
ここ何年かのVR、AR、MRといわれる技術の加速は著しく、当社でも多くのお問い合わせをいただいています。
今回のテーマに紐付くVR技術は、ゲーム業界だけでなく、製造業や医療、教育分野でも幅広く活用されており、将来的に無限の可能性を秘めています。VRゴーグルを使用することで、眼前に広がる臨場感あふれる映像が体験者を新たな感覚の世界へと導いてくれます。
デジタル社会の進化において、VRは新たなエッセンスをもたらすことでしょう。
この記事では、VRゴーグルの種類や最新情報を交えつつ、VR技術に興味を持っていただけるような内容をお届けします。ぜひ最後まで読み進めてください。
没入感のあるVR体験をするならVRゴーグルを使おう

VRは、ゴーグルがなければ体験できないと思っている方もいるかもしれません。しかし、ゴーグルがなくてもスマートフォンやパソコンなどを使って、簡易的にVRを体験することは可能です。
そうは言っても、ゴーグルを使うことで映像をより立体的に見ることができ、顔の動きに合わせて映像や音の方向が変わるなど、没入感のある質の高いVR体験ができます。
ゴーグルは特徴によって、主に3種類に分類できます。この記事では、VRゴーグルのそれぞれの特徴などを見ていきましょう。
VRゴーグルの種類は主に3種類

VRゴーグルと一口にいっても、用途や形状、価格帯などが大きく異なります。現在のVRゴーグルの種類は、スタンドアローン型・据え置き型・スマホ取り付け型の3つに大きく分けられます。
エンターテインメントからビジネスまで幅広い用途で利用されており、将来的にはさらにさまざまな分野で活用されるでしょう。まずは、それぞれの特徴を紹介します。
スタンドアローン型
スタンドアローン型は、ゴーグル単体でVRを楽しめるタイプです。コントローラーと合わせて使えば、簡単な操作も可能です。
ゴーグルにディスプレイやCPU・通信機能・バッテリーなどが内蔵されているため、外部機器に接続することなくワイヤレスで使用できます。
ただし、取り回ししやすい点は大きなメリットですが、充電をしなければなりません。据え置き型と比べると比較的安価で、ゲームや動画の視聴など幅広く使えます。
据え置き型
据え置き型は、パソコンやゲーム機器に有線で接続して使用するタイプです。高度で本格的なグラフィックを楽しむことができ、体の動きを感知するトラッキング性能も優れています。
比較的高価で、データを処理する高性能なパソコンや機器も必要であるため、導入に費用がかかります。しかし、高画質で迫力のある体験ができるため、ゲームや動画の視聴などに適しているといえるでしょう。
スマホ取り付け型
スマホ取り付け型は、ゴーグル本体にスマートフォンを取り付けて使用するタイプです。基本的に操作はできないため、動画の視聴が主な用途になります。
ゴーグルが自分のスマホに対応しているか確認し、事前にVRアプリをインストールしておく必要があります。求めやすい価格帯で、中には5,000円以下のものもあり、初めて使う人には適しています。
VRゴーグルの選び方のポイント

VRゴーグルは主に3種類に分類できるといっても、詳細は商品ごとにより細かく異なります。対応デバイスや性能、装着感・使い心地、価格などさまざまな観点から選ぶ必要があります。
何を基準に選べばいいかは一概にいえませんが、どのような選び方があるのかを知っておくことは、自分や自社に合ったVRゴーグルを探すヒントとなるでしょう。
ここでは、VRゴーグルを選ぶ際の7つのポイントをご紹介します。
対応デバイスで選ぶ
自分の使いたいデバイスに対応しているかで選ぶのが、一つの方法です。VRゴーグルは製品によって、どのデバイス向けであるかが異なります。自分の使いたい用途や、使用するデバイスを決めてからVRゴーグルを選ぶといいでしょう。
パソコンやゲーム機に使いたいのであれば据え置き型、スマホで使いたいのであればスマホ取り付け型を選びます。スマホ取り付け型では、スマホのサイズによって使えるゴーグルが限られる場合もあるため、確認した上で決めましょう。
フィット感で選ぶ
長時間使用する場合は、フィット感や装着感の良さも重要です。長く装着していると、ゴーグルの当たる部分が痛くなることもあります。ゴーグルの重さが、首の負担となることもあるようです。
店頭などで実際に試着し、装着感が良く軽量のものを選ぶことをおすすめします。顔に当たる部分のクッションや、頭に固定するためのバンドなどについて確認しましょう。また装着姿勢は立位なのか座位なのかなど、使用する際の姿勢を考慮することも大切です。
