COLUMNコラム

VRとは?仕組みや活用例、製造業における活用方法などを徹底解説!

公開日: 2022年9月5日    
VRとは?仕組みや活用例、製造業における活用方法などを徹底解説!

VRは、今やさまざまな場面で耳にする言葉となりましたが、VRとはどのような技術なのか、何ができるのかなど、わからないことも多いのではないでしょうか。VRを事業に取り入れることにはさまざまなメリットがありますが、そのためにはVRについて理解することが大切です。

この記事では、VRに関する基本知識や必要なもの、分野ごとの活用場面などを詳しく解説しています。VRとはどのようなものなのかを知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

VRとは?どんなことができるの?

VRとは?どんなことができるの?

VRは「Virtual Reality」の略で、日本語では「仮想現実」と呼ばれています。視界を覆う専用のゴーグルを装着して360°のVR映像を視聴することで、現実とは違う世界で限りなくリアルに近い体験を得られます。

VRでできることは多く、幅広い分野に活用可能です。例えばエンターテインメントでは、VRを使うことで本物の飛行機に乗っているかのような体験や、ゲームの世界に入り込んだかのような没入感を味わえます。

エンターテインメント以外では、教育や医療などの分野にも利用されています。どこにいても教室にいるかのような感覚で授業を受けられたり、人数制限なく手術の研修やシミュレーションができたりと、さまざまな分野でVRが活躍しているのです。

2種類のVR

VRには、「視聴型」と「参加型」の2種類があります。

視聴型のVRは、流れている映像を見るだけで、本当に映像の世界にいるかのような気分を味わえます。また、顔を動かすとその方向の映像を見ることもできます。主に、学校教育や医療現場などで活用されています。

参加型のVRは、映像内を自由に歩き回ったり、映像内のものに触れたり動かしたりできるタイプです。自分がアバターになったり、仲間と一緒に楽しむ感覚が味わえたりするので、ゲームや観光事業などに活用されています。

VRとARの違い

VRとよく似た言葉としてARを聞いたことがあるでしょう。ARは「Augmented Reality」の略で、日本語では「拡張現実」と呼ばれています。現実の風景に重ねてCGを合成することで、現実世界を拡張させる技術です。例えば、スマホを夜空にかざすと画面内の星の位置に星座が浮かび上がるアプリには、ARが用いられています。

このように「リアルな世界をゼロから作り上げるのがVR」であり、「現実世界に新たな情報を追加して現実を拡張するのがAR」といえるでしょう。

VRの仕組みと技術

VRの仕組みと技術

VRには映像が立体的に見える仕組みや顔を向けた方向の映像が見える仕組み、空間内を移動できる仕組みや音が鳴った方向を認識できる仕組みが備わっています。それらによってリアルな世界の擬似体験が可能です。

それぞれの仕組みは、人間の身体機能をもとに再現されており、センサーや特殊な技術によって実現しています。ここでは、VRの仕組みと用いられている技術についてご紹介します。

映像が立体的に見える仕組み

VR映像で擬似体験できる立体感は、左右の眼に対して異なる映像を表示することで実現しています。人間が物を見るとき、左右の眼で見ている像は微妙に異なっているのです。これを「両眼視差」と呼び、両眼視差を利用して脳が映像を合成することで立体的に見えるようになっています。

VRではこの両眼視差の仕組みを取り入れ、右と左で映像を分けることで立体的に視認できるようにしているわけです。

顔を向けた方向の映像が見える仕組み

VR映像では、顔の向きを変えるとその方向の映像を見ることができます。この仕組みに用いられているのがヘッドトラッキング機能です。

ヘッドトラッキング機能とは、赤外線センサーで頭の動きや角度を感知し、それに合わせて映し出す映像を変える機能を指します。頭の動きとVRゴーグルがリアルタイムに連動することで、没入感を実現しているのです。

またリアルな視点を再現するため、VRゴーグルには人間の視野角である120度程度の映像が映し出されます。実際の映像はそれよりも広い角度で撮影されており、頭を動かすと見える範囲が変わり、本当にその世界にいるかのような感覚を味わえるのです。

VR空間内を移動できる仕組み

VR映像の中には空間内を移動できるものがあり、この仕組みにはポジショントラッキング機能が用いられています。

ポジショントラッキング機能とは、ある空間内における位置や体勢をVR世界に反映させられるものです。室内のセンサーがVRゴーグルの位置を検知し、その動きに連動してVR映像が変化する仕組みで、この機能によってVR空間を実際に歩いているかのような体験ができます。

音の方向を認識できる仕組み

音声付きのVR映像では、音の発生する場所によって聞こえ方が変わり、音の方向を認識することが可能です。人間は左右の耳で聞こえる音量と時間差を認識できるため、それを利用して音の方向を判断しています。

VRでは左耳と右耳に異なる音を流すことで、音の方向を認識できるようにしているのです。また高性能なVRでは、多数のマイクで前後・左右・上下とあらゆる角度の音を録音し、よりリアルな音の聞こえ方を再現しています。

VRを楽しむために必要なもの

VRを楽しむために必要なもの

ご家庭でVRを楽しむためには、VR機器本体と、スマートフォンやゲーム機、コントローラーやリモコンといった付属品が必要です。

VR機器本体はVRゴーグルと呼ばれ、ヘッドセットまたはイヤホン、ヘッドマウンティングディスプレイが含まれます。ヘッドマウンティングディスプレイとはVRを表示する装置のことです。ヘルメットのように頭部に装着することで、VR映像を視聴できます。VRゴーグルは装着することで視界が全て覆われ、VRの世界に没入できるデバイスです。

ゴーグルの種類

VRゴーグルには、「スマホ連動タイプ」「パソコン・ゲーム機連動タイプ」「スタンドアローンタイプ」の3種類があり、それぞれ接続する機器や性能によって価格が異なります。VRを利用する目的に合わせて、適切なゴーグルを選びましょう。

スマホ連動タイプ

スマホ連動タイプは、自宅で気軽にVRを楽しめるVRゴーグルです。ジャイロ機能搭載のスマホをセットすることで、簡単にVRを楽しめます。

価格は1,000〜3,000円程度と安価なものが多く、手を出しやすいのが魅力でしょう。しかし、最低限の機能のみを搭載しているものがほとんどで、パソコン・ゲーム機連動タイプやスタンドアローンタイプと比べると没入感に欠けます。

パソコン・ゲーム機連動タイプ

パソコンやゲーム機に連動するタイプは、本格的なVRを楽しめるVRゴーグルです。外部コントローラーが付属しているものが多く、高い没入感と操作性が特長です。

価格は2万円ほどで買えるものから5万〜8万円ほどかかるものもあり、性能が高いだけに高価なものが多いです。また、本格的にVRを楽しむためには、VRコンテンツを利用できるような高いスペックを持つパソコンやゲーム機を使用する必要があります。

スタンドアローンタイプ

スタンドアローンタイプは、パソコンやスマホに接続する必要がなく、単体で装着するだけで使用できるVRゴーグルです。バッテリーやCPUを内蔵しており、非常に没入感の高いVR映像を楽しめます。

価格は5万〜8万円ほどが中心で、パソコン・ゲーム機連動タイプと同じく本格的にVRを楽しみたい方におすすめです。

VRコンテンツの現状

VRコンテンツの現状

VRを活用したコンテンツは、これまでにない特別な体験をユーザーにもたらします。また、エンターテインメント分野だけでなく、幅広い分野にも活用されているのです。建築設計や工事現場での安全性確認、また医療や教育現場でのVRシミュレーションを用いた訓練など、VRコンテンツの活用の幅は拡大しています。次は、VRコンテンツの現状について、分野ごとに解説します。

VRゲーム

VRを活用したゲームは、臨場感のある3D映像と音声を結びつけることで、従来のゲームでは得られなかった高い没入感を実現しています。特に、ロールプレイングゲームのようなキャラクターと物語を進めていくタイプのゲームとの相性が良く、プレイヤーはまるで自分がゲームの世界に入ったかのような体験を味わえるのです。

VRゲーム市場は、年々拡大しています。2016年は16.8億ドルだったのに対して2020年には83.3億ドルと急成長を遂げており、今後も拡大を続けることが見込まれています。

参考:総務省|平成30年度版 情報通信白書

映像視聴

360度VR対応で作られた映像も増えています。ジェットコースターの乗客視点の映像や海中を擬似体験できるような映像など、VRだからこそ楽しめる迫力のある映像が登場しているのはご存知でしょう。

最近では、VR映像を用いて工場見学や大学のオープンキャンパス、職場体験ツアーを行う企業もあり、PRや採用活動の手段としてVR映像が注目されています。ユーザーはスマホ用のVRゴーグルがあれば自宅で簡単にVR映像を楽しめるため、自社商品やサービスなどの魅力をアピールする手段として効果的です。

VR映画

VR技術を活用することで、自宅でも臨場感のある映画を楽しめます。2019年には、AmazonがVR視聴アプリ「Prime Video VR」を発表しました。また、YouTubeにもVR対応で製作された映画がアップされています。VR映画は、VRゴーグルさえあれば、自宅で気軽に映画館のような映画視聴体験を楽しめるのが魅力です。

コンサート・ライブ

VR技術は、コンサートやライブにも活用されています。例えばスマホの専用アプリを使えば、まるでアーティストが目の前にいるかのような感覚を味わえ、自宅にいながら会場と同じようにコンサートやライブを楽しめるのです。

またアーティストが目の前にいたり、俯瞰で見れたり、さまざまな位置や角度からのカメラワークを楽しめます。従来のコンサートやライブでは味わえない視点から視聴できるのもVRコンサート・ライブの魅力です。

建築設計・工事現場

建築設計や工事現場においては、VRを活用することで完成後の建物の外観や内部イメージのモデル化が可能です。完成後の姿をリアルに再現することで施工前にイメージを具体化でき、「想像と違うものが完成した」というイメージギャップを防げます。

さらに足場を組む前にVRで再現して確認することで、安全な足場の設計を可能にできます。災害や事故のリスクを想定できるため、より安全な作業環境の構築が実現できるでしょう。

また、建物の風通しや日当たりなど、設計図だけでは分からない建物の環境についても、VRならば再現できます。設計時に環境面の問題点を把握できるため、施工時には問題点を踏まえて工夫を施せるというメリットがあります。

医療現場

医療現場においては、模擬訓練の際にVRが活用されています。用いられるのは高精細で限りなくリアルな手術現場を再現したVR映像です。VRによる手術のシミュレーションならば、時間や場所の制限なく何度でも訓練ができます。また希少な症例や危険を伴う手技の反復練習ができ、高度な技術を効果的に習得できるのもメリットです。

また、実際の治療にもVRが用いられています。例えば、恐怖症や不安障害といった精神的な障害の克服に対する活用です。患者に恐怖をもたらすシチュエーションをVRで再現し、過剰反応を抑えて克服を狙う治療が行われています。ほかにも、失った手足を動かす擬似体験をVRでおこなうといった幻肢痛の治療に用いられているのです。

不動産

不動産業界では、物件の内見にVRが活用されています。実際に建物を訪れなくても内見することができるため、より多くの物件の内見が可能です。またVRコンテンツを作成していれば、入居者の退去前でも内見できます。退去前に次の居住者を決めやすくなるため、空室期間の短縮につながるわけです。

さらに内見時に確認し忘れた事項についても、VRを利用した内見ならばすぐに再確認できます。内見希望者や仲介業者、物件管理業者それぞれにメリットがあるものといえるでしょう。

観光

観光現場では、観光地の魅力をリアルに味わってもらうことにVRが活用されています。観光名所やグルメなどを没入感を持って擬似体験してもらうことで、画像や単なる映像よりも効果的に観光地をPRできるのです。

また、コロナ禍においても自宅で観光気分を味わえるため、高齢の方や体の不自由な方にも楽しい旅行の疑似体験を提供できます。

製造業での効率化と今後の活用

製造業での効率化と今後の活用

VRはさまざまな分野で活用されており、特に製造業の効率化を推進する技術として注目されています。製造業は、DXが進みにくい業界とされていました。しかし、現在では労働災害をリアルに擬似体験できる安全教育や、本社からの指示伝達、臨場感のあるトレーニングなど、VR技術が幅広く活用されています。ここでは、製造業におけるVRの活用方法をご紹介します。

安全教育

製造現場では労働災害が起こるリスクがありますが、労働災害の恐ろしさや起こりうるシチュエーションは、映像や資料だけでは伝わりにくいことが課題でした。そこでVRを使えば、実際に起こりうる労働災害をリアルに体験することができ、臨場感のある安全教育の実施が可能です。従来の安全教育では伝えきれなかった労働災害の恐ろしさを擬似体験することで、安全教育を効果的に実施できます。

修理やトレーニング

製造現場では、本社から製造現場へ作業指示を出し、指示に基づいて現場が製造や修理を行う場合が多いです。この作業指示の際にVRを活用することで、より正確な指示を出せます。VRを使った作業指示は視覚的な情報伝達に優れているため、効率的な作業を可能とするのです。

また、製造現場に入る前の研修やトレーニングにもVRを活用できます。臨場感のある映像とともに作業の手順や注意事項を確認できるため、実態に即したトレーニングが可能です。必要に応じて何回でもトレーニングでき、失敗しても製造現場には影響がありません。そのため、非常に効果的かつ効率的に作業員のトレーニングを行えます。

まとめ

まとめ

VRは仮想現実と呼ばれ、現実とは異なる世界を没入感を持って楽しむことができるものです。VRにはさまざまな技術が用いられており、エンターテインメント以外にも医療や教育現場など、幅広い分野で活用されています。特に昨今では、製造業の効率化を実現する手段として注目されているのです。

VRの活用範囲や影響力は今後も広がっていくと考えられ、今のうちにVRについて理解しておくことが大切です。今やスマホやゴーグルがあれば、ご家庭でも簡単にVRを楽しめます。気になる方は、ぜひVRの世界を体験してみてください。

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