この記事では、EC（電子商取引）と通販（通信販売）の違いをわかりやすく解説します。なぜそれぞれの方法が違うのか、どういったメリットやデメリットがあるのかをご紹介します。さらに、ECサイトを始める際に知っておきたいポイントや、成功するためのコツもお伝えします。これからEC関連の仕事を始める方に、とても役立つ知識が得られる内容となっています。
ECと通販の基本的な違い
EC（電子商取引）とは？
EC（Electronic Commerce）は、「電子商取引」と呼ばれ、インターネットを利用して商品やサービスを売買する仕組みです。具体的には、オンラインショップ（ウェブサイト）で商品を検索し、購入することができます。例えば、Amazonや楽天、ZOZOTOWNなどが代表的なECサイトです。顧客はウェブサイトを通じて、いつでもどこでも商品を購入でき、支払いもオンラインで行えるため非常に便利です。
通販（通信販売）とは？
通販（通信販売）は、インターネットを介さずに、カタログ、テレビ、ラジオ、郵便などの媒体を通じて商品を販売する方法です。例えば、テレビショッピングやカタログを見て電話や郵便で注文する仕組みがこれに該当します。テレビショッピングでは商品を詳しく紹介し、視聴者は紹介された電話番号にかけて注文します。一方、カタログ通販では、商品リストが記載されたカタログが郵送され、消費者はその中から商品を選んで電話やFAXで注文します。
販売方法の違い
ECサイトを使った販売の方法
ECサイトでは、ウェブ上に「オンラインショップ」を設置し、商品やサービスを掲載します。ここで、商品の詳細情報や画像を公開し、ユーザーはオンライン上で簡単に商品を選び、購入することができます。ECサイトの運営者は、商品の在庫管理や発送の手続きを行い、顧客に迅速に商品を届けます。支払い方法も多様で、クレジットカード、電子マネー、銀行振込などが利用可能です。
通販カタログやテレビショッピングの方法
通販では、カタログやテレビ番組を通じて商品を紹介します。テレビショッピングでは、商品を実際に使っているようすを視聴者に見せることで、商品の魅力をアピールします。視聴者は専用の電話番号に電話をかけて注文できるという流れです。カタログ通販では、郵送されたカタログを見て電話やFAXで注文を行います。顧客は実際に商品を手に取って確認できないため、商品の特徴や使い方を分かりやすく説明することが大切です。
このように、EC（電子商取引）と通販（通信販売）は、商品の販売方法に違いがあります。それぞれの特徴を活かすとともに、両者を相互に活用することも効果的です。例えば、通販で獲得した顧客にECサイトへの案内やデジタル限定のキャンペーンを案内したり、ECサイトでの商品情報やレビューをカタログやテレビショッピングの内容に反映させたりすることが挙げられます。それによって、顧客接点が拡がり、販売機会の最大化や顧客満足度の向上につながります。自社の状況や顧客層に合わせて、ECと通販を組み合わせた柔軟な販売戦略を検討することも有効です。
ターゲットの違いによるECの種類
BtoB（企業間取引）
定義と例
BtoB（Business to Business）は、企業同士の取引を指します。例えば、製造業者が部品を供給する場合や、卸売業者が小売店に商品を提供するケースが該当します。これらの取引は一般的に大量かつ高額で、契約や交渉が複雑です。
特徴
BtoB取引では、取引先同士の信頼関係が非常に重要です。長期的な取引が多いため、一度関係が築かれると安定的な収益が見込めます。また、BtoB取引では専門的な知識や技術が必要となることが多く、高い品質とサービスが求められます。
主なチャネルやプラットフォーム
BtoB取引専用のオンラインプラットフォームやマーケットプレイスが利用されます。企業向け専用サイトや特定の業界向けポータルサイトなどが代表的です。例えば、AlibabaやアメリカのB2BプラットフォームThomasNetなどがあります。
BtoC（企業と消費者間取引）
定義と例
BtoC（Business to Consumer）とは、企業が直接消費者に商品やサービスを提供する取引です。代表的な例として、Amazonや楽天、ユニクロのECサイトなどがあります。企業が自社商品をオンラインショップで販売し、個々の消費者がそれを購入します。
特徴
BtoC取引は、小口で頻繁な取引が多く、価格競争が激しいのが特徴です。顧客満足度が非常に重要であり、商品ページの充実、迅速な配送、優れたカスタマーサポートが求められます。また、多くの消費者に向けて広告を打つことが効果的です。
主なチャネルやプラットフォーム
一般的なECサイトやオンラインマーケットプレイスが利用されます。Amazon、楽天、Yahoo!ショッピングなどが代表例です。ソーシャルメディアやオンライン広告も重要な販売チャネルとなります。
BtoBtoC（企業から企業を経由して消費者に提供）
定義と例
BtoBtoC（Business to Business to Consumer）は、企業が他の企業を経由して消費者に商品を提供する取引モデルです。メーカーが製品を卸売業者に販売し、その卸売業者が小売店を通じて消費者に販売するケースが該当します。
特徴
このモデルでは、各段階で付加価値が加えられるのが特徴です。メーカーが生産した商品を卸売業者が購入し、さらに小売店が販売します。これにより、流通の効率性が高まり、商品の普及が促進されます。パートナーシップやサプライチェーンの管理が非常に重要です。
主なチャネルやプラットフォーム
卸売業者や小売店のウェブサイトや、BtoBtoC専用のプラットフォームが利用されます。Amazonのマーケットプレイスや、楽天市場などで企業が商品を販売し、消費者が購入する形態が典型例です。
ECサイトを立ち上げるメリット
ブランド強化と認知度向上
自社でECサイトを構築すると、独自のブランディングが可能です。オリジナルのデザインやコンテンツは「ブランドイメージ」を消費者に印象づけ、信頼性とブランド価値を高めることができます。さらに、使いやすいサイトを作ることでユーザーとの良好な関係を築き、リピーターとして長く利