トラッキング方法で選ぶ
VRゴーグルのトラッキング機能には、6Dofと3Dofの2種類があります。6Dofは頭と体の動きをすべて捉えられるため、体を動かして使用するコンテンツに向いており、よりリアルな体験ができます。
一方の3Dofは、頭の動きのみを捉えるタイプです。視点を動かして見ている方向を変えることはできますが、体の動きは反映されません。そのため、見て楽しむコンテンツに向いています。
視野角で選ぶ
首を動かさずに見える範囲を角度で表す「視野角」も、重要なポイントです。視野角は狭すぎると、視野の途中で映像が途切れてしまいます。逆に視野角が広すぎると、見える範囲が広がる一方で解像度は下がるため、程よいものを選ぶことが大切です。
視野角は100度未満だと視野が狭くなるため、110~120度程度のものを選ぶといいでしょう。ただし、スマホ取り付け型での視野角はスマホの長辺の長さやコンテンツの設計に依存するため、ゴーグルの性能はそれほど影響がないといえます。
ピント調節機能で選ぶ
ピント調節機能のあるゴーグルを選べば、より高い没入感を楽しめます。ピントが合わないことによる目の疲れや、VR酔いを軽減させることにもつながるでしょう。
左右の視力が異なる場合でも、それぞれの視力に合わせてピント調節ができます。普段メガネをかけている人も、VRゴーグルでピントを調節することでメガネ無しで視聴できます。視聴している間にメガネがズレたり曇ったりすることがないため、快適にVRを楽しめるでしょう。
ヘッドホンの有無で選ぶ
VRゴーグルの中には、ヘッドホンが内蔵されているタイプもあります。より臨場感のある高音質なサウンドを求めるなら、ヘッドホン内蔵のタイプがおすすめです。
ヘッドホンが内蔵されていないタイプであれば、使うたびにVRゴーグルとヘッドホンの両方を装着しなければなりません。コードが邪魔になり取り回しがしにくく感じることもあるでしょう。
ヘッドホンが内蔵されていればこれらのデメリットは解消され、一度の動作ですぐにVRを楽しめます。
価格で選ぶ
「VRというものを体験してみたい」「特別なこだわりがない」という方は、求めやすい価格のものを選んでもいいでしょう。VRゴーグルはタイプや性能によって、価格が大きく変わります。
性能が高いものほど高価になりがちで、周辺機器を揃えるのにも費用がかかります。初めてVRゴーグルを購入する方はハードルが高いと感じるかもしれません。
スマホ取り付け型のVRゴーグルであれば、自分のスマホで手軽にVR体験ができます。比較的安価で操作しやすいため、初心者にもおすすめです。
最新!VRゴーグルのおすすめモデル9選

選び方を理解したら、さっそくVRゴーグルを選びましょう。「まずは人気の商品から試してみたい」と考える方も多いのではないでしょうか。
ここでは、2025年1月時点の情報からおすすめのVRゴーグルを紹介します。安くて手軽なものや単体で楽しめるもの、高機能なものの中から、人気のモデルを9つピックアップしました。ぜひVRゴーグルを選ぶ参考にしてください。
ビジネスに利用したいなら「HTC:VIVE Focus 3」
HTCのスタンドアローン型VRゴーグルです。6Dofタイプで没入感の高い体験ができ、手の動きを正確に検出するハンドジェスチャーやピンチジェスチャーなどの機能を搭載しているため、コントローラーは不要です。
ビジネスシーンでの使用を想定されたフルスペックモデルで、工場や店舗など、複数の場所で使うことを想定して一括管理ができるようになっています。業務のトレーニングのほか、展示会やマーケティングキャンペーンなどにも活用できるでしょう。商用利用保証もあるため、ビジネスで導入するならおすすめのモデルです。
進化を続ける「Meta:Quest 2 / Quest 3」
FacebookやInstagramを運営するMetaによる、スタンドアローン型VRゴーグルです。Meta Quest 2(旧「Oculus Quest)は2021年10月、Meta Quest 3は2023年10月に発売されました。
YouTubeなどの動画の視聴やFacebookアカウントによる通話、バーチャル空間でのミーティングなどができます。Quest 3は操作性や快適性、グラフィックやトラッキングなどの技術が向上しました。
仮想世界と現実世界の境界線を設定するガーディアン機能や、周囲の現実世界が見えるカラーパススルー機能など、安全面も考えられています。
