「ティザー動画」をご存じでしょうか?
マーケティングにおいて効果的といわれており、意図的に情報を小出しにしていく、いわゆる「焦らし広告」のような動画のことです。
例えば、企業が新商品をリリースする時に、以前は公開前に商品をシルエットにして一部の情報を伏せた広告を出すことがありました。
今ではYouTubeやSNSにも応用され、ティザー動画が配信されているのを目にしたことがある方も多いでしょう。この手法は、視聴者の興味関心を集める目的で活用されていて、新しい商品やサービスへの期待感を高めてくれます。
ティザー動画について、その効果や注意点を理解して、企業のプロモーションの施策として、ぜひ効果的な「焦らす動画」を作ってみませんか?
ティザー動画とは?
ティザー(Teaser)とは日本語で「焦らす」の意味で、一言でティザー動画を説明すると、視聴者を焦らす動画のことです。
ティザー動画は、情報をあえて小出しにして顧客の好奇心を煽るマーケティング手法として用いられており、YouTubeではティザームービーとして配信されています。
ティザー動画は新作映画をはじめとして、主に新しい商品やサービスを発表する際に使われ、「近日公開」というような形で視聴者に伝えるケースが多くみられます。
ティザー動画とトレーラー映像の違いは?
映画やゲームの場合、ティザー動画とトレーラー映像がありますが、その違いとして、尺の長さとストーリー性が挙げられます。
ティザー動画は20〜30秒程度のものが多いですが、トレーラー映像はティザー動画より少し長い場合が多いです。場合によっては、2分ほどの尺になる場合もあります。
また、ティザー動画は情報をあえて断片的に出して興味を引くのが目的である一方、トレーラー映像はさらに興味を持つようにストーリー性を伝えることが目的です。公開前に宣伝としてティザー動画で注目を集め、公開直前に予告編としてトレーラー映像を公開して集客するという流れになります。
用途が異なることもあり、広告的意味合いに関してはトレーラー映像よりティザー動画の方が強いと言えるでしょう。
ティザー動画に必要な3つの要素
ティザー動画は、なんとなく作っても魅力的なティザー動画にはなりません。
実際に作るのであれば、ティザー動画に欠かせない要素を知っておく必要があります。
定期的・頻回な更新
商品やサービスの公開日に向けて、視聴者の期待を高めていく必要があるため、短い尺の動画を公開日まで毎日または隔日で配信していきましょう。
定期的かつ頻回に更新することで、視聴者が商品やサービスを忘れてしまうリスクを減らせます。ただし、情報を伝える順番を考えずにティザー動画を配信してしまうと、視聴者に対して思うような効果が得られない可能性があります。
そのため、どのようなティザー動画をどのような順番で配信するのか、考慮して作らなければなりません。
期待感の演出
ティザー動画を作る際、期待感の演出が重要になります。
公開日までのカウントダウンを設けたり、少しずつ商品の特徴を紹介したりなどの演出で、視聴者が期待感を持ってくれるような構成にすると効果的です。
期待感を維持できれば、最後まで動画を見てくれる上に、その後配信する動画についても見てもらえる可能性が高いです。
また、伝えたい情報への注目度も高まるため、肝心な内容を隠したり、はぐらかしたりして“焦らす”演出を取り入れるようにしましょう。
新しい情報の発信
ティザー動画を定期的に配信する際には、新しい情報を少しずつ増やして発信しましょう。
どれだけ頻回に公開しても、同じ情報ばかりではユーザーは飽きてしまいます。
そのため、毎回新しい情報を盛り込むことを意識して構成を考えるようにしましょう。
ティザー動画を作成する際の注意点
ティザー動画を作る際には注意すべきポイントがあり、知らずに作ると思うような効果が得られないかもしれません。
そのため、ここで紹介している注意点を覚えて作るようにしましょう。
情報の公開日を明記する
情報の小出しは重要ですが、いつ商品やサービスがすべて公開されるのか明確に伝えることも重要です。
商品やサービスについて情報の公開日を明らかにしておくことで、視聴者はすべての情報が公開されるまで期待して待ってくれます。
公開日時が明確にされていない場合、視聴者の期待感を失いやすくなります。そのため、ティザー動画を作る際は必ず情報の公開日を設けることが大切です。
公開日までの日数に注意する
情報の公開日を設けることは非常に大切ですが、その公開日までの日数があまりにも長いと、興味を失なってしまうリスクがあります。
仮に1年前から始めると、待ちきれずに途中で離脱する人が出てきてしまうでしょう。そのため、もし情報の公開日をカウントダウン形式で伝えたいのであれば、1〜2週間前から始めるのがおすすめです。
1年前から始めるケースと比べて、視聴者の離脱を防げる可能性があります。
視聴者の興味を惹きつつ短い尺に納める
ティザー動画は短い尺で作られるため、限られた時間で視聴者の興味を惹きつけなければなりません。
そのため、動画の内容を考える際に、どうしたら視聴者の興味を惹きつけられるのかを考えるようにしましょう。
主な方法としては、毎回新しい情報を伝えるようにしたり、公開日までのカウントダウンを設けたりなどが挙げられます。
視聴者に次も見てもらえる工夫をする
そもそもティザー動画は、視聴してもらって終わりというわけではありません。
たとえば、新商品に関するティザー動画の場合、視聴してもらった上でその商品を購入して使ってもらうのがゴールです。
継続的に見てもらうためにも、次の動画配信日を伝えるというような、視聴者が次もチェックしたくなるような工夫をしましょう。
ティザー動画を効果的に配信できる媒体
ティザー動画を作る際には、どこに配信するのかも考えなくてはなりません。
