インタラクティブ動画とは、ユーザーとの間で双方向のやりとりができる機能が仕掛けられた動画のことです。認知度向上やコンバージョンの増加など多くのメリットがあります。
この記事では、近年注目を集めるこの動画の作り方や活用シーンなどをご紹介しています。インタラクティブ動画を用いたマーケティングを検討している担当者様必見です。
■目次
双方向でやりとり可能なインタラクティブ動画とは
インタラクティブ動画とは、リンクや分岐などの仕掛けを組み込み、ユーザーに「選ぶ」アクションを起こさせる動画のことです。そもそもインタラクティブは「対話」や「双方向」といった意味を持ちます。
従来はユーザーにとって「観るだけ」だった動画が、ユーザーも楽しめる仕掛けによって双方向でのやりとりができるようになりました。インタラクティブ動画によって、視聴回数や視聴時間といったユーザーのエンゲージメントが高まり、コンバージョンアップも期待できるなど、今までにない動画を使ったマーケティングが可能になります。
動画の限界を超えるインタラクティブ動画の注目理由
インタラクティブ動画が注目を集めている理由として、動画を使用したマーケティングに注力する企業が増えていることが挙げられます。各社が動画マーケティングに注目している背景には、スマホで動画を楽しむ人が増えていることや、5Gの活用などがあると考えられます。
TIME&SPACEが2021年に実施した「18〜22歳のスマートフォン利用実態調査」によると、若者の主なスマホの用途のうち「動画視聴」を挙げた人は、全体の66.1%にのぼります。また、スマホで動画コンテンツを見る人の割合は約8割という結果です。このように、スマホで動画を楽しむ若者が増えています。
5Gの活用も動画マーケティング促進の理由の1つです。5Gは、大容量のデータを超高速で送受信できる技術であり、これによってファイル容量が多い動画もスムーズに視聴できるようになりました。情報量の多い動画コンテンツを、より快適にストレスなく再生してもらえるようになったのです。このような背景から動画マーケティングがますます重視され、有効な手法の1つとしてインタラクティブ動画が注目されるようになりました。双方向にやりとりが可能なインタラクティブ動画は、従来の動画の限界を超える存在といえるでしょう。
インタラクティブ動画に仕掛けられる機能
インタラクティブ動画には、以下のようにさまざまな機能を仕掛けられます。
- WEBサイトリンクの設置
- ストーリー分岐
- 360度閲覧機能
- アンケート集計
例えば、人材採用のための紹介動画内にWEBサイトへのリンクを設置することで、求人内容が気になるユーザーがリンクをクリックし、すぐに求人案内ページを閲覧できます。また、ボタンをクリックして見たいストーリーを選べる仕掛けも可能です。選択肢によってストーリーが変わるため、ユーザーを惹きつけられます。
さらに、360度動画を撮影し、見たい方向をクリックしたり動画内をドラッグしたりすることで、360度好きな部分を閲覧できる機能付加も可能です。まるで自分がその空間にいるかのような没入感をユーザーに与えられます。
動画内でアンケートをとる機能も実装できます。例えば、動画を再生すると設問が現れ、回答によってその後の設問を変更できます。
このように、インタラクティブ動画ではユーザーのエンゲージメントや、コンバージョンを促進するさまざまな機能を仕掛けられます。
インタラクティブ動画の作り方4ステップ
インタラクティブ動画は、以下のような4つのステップで作成します。
- 動画を作成する目的・目標やターゲットを設定する
- シナリオに合わせて仕掛けを設計する
- シナリオに沿って動画を撮影・制作する
- インタラクティブ化を行う
インタラクティブ動画は、動画制作やインタラクティブ化のスキルのある人材がいれば、専用のツールを使って自社で作成可能です。以下では、それぞれのステップについて解説します。
1.動画を作成する目的・目標やターゲットを設定する
まずは、インタラクティブ動画を作る目的や目標を設定します。問い合わせ数の増加や購入の促進など、インタラクティブ動画によってユーザーにどのような行動をとってほしいかを具体的に考えましょう。また、誰のために動画を制作するのか、ターゲットを設定することも重要です。どの年齢層に購入してもらいたいのか、どのような属性の人に応募してもらいたいのかなど、目的や目標に合わせてターゲットを明確化しましょう。このとき、年齢や性別、家族構成、ライフスタイル、価値観など細かく設定してペルソナをつくることで、より効果的なインタラクティブ動画の制作につながります。
動画制作の目標やターゲットを定めないと、単に「面白い」や「楽しい」という感情を与えることしかできません。期待するユーザーのアクションにつなげるために必ず設定しましょう。
2.シナリオに合わせて仕掛けを設計する
はじめに設定した目標やターゲットに合わせて、動画のストーリーを作成しましょう。ストーリーを分岐させる場合は、その分複数のストーリーを制作する必要があります。このとき、クリック前後のストーリーのつながりも意識しましょう。
シナリオを構成する際は、ユーザーに体験してもらいたい仕掛けも考えます。仕掛けを設計する際は、以下のようなポイントに注意しましょう。