Quest 3の廉価版でQuest 2の強化版となるQuest 3Sが2024年10月に登場しました。Quest 2は販売が終了しましたので、今後はQuest 3と3Sから選択することになります。
持ち歩けるのに高解像度「HTC:VIVE XR ELITE」
2023年にHTCから発売されたスタンドアローン型ゴーグルです。高性能かつ超軽量で折り畳める点が特徴です。高精細なグラフィックやクリアな音で、バーチャルな世界への没入感をさらに味わえます。XRの名が示す通り、カラーパススルーカメラを搭載し、Quest ProのようにAR/XRコンテンツも楽しめます。
コンパクトで持ち運べるのでビジネスにおいても活用でき、バーチャルデスク機能によって業務を効率化できるでしょう。装着感や、バッテリーの性能も優れています。
4Kで楽しみたいなら「DPVR:4D Pro」
DPVRが販売している、スタンドアローン型のゲーミングVRゴーグルです。4Kの高精細ディスプレイを搭載しており、没入感の高い体験を楽しめます。さまざまなVR動画配信サービスやアプリに対応しているため、購入してすぐに豊富なコンテンツを使い始められるでしょう。
本体側面にタッチパッドがあるほか、3Dofコントローラーも付属しており、コンテンツや状況に応じて幅広い楽しみ方が可能です。
とにかく安く試してみたいなら「エレコム:VRG-M02RBK」
エレコムから販売されている、スマホ取り付け型VRゴーグルとリモコンのセットです。頭にかぶせるタイプのため簡単に装着でき、バンドの長さを調節することで顔への圧迫感を軽減できます。VRリモコンはブラインドタッチに適したボタン配置になっており、カーソル操作がワイヤレスで行えます。
対応サイズは4.8〜7.0インチと幅広く、iPhone・Androidの様々な機種に対応しています。メガネでも装着でき、目幅調整ダイヤルとピント調整ダイヤルも備えていながら安価で購入できるため、まず試してみたい方におすすめです。
PS5で使いたいなら「ソニー:PlayStation VR2」
パソコンではなくPlay Station 5を楽しみたい方におすすめの、据え置き型VRゴーグルです。以前に登場したPlay Station VRの4倍の4K HDR映像なので、これまでにない深い没入感を実感できるでしょう。緻密な視線トラッキング機能や細かい振動で触感を再現する機能で、よりリアルな体験ができます。
ただしPlay Station Storeのコンテンツにのみ対応しているため、すべてのコンテンツをプレイできるわけではありません。また2024年になって、PCゲームに対応させるPlayStation VR2 PCアダプターが発売されました。
屋外環境でも楽しめるメガネタイプ「XREAL:Air 2 Pro」
XREAL Air 2 Proは2023年11月に発売された、一見サングラスのように見えるウェアラブルディスプレイです。調光レベルは瞬時に3段階から選択でき、先に発売されていたXREAL Air 2よりも高い没入感を味わえます。オプション製品により3Dof表示も可能になり、度付きレンズを付けることもできます。
軽量化や重心バランスの調整によって掛け心地も改善されており、メガネのツル(テンプル)の部分にスピーカーが内蔵されているので音漏れは避けられませんが、音漏れ防止の機能も向上しました。
軽さ・持ち運び重視なら「サンワサプライ:3DVRゴーグル」
サンワサプライの、スマホ取り付け型VRゴーグルです。頭の横と上部のバンドで簡単にしっかりと装着できます。本体重量は232gと軽量で、コンパクトに折りたためるため、持ち運びが楽です。また瞳孔間距離の調整ができ、メガネをかけたままで装着が可能です。
折りたたんだ状態でレンズがむき出しにならないため、傷や破損を防止できます。移動時間やスキマ時間で気軽にVRを楽しみたい方に、ぜひ検討してほしいゴーグルです。メーカーでは生産終了になりましたが、WEBの通販サイトではまだ取り扱っています。
VRゴーグルに関するよくある疑問

VRゴーグルを使ったことがなければ、さまざまな疑問が浮かぶでしょう。お金をかけてVRゴーグルを購入する以上、「買ってはみたけど活用しきれなかった」という事態を防ぐために、疑問や不安は事前に解消しておきたいものです。
ここでは、VRゴーグルに関する疑問のうち、よくあるものを紹介します。VR体験をより快適に楽しむために、ぜひ押さえておきましょう。
メガネをかけたまま使える?