ここでは、どのような媒体が効果的なのか、主なものを紹介します。
YouTube
企業のティザー動画を配信するのに適した代表的な媒体は、やはりYouTubeでしょう。
YouTubeの動画広告は、最初の5秒で興味を惹くインパクトのある動画作りが必要なので、ティザー動画は適しています。また、ターゲティング機能が優れており、潜在層にもリーチできるため、自社ブランドや商品の認知拡大に効果的です。
さらに、若年層からシニア層まで幅広いユーザーがいるため、ターゲットにしていなかった新しい見込み顧客の開拓につながります。自社商品をユーザーの目に触れる機会を増やして、視聴者にやってほしい行動を取るように促す効果も期待できます。
SNS 特にTikTokやInstagram
スマートフォンで情報収集している若者層には広告は響きにくいので、SNSで短時間の動画による訴求は効果があります。例えばTikTokやInstagramの縦型ショート動画です。
広告らしからぬティザー動画に仕上げられれば、SNSではすぐに拡散されるので集客力は高くなります。クリック率や費用対効果も良く、ブランディングや商品の認知拡大・購買促進にも効果的なので、媒体としては最適でしょう。
商品・サービスの種類によって、またはSNSによって、動画の目的やターゲットとする市場への効果が変わってくるため、自社にあった媒体を選ぶことが重要になります。配信する際に共通するのは「短い尺、冒頭5秒のインパクト、ストーリー性」を重視することです。
ティザー動画の効果を高める動画
イベントや展示会などのために動画を作るのであれば、ティザー動画の効果を高める動画も合わせて取り組むのがおすすめです。
イベントなどで効果的な動画を作る際にはいくつかのポイントがあるため、主な事例を交えつつ、どのようなことなのか紹介します。
イベントの雰囲気が伝わる動画
イベントを紹介する際は、取材レポートを記事にするだけではなく、動画でもレポートするのがおすすめです。動画にしてアップロードすることで、イベントの雰囲気が視聴者に伝わりやすくなります。
また、イベントのレポート動画は、イベントのプロモーションとして活用するのも効果的です。ティザー動画にも過去のイベントの映像を取り入れることで雰囲気が伝わりやすくなり、「詳しく知りたい」と欲求が高くなり、来場促進につながります。
ティザー動画と合わせて現場の雰囲気が伝わるダイジェスト動画を使うことで、エンゲージメントが高められるため、効率よく集客できるでしょう。
Next Fashion Designer of Tokyo 令和4年度 ティザー&ダイジェスト動画
イベントのオープニング動画
イベントなどではオープニング動画をティザー動画と連動させて作ることで、イベントのテーマを視聴者と参加者に伝えやすくなります。
その上、参加者の期待感やイベントの雰囲気を盛り上げるきっかけにもなり、会場の一体感を生み出せるでしょう。会場の一体感があると、イベントの進行もしやすくなり、次のプログラムへ進むための流れを自然に作りやすくなります。
参考としたいのは、TEDxSummit というイベントのオープニング動画です。
この動画は、参加者の集中を一気に集められるようなインパクトがある一方で、イベントのテーマのイメージもしっかり伝えて会場を盛り上げています。
TEDxSummit intro: The power of x
ライブなどの配信
現在では、イベント内容の動画を配信するのも需要が見込めるため、YouTubeやニコニコ生放送などでライブ配信してみるのもおすすめです。
ティザー動画の期待感をそのまま引き継いでイベントをライブ配信することで、リアルイベントに足を運べない人もオンライン上で参加したくなります。
また、スタンプやコメントといったライブ配信ならではの魅力もあり、これまでのイベントとは違った楽しみ方を提供できるでしょう。
例として、VTuberグループ「ホロライブ」では、イベント公演の一部を無料でライブ配信しており、イベントに対して興味を持ってもらえるように動画を公開しています。
ホロライブ SUPER EXPO 2023
商品やサービスを解説した動画
リアルに手を触れることができないサービスなどの場合、そのサービスを解説した動画があると、よさが伝わりやすくなるでしょう。
商品やサービスを解説した動画は、プロモーション動画として活用でき、認知度や購買意欲の向上としても活用できます。
例えば、高知県がコロナ禍に行ったボディシェアリングロボットによる観光サービス紹介動画は、あえて説明を省いており、視聴者のワクワク感や興味を惹かれるような動画です。
高知の未来観光「NIN_NIN」ティザー動画
まとめ
ティザー動画は、情報を小出しにして視聴者の好奇心を煽るマーケティング手法として用いられ、さまざまな媒体で配信されています。この記事では効果的なティザー動画に必要な要素や制作時の注意点を解説しました。
ティザー動画は、定期的で頻回な更新を行い、期待感を演出し、新しい情報を発信することで、公開までカウントダウンしながら興味を惹きつける、という計算された手法で行います。
その際注意すべきポイントは、1.情報の公開日の明記、2.公開日までの日数、3.短い尺で興味を惹きつけるストーリー、4.次も見てもらえる工夫 です。
魅力的で効果が上がるティザー動画は、綿密に仕掛けた見せ方によって視聴者の心を掴み、期待感を膨らませてくれます。興味を惹かれた視聴者は、どんな会社のどのような商品・サービスか気になり、ネットで検索します。このような手法は、ブランド認知から購買意欲の向上までのプロモーションに効果的だといえるでしょう。
そして、失敗しないティザー動画にするためには、動画制作はぜひプロの制作会社へご相談ください。