- 仕掛けはわかりやすいものにする
- 仕掛けをどこに設置するかを考える
特に仕掛けが複雑すぎたり、わかりづらいものだったりすると、ユーザーが離脱してしまう可能性が高いです。あくまでもユーザー目線に立って、操作性や視認性などを検討しましょう。
3.シナリオに沿って動画を撮影・制作する
シナリオや仕掛けが決まったならば、実際に撮影して動画を制作します。撮影方法は実写やアニメーション、CGなど、動画の形式によってさまざまです。実写の場合は撮影機材やキャスト、撮影場所の手配を行います。
撮影においては、ユーザーを魅了できる方法を選びましょう。例えば、360度の空間を楽しめる動画やユーザー目線の映像、ドローンを使った迫力ある映像など、ユーザーを惹きつける撮影方法を採用することで、より効果的なインタラクティブ動画を作ることができます。
インタラクティブ動画の撮影や制作にはテクニックが必要です。初めて取り組む場合は、プロの制作会社に依頼しましょう。当社では、さまざまな目的に適した動画制作サービスを展開しています。丁寧なヒアリングを通して、ターゲットや予算に適したコンテンツを提案し、クオリティの高い動画を制作できます。効果的な動画制作を検討している方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
4.仕掛けを組み込むインタラクティブ化を行う
最後に、動画に仕掛けを組み込むインタラクティブ化を行います。Adobe CaptivateやYouTube Studioなど、インタラクティブ動画制作に対応したツールを使用すれば、自社で制作可能です。
ユーザーが離脱しないようにシンプルなものにしたり、コメントを挿入したりなど、わかりやすいインタラクティブ化を心がけましょう。より効果的なインタラクティブ動画を制作したい場合は、動画撮影だけではなくインタラクティブ化もプロに任せることをおすすめします。
インタラクティブ動画の3つのメリット
インタラクティブ動画を取り入れると、次のようなメリットがあります。
- ユーザーの商材理解を促進し、コンバージョンにつながる
- エンゲージメントを高め、SNSで拡散される可能性がある
- データを取得して、次のマーケティングに活用できる
特に、今までの動画にはない「双方向でのやりとりが可能」という点から、コンバージョンやエンゲージメントの向上が期待できるのが強みです。
1.ユーザーの商材理解を促進し、コンバージョンにつながる
インタラクティブ動画では、ユーザー自身が仕掛けを楽しみながら動画を視聴できます。そのため、自然と商品やサービスへの理解が深まり、記憶に残りやすくなります。商材への興味が高まった状態で購入サイトへ誘導できるため潜在顧客を逃すことが少なく、「商材を実際に買ってもらう」というコンバージョンが期待でき、購入率アップにつながります。
2.エンゲージメントを高め、SNSで拡散される可能性がある
インタラクティブ動画では、ただ視聴するだけの動画とは異なり、仕掛けによって離脱防止が見込まれます。さらに、企業とユーザーで双方向のやりとりが可能なため、視聴回数やコメント数、インプレッション数、フォロワー数などといったエンゲージメントが高くなりやすいです。
また、コンテンツ力のあるインタラクティブ動画ならば、SNSで拡散されてより多くの人に視聴してもらえる可能性もあります。オリジナリティがあり、斬新で面白いと思ってもらえる動画を制作することが大切です。
3.データを取得して次のマーケティングに活用できる
インタラクティブ動画では、平均視聴時間や離脱箇所、仕掛けをタッチした場所やタッチ数など、さまざまなデータを取得できます。「どこをクリックする人が多かったか」「どこで離脱してしまったか」「どこからコンバージョンにつながったか」といったデータを取得し、それらを蓄積すると次回の動画制作に活かせられます。データを集めて改善につなげることで、PDCAサイクルを効果的に回せます。
インタラクティブ動画の3つのデメリット
上記のようにメリットの多いインタラクティブ動画ですが、次のようなデメリットも存在します。
- インタラクティブ動画の制作に専門知識やスキルが必要
- 配信時間を工夫する必要がある
- 成功事例が少なく、制作に苦労する可能性がある
特に制作に専門知識や高度なスキルが必要なため、自社制作が難しい点がデメリットです。
ここでは、インタラクティブ動画を用いることの3つのデメリットについて解説します。
1.制作には専門知識や技術が必要
インタラクティブ動画では、ユーザーを惹きつける撮影方法を工夫する必要があります。また、映像内にアクションを起こす仕掛けを設置するため、より専門的な知識や技術が必須です。そのため、スキルがある人材がいないと、自社で制作するのが難しいという点がデメリットといえるでしょう。
動画制作会社やプロのクリエイターであっても、インタラクティブ動画に対応していない場合もあります。外注する場合も、依頼先をしっかり見極めなければなりません。
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2.配信時間を工夫しないと見てもらえない
