラフィック動画は、SNSとの相性が良いというメリットもあります。
SNSは、情報を多くの人に広めたい時に利用したいサービスです。また動画は拡散されやすいコンテンツであるため、「幅広いターゲット層に動画を見てもらいたい」と考えている場合に向いています。
SNSで拡散されやすいインフォグラフィック動画を作りたいのであれば、動画の内容だけではなく、サムネイルの表現も工夫しましょう。一番伝えたい内容を明確にし、目を引く分かりやすいキャッチコピーを入れることが大切です。
内容が分かるサムネイルがあるとユーザーに興味を持ってもらいやすくなり、幅広い層に見てもらえる可能性も高まります。
インフォグラフィック動画の効果的な作り方
効果的なインフォグラフィック動画を作るためには、あらかじめポイントを押さえて制作することが重要です。初めてインフォグラフィック動画を作るのであれば、以下の項目から効果的なインフォグラフィック動画の作り方を学びましょう。
1.目的・ターゲットの設定
インフォグラフィック動画を作る際には、まず目的とターゲットを設定します。
目的とターゲットは動画を作る上で重要な要素であり、あいまいな状態だと効果的なインフォグラフィック動画は作れません。
「誰に、何を、どのような目的で」ということを意識して、決めるようにしましょう。そもそも伝えたい情報が明確になっていることが大切です。
もちろん、目的とターゲットを決めることはインフォグラフィック動画に限らず、全ての動画制作に当てはまる重要項目です。
2.情報収集と分析
目的とターゲットが決まったら、情報を集めて分析します。
その際には1つの媒体だけを頼りにするのではなく、本や新聞、Webサイトなどさまざまな媒体から情報を集めましょう。公的な機関や団体による統計データ等があると信頼性が高くなります。複数の媒体から収集することで、情報の偏りを防ぐことができます。
また、求めている情報に応じて媒体を使い分けることも大切です。例えば、最新情報や個人の感想を探している場合は、TwitterやInstagramなどのSNSで情報収集するのもいいですが、確認の取れない怪しい情報には注意が必要です。情報は出所が確かなものを選び、そして複数の情報源から収集して、自分で分析して判断しましょう。
3.絵コンテ作成
情報を集めたら、伝えるポイントを明確にするために絵コンテを作りましょう。絵コンテを作ってどのような流れ(ストーリー)で動画を作るか明確にします。
絵コンテに関しては手書きでも問題ありませんが、テキストは必要最小限にしましょう。あくまで大まかな構成を考える目的で絵コンテを描くため、内容を整理して分かりやすいことに気をつけます。最初から細かいところまで気を配って描く必要はありません。
初めて絵コンテを描くのであれば、同じジャンルで人気のある動画を真似してみるのもおすすめです。どのように描けばよいのか理解できる上に、動画の構成についてヒントが得られます。
4.イメージの決定
動画を作る際には、構成だけではなく、その動画のイメージや世界観を決めることも大切です。イメージや世界観が決まっていれば、動画で必要になるイラストや配色を決めやすくなります。
イメージや世界観を決める際には、実際に静止画で2〜3カットほど作ってみるのがおすすめです。そうすることで、イラストのテイストや配色、ナレーションのトーンなどを具体的に決めやすくなります。
動画全体のイメージは後に続く作業にも大きく関わるため、パーツやイラストの制作前に決めるようにしましょう。
5.パーツおよびインフォグラフィックの制作
イメージや世界観を決めた後は、シーンごとに必要なパーツやイラストを作り、インフォグラフィックの表現方法を決めます。
インフォグラフィックを作る際は、情報の出し方に強弱をつけ、重要なデータから目立つ位置にレイアウトしてデザインを考えるのが重要です。情報を伝えるターゲット層に合わせて、デザインや色調を工夫するようにしましょう。例えば、同じグラフばかり使わずに異なる表現のグラフを使うと、飽きられずに最後まで見てもらうことができます。
また、動画はスマートフォンで視聴するユーザーも多いため、文字の大きさや動画の向きなども考慮して作るようにしましょう。
6.動画編集
動画編集の際には、インフォグラフィックにアニメーションやエフェクトを加えたりして、視聴者から興味を持ってもらえる動画にしましょう。
その一方で、できる限りシンプルな動画にして、伝わりやすくすることも大切です。配信プラットフォームやSNSに投稿するのであれば、投稿先が対応している画面サイズもチェックします。
編集のコツは、デザインやカラーの統一感を意識することです。また、情報を分かりやすくするために情報を盛り込みすぎないこともポイントです。
インフォグラフィック動画を制作する上での注意点
インフォグラフィック動画にはいくつものメリットがあるため、「すぐに作りたい」と考えられるかもしれません。しかし、その前に次の項目も読んでください。
インフォグラフィック動画を作る際には、いくつかの注意点があります。効果的なインフォグラフィック動画を作るためにも、制作時の注意点を把握しておきましょう。
データの引用
情報を集める際は、自社が持っているデータや公共的な団体が調査したデータなど、できる限り信頼できる一次情報を参照しましょう。
