動画広告にはさまざまな種類があり、自社に合った方式を採用して動画を発信することで広告効果を最大限に高められます。しかしどのような種類があるのか、どれを選べば良いのかわからないという方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は動画広告の概要に加えて、具体的な種類についてご紹介します。
■目次
【いまさら人に聞けない】動画広告って何?
動画広告とは、「企業や組織が自社の商品やブランドを宣伝し、ユーザーの興味・関心を高めたり購買を促進したりするために動画を用いて配信する広告のこと」です。
従来は画像のみの広告が多い傾向にありましたが、インターネットが発展して誰もが大容量のデータ通信を行えるようになり、気軽に動画を視聴する環境が整ったことから動画広告が多く用いられるようになりました。
市場状況
新型コロナウイルス感染症拡大は継続するとみられるものの、国内経済は2020年後半以降回復が見込まれます。コロナ禍を機に進んだユーザー消費行動の変化、行政や産業などのデジタル化、DXの流れが加速したことにより、広告市場は昨年の落ち込みから反転し、高い水準の成長を遂げました。
サイバーエージェントが発表した2021年国内動画広告の市場調査によれば、2021年の動画広告市場は、昨年対比で142.3%となる4,205億円に到達する見通しです。2022年には5,497億円、2025年には1兆465億円にまで成長していくと試算されています。
主な動画広告の種類
主な動画広告の種類には、次のようなものがあります。
インストリーム広告
インストリーム広告とは、動画を再生する前や後、または再生中に入り込む広告のことです。特にYouTubeではよく見かける広告であるため、馴染みがある方も多いでしょう。
インストリーム広告には「プレロール」「ミッドロール」「ポストロール」の3種類があります。プレロールは動画を再生する前、ミッドロールは動画の再生中、ポストロールは動画の再生後に流れる広告をそれぞれ指します。
インストリーム広告は、基本的には動画の視聴時に必ず見てもらえる広告であるため、多くのユーザーにリーチできるというメリットがあります。
インバナー広告
インバナー広告では、広告枠を提供しているWebサイトの「バナー広告枠」に自社の動画広告を表示させます。「インディスプレイ広告」と呼ばれることもあり、例えば日本国内の大手検索サイトのトップページなどにも広告枠が設置されています。
インバナー広告ではWebサイトのバナー広告枠を利用するため、動画共有サービスを利用する習慣がないユーザーにもリーチしやすいというメリットがあります。
インリード広告
インリード広告は、ユーザーが閲覧するWebサイトのコンテンツの間に流れる広告のことを指します。具体的にはWebサイトやSNS、アプリなどにおけるコンテンツの間に表示される広告がインリード広告にあたります。
インリード広告はコンテンツの途中に差し込まれる広告であるため、ユーザーの注目を獲得しやすいというメリットがあります。
インフィード広告
インフィード広告はインリード広告に近い種類のもので、WebサイトやSNS、アプリのコンテンツの途中に差し込まれる広告の一種です。
インフィード広告では静止画やテキストなどを利用した広告が多いことに対して、インリード広告は主に動画広告であるという点に違いがあります。
動画広告の課金形態
動画広告の課金形態は、再生回数ごとに課金される「CPV方式」、インプレッション(表示回数)単位で課金される「インプレッション方式」、クリック回数に応じて課金される「CPC方式」の3種類が代表的です。
再生回数によって課金されるCPV方式は、例えば「対象の動画が30秒間再生されたら1回再生されたものとカウントし、課金となる」といった形式が一般的です。1回あたり〇円などの料金体系が定められており、その料金に再生回数を乗じて料金を算出します。
インプレッション方式は、「1,000回動画ページが表示されるごとに〇円」といった課金体系を指します。動画が再生されなくても該当のページが表示されるごとに課金対象となるため、動画のクオリティが直接成果に反映されやすいという特徴があります。
CPC方式では、動画広告がクリックされた回数によって課金額が変動します。「1クリック〇円」のような基本料金が定められており、その金額にクリック回数を乗じて算出されます。
動画広告のメリット
動画広告のメリットには、「動画とテキストを組み合わせて多くの情報を伝えられる」「物語性をもたせられる」「効果測定・改善がしやすい」という3つが挙げられます。
動画広告では動画とテキストを盛り込んで短い時間のなかに多くの情報を詰め込むことが可能なため、ユーザーは受動的に視聴するだけで情報を得ることができます。加えて、物語性をもたせることで自社の商品やブランドの魅力をより端的に伝えられます。さらに再生回数などの指標で分析を行えるため、効果測定や改善がしやすいというメリットも考えられます。
BtoBにおける動画広告の事例紹介!