メガネをかけたままの状態でVRゴーグルを使うと、メガネがズレたり曇ったりしがちです。近視や乱視の人がメガネをかけたまま使用すると、VRゴーグルによっては視力を悪化させてしまいかねません。そもそも、メガネをかけての装着ができないタイプのVRゴーグルもあります。
メガネをかけている人がVRゴーグルを使う方法には、メガネをかけずにピント調整機能のあるものを使うか、メガネをかけたまま使えるものを選ぶかの2パターンがあります。ピント調整機能のあるものは、左右で別々にピントを合わせられるとより便利でしょう。
メガネをかけたまま使えるものは、サイズ感やフィット感のほか、近視や乱視に対応しているかどうかも重要なチェックポイントです。メガネに対応しているタイプであっても、店舗などで実際の使用感を確認することも、失敗しないコツです。
VRで酔うって本当?
VRゴーグルを利用することで、めまいや嘔吐、不快感など乗り物酔いに近い症状が起こる場合があります。体の動きや位置を感知するための各器官からの情報が偏ることで、このような症状が起こると考えられています。これが、いわゆる「VR酔い」です。
通常は、視覚や平衡感覚、全身の筋肉や関節から伝わる揺れや速度の感覚など、さまざまな情報によって脳が体の状態を知覚します。しかし、VRでは視覚の情報しか入ってこないため、脳が混乱して症状が起こると考えられています。
VR酔いは、必ず起こるわけではありません。ただ、乗り物酔いをする人はVRでも酔いやすい傾向があるといわれています。
また、体調やコンディションによって酔ってしまうこともあるでしょう。一般的に酔いやすいコンテンツとされているものもあり、動きの激しいアクションゲームや、スピードの速い乗り物に乗った視点で行うゲームなどが挙げられます。
VR酔いへの対策は、ピントをしっかりと調整することや、酔い止めの薬を飲むことです。また一般的に体調の悪い時は酔いやすい傾向にあるため、利用は避けたほうがよいでしょう。
使用にあたって注意点はある?
VRゴーグルを使う時は現実世界の視界が遮られるため、周りの状況を見られません。ものや人にぶつからないよう、安全面を確保する必要があります。
周りに十分なスペースがある場所を選ぶ、他の人が入ってこない部屋で視聴する、座って視聴するなど、安全を確保した状態で視聴しましょう。
ついつい夢中になって視聴を続けてしまいがちですが、30分から1時間程度に1回は休憩を取ることも必要です。長時間の視聴は目や脳、体の疲れを引き起こします。適度に休憩をはさむことで疲れにくくなり、VR酔いを抑えることにもつながるでしょう。
VRゴーグルの将来

VRゴーグルについて紹介してきましたが、すべてのVR体験にゴーグルが必要なわけではありません。VRゴーグルを必要としないデバイスも、すでに開発されています。
では今後、VRゴーグルは他のものに取って代わられるかというと、そうとも言い切れません。ここでは、VR市場の拡大や傾向から、VRゴーグルの将来性について考えてみましょう。
今後もHMDは普及する?
VR市場は近年拡大しており、今後もこの流れは続く見込みです。ゲームや動画などBtoCのエンターテインメントの国内市場は、2030年には5,000億円を超えると見られています。
他にも、ビジネスや医療、教育などさまざまな分野で活用が進められてきました。特に、業務に関するトレーニングや、ロボットを遠隔操作することで行われる作業などについて、本格的な導入が進んでいます。
参考:2030年予測、スマートグラスやHMDがけん引 AR・VR研修やトレーニングが主流に/富士キメラ総研
高速大容量/低遅延 技術の進歩
実用化が進む5Gによって、通信の高速化・大容量化・低遅延化が実現しつつあります。この流れは、膨大な量の情報処理が必要なVRにとって追い風となる要素の一つです。
高画質で臨場感のある360度映像や、ライブストリーミングが楽しめるようになるなど、従来は不可能だったことが実現されています。今後は、観光体験や遠隔医療などへの可能性が期待されています。技術の進歩によって、新たなアイディアも生まれるでしょう。
まとめ
VRについて、一般的に「ゴーグルやヘッドセットを使うもの」というイメージが強いものです。しかし、ゴーグルを使わず体験できるVRディスプレイもあります。VRを考える際に必要なのは、人間の感覚や認知能力です。
人間はどのような刺激を受けることで現実と同様に認識するのか、という点に基づいてデバイスが生み出されています。このような観点から考えると、VRゴーグルは必ずしも必須のものではありません。
ゴーグルなしで複数人同時に同じVR体験ができる方法はすでに開発されています。研究や技術開発が進み、近い将来ゴーグルなしの方法が浸透することも考えられるかもしれません。
バーチャルな体験を共有できる方法として、当社ではVRやプロジェクションマッピングの制作を行っております。
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