ニュースのトピックやブログ、SNS投稿といった二次情報の場合、都合よくデータが加工・改変されていたり、そもそものデータが間違っている恐れがあります。そのようなデータをエビデンスとすれば信頼性に欠ける動画になってしまい、企業イメージの損失に繋がりかねません。
ただデータを集めるだけではなく、具体的な数字でまとめたり調べた内容を分析したりすることも必要です。集めたデータを分析することで、どこに注目して伝えればよいのか把握しやすくなります。
素材の利用
自社で撮影した画像や制作したイラストなどであれば問題ありませんが、著作権フリーの素材サイトから使う場合は、商用利用や二次利用の可否を確認しましょう。
素材によっては、商用利用や二次利用が禁止されているものもあるので、素材サイトからデータをダウンロードする前に利用規約を確認することが重要です。
例えばAdobe Stockという素材サイトの場合、著作権フリーで商用利用は可能ですが、「エディトリアル専用」表記のある素材は商用目的で利用することはできません。
インフォグラフィック動画の活用事例
インフォグラフィック動画は、エンターテインメントだけではなくビジネスにも活用されています。
よく用いられている場面には「採用」「IR」「営業」の3つが挙げられます。
これらの事例を知ることで、どのようにインフォグラフィック動画を活用すればよいか理解しやすくなるでしょう。
採用
採用に関する場面でインフォグラフィック動画を活用することには、企業の実績や現状などのデータを分かりやすく伝えられるメリットがあります。
テキストのデータだと退屈でも、動画であれば視覚的に楽しく企業のことを伝えられるため、求職者からより興味を持ってもらえるでしょう。
また、一度採用動画を制作すれば担当者による説明の手間を減らせるようになり、採用プロセスの効率化も期待できます。
「採用に関わる人的なリソースを減らしたい」と考えている企業には、インフォグラフィック動画の導入がおすすめです。
IR
IRとは「インベスター・リレーションズ(Investor Relations)」の略称であり、企業が株主や投資家に対して経営状況や財務状況などを伝えるための活動のことです。
IRでインフォグラフィック動画を使うことで、経営状況や財務状況を数字だけでなくグラフやチャートなど分かりやすい表現で伝えられるようになり、投資家が企業の現状および将来を把握しやすくなります。
また、短い時間で多くのデータを説明できるため、正しく効果的に株主や投資家に情報を伝えられるという点もインフォグラフィック動画を使う魅力的なポイントです。
営業
分かりづらいビジネスモデルでも、インフォグラフィック動画なら理解してもらいやすくなります。特にプレゼン資料として、インフォグラフィック動画はおすすめです。強調したいデータを活用して効果的に商品やサービスの情報や特長などをアピールできるでしょう。
社内で企画書を作成する際の工数や負担を減らせるという点も、営業でインフォグラフィック動画をおすすめするポイントのひとつです。
他にも、営業でインフォグラフィック動画を使うことで、担当者の事前準備の負担を軽減し、営業活動に注力しやすくなります。
インフォグラフィック動画の制作は専門家に
企業活動の重要な場面で活用できるインフォグラフィック動画は、採用や営業などさまざまな場面でその力を発揮します。
事業内容や規模に関わらず、あらゆる企業にインフォグラフィック動画の導入は効果的です。ただし、作る際にはいくつもの注意点がある上、動画制作の初心者がすぐにハイクオリティな動画を作るのは難しいでしょう。
企業としてインフォグラフィック動画を活用したいのであれば、自社で内製するよりも動画制作会社やプロの動画クリエイターに任せるのがおすすめです。
弊社ではインフォグラフィック動画の制作も行っているため、興味のある方はぜひ一度お問い合わせください。
まとめ
今回は情報やデータをグラフやイラストを使って視覚的に分かりやすく表現するインフォグラフィック動画について、メリットや効果的な作り方、活用事例について解説しました。
インフォグラフィックには表やグラフ、フローチャート、マップ、ピクトグラム等の手法があり、伝えたい内容やデータに応じて使い分けることで、伝わりやすいインフォグラフィック動画になります。
インフォグラフィック動画のメリットは、情報を分かりやすく伝えられる、視覚的表現により印象に残りやすい、SNSと相性がよく拡散しやすい、が挙げられ、またダイナミックな演出にしたり、情報に関連したストーリーにしたりすることで、共感を得やすく印象に残る動画になるでしょう。
効果的なインフォグラフィック動画を作るためには、目的とターゲットを設定し、信頼性の高い情報を集めて分析し、イメージや世界観を決めて、シーンごとにインフォグラフィックの表現方法を考え、デザインやカラーの統一感を意識することがポイントです。
インフォグラフィック動画は、エンターテインメントだけではなくビジネスにも活用されており、よく用いられている場面には「採用」「IR」「営業」が挙げられます。これらの事例を知ることで、どのように活用すればよいか理解しやすくなるでしょう。
事業内容や規模に関わらず、あらゆる企業にインフォグラフィック動画の導入は効果的です。ぜひインフォグラフィック動画の制作に取り組んでみてください。