ここでは、BtoBにおける動画広告の好事例を2つご紹介します。
クリタグループ栗田工業
クリタグループ栗田工業は、液晶や半導体を製造するために重要な「超純粋水」を精製するための水処理装置や薬品を開発している企業で、自社製品のブランディング動画を配信しています。
前半で自社の「水への向き合い方」をストーリー性をもって伝えた後、後半ではどのように水を使っているのかをわかりやすく説明しています。
株式会社島津製作所
島津製作所では検査機器や医療用機器、計測機器などを製造しています。同社はYouTubeを活用して自社の広告や会社概要、衛生面への取り組みだけでなく、社内のテニスチームについてなど自社に親しみをもってもらえるような動画も制作・発信しています。
なかでも「世界に答えを。 -島津製作所、乳がんと向き合う。」という広告は600万以上の再生回数を誇り、企業のブランド力向上に貢献していると考えられます。
「世界に答えを。 -島津製作所、乳がんと向き合う。」30s ver. – YouTube
動画広告活用のポイント
動画広告を活用する際は、次のポイントに注意して動画制作を進めることが大切です。
出稿媒体や目的に応じた編集の有効活用
動画広告の効果を最大限に引き出すためには、出稿媒体や目的に応じて編集方法を変更することが求められます。
例えばYouTube広告では、与えられた広告枠の時間が限られているケースが多いといえます。そのため、短時間で広告を視聴するユーザーにインパクトを与えられるように、編集によって最も伝えたい部分を冒頭にもってくるなどの工夫が必要になります。
ユーザーは自分が見たいと思って開いた動画を少しでも早く視聴するために、興味をもてない広告をスキップしてしまう傾向にあります。最初の数秒で興味をもってもらえるような内容を配信できなければ、せっかく制作した広告を最後まで視聴してもらうことが叶わず、広告効果を十分に引き出せなくます。
このことから「出稿先の媒体ではどのように編集すればユーザーの興味を引きやすいのか」を常に考えた上で、自社にとって効果が最も高まりやすい形の広告制作を心がけることが重要です。
動画の「品質」が成否を分けるカギとなる
動画の品質が低いとユーザーの興味を引くことができず、最後まで視聴してもらえない原因となりかねません。加えて、低クオリティな動画を提供してしまうと「動画がつまらないから、ブランドも良い商品を提供していないのだろう」と思われてしまい、自社のブランドイメージが低下するおそれもあります。
動画広告の効果を最大限に活用するためには、品質を高めてユーザーに興味をもってもらえるような動画を提供し続ける必要があるといえます。
品質の高い動画には、内容によってはブランドイメージを底上げする効果も期待でき、動画の品質が動画広告だけでなく会社全体の販売戦略の成否をわけるカギになるといっても過言ではありません。
まとめ
動画広告の市場は年々拡大し続けており、今後はさらに大きく伸長していくとみられています。市場の拡大が期待できる上に多くのユーザーの目に触れるチャンスとなるため、まだ動画広告に参入していない企業も今後の広告媒体のひとつとして検討する価値があるといえます。
動画広告や料金形態にはさまざまな種類があり、自社の目的に合った動画を制作し発信することが大切です。動画を発信する目的がどこにあるのかを明確にした上で、動画制作を始めてみましょう。