インタラクティブ動画は、性質上どうしても再生時間が長くなりやすいです。そのため、ユーザーがゆっくり動画を楽しめるタイミングを考慮しないと、動画を見てもらえないか、あるいは離脱してしまうというデメリットがあります。就寝前や休日といったユーザーに時間があるであろうタイミングを考えて配信するなど、最後まで視聴してもらうための工夫が必要です。
3.事例が少なく制作に苦労することが多い
インタラクティブ動画の成功事例は少ないのが現状です。参考となる事例が少ないため、試行錯誤しながら動画制作を進める場合が多く、制作や活用法には苦労する可能性が高いといえます。特に国内では活用事例が少ないため、海外の事例の中から自社の業界や業種に近いものを調べて参考にしましょう。
インタラクティブ動画の5つの活用シーン
インタラクティブ動画の活用シーンは以下のとおりです。
- 採用活動
- 商品・サービス宣伝
- 商品のチュートリアル
- EC
- 教育
インタラクティブ動画は、特に自社や商材の認知度向上や、ほかのページへのスムーズな誘導に適しているため、採用活動や商品・サービスの宣伝、ECの販売促進などと親和性が高いといえます。ここでは、それぞれの活用シーンについて、インタラクティブ動画が役立つ理由と期待できる効果などを解説します。
1.採用活動|自社の認知度を向上させる
企業理解を深めてエントリーを促すようなインタラクティブ動画を制作することで、採用活動に活用できます。1つの動画で認知から興味喚起、エントリーまで一気通貫で行え、会社や社員紹介、働き方などを効果的に伝えることが可能です。
特にストーリー分岐を組み込み、興味のあるコンテンツを視聴できる仕組みにすると、ユーザーそれぞれの興味関心に適した自社の魅力をアピールできます。自社の認知度を単に向上させることだけではなく、効果的な興味喚起を実現できる点が採用活動におけるインタラクティブ動画活用の大きなメリットです。
2.商品・サービス宣伝|商材を記憶してもらう
商品やサービスの宣伝においても、インタラクティブ動画が活躍します。例えば結婚式のお悩みに関する選択肢をタップしてもらい、最終的に商品の提案動画や結婚式場のオンライン案内、ホテルの宿泊を擬似体験できる動画が再生されるといった活用ができるでしょう。
通常の動画広告とは異なり、楽しみながら商品やサービスについて知ってもらえるため、ユーザーの記憶に残りやすく、より効果的な宣伝効果が期待できます。
3.商品のチュートリアル|活用方法がわかる
商品を使うシチュエーションを選択することで、場面ごとの活用方法がわかるようなチュートリアル動画の作成も可能です。例えば、化粧品の紹介動画にインタラクティブ動画を用いることで、利用シーンごとにその人らしく美しく見せるためのコツやおすすめの色などを紹介できます。
さらに、病院の待ち時間に見てもらうチュートリアル動画としてインタラクティブ動画を活用すると、治療に関する基本的な説明や費用、治療法ごとのメリットやデメリットなどを効果的に説明が可能です。患者は待ち時間にストレスなく視聴でき、治療への理解を深められます。
4.EC|購入プロセスの短縮
インタラクティブ動画からECサイトに遷移させる仕組みを組み込むことで、動画から購入ページへとスムーズに誘導できます。例えば新作の洋服を紹介する動画で、気になる洋服を選択するとアイテム詳細がポップアップ画面に表示され、さらにリンクをタップするとすぐにECサイトに誘導できる、というような仕掛けが可能です。購入プロセスを短縮することで、購買意欲が落ちないうちに購入に至ってもらいやすいため、収益向上につながります。
5.教育|楽しみながら学べる
インタラクティブ動画は、購入や採用活動の促進だけではなく、教育にも活用されます。好きなストーリーを自分で選択しながら学べる動画を作れば、楽しみながら学習できるのです。教育にインタラクティブ動画を活用している例として、外務省のODA(政府開発援助)に関する動画が挙げられます。この動画は、子ども向けとしてODAを楽しく理解してもらえるように制作されており、動画内のボタンを押すことでストーリーが進む仕組みです。RPGゲームのように、キャラクターと会話しているような感覚で動画を進められます。
まとめ
本記事では、インタラクティブ動画について概要と注目されている理由、作り方、メリットとデメリットなどについて解説しました。また、インタラクティブ動画が活用できるシーンを取り上げました。
インタラクティブ動画は、ユーザーが楽しめる機能を仕掛けることで、双方のやりとりが可能になります。自社や商材について楽しみながら認知させ、興味喚起を促進でき、購入にもつながりやすい効果的なマーケティング手法です。動画マーケティングにおけるエンゲージメントやコンバージョンアップを強化したい担当者は、ぜひインタラクティブ動画を取り入れてみてはいかがでしょうか。
インタラクティブ動画の撮影や制作には、専門の知識やスキルが必要です。プロに依頼することで、より効果的な動画を制作できます。動画を活用したマーケティングに興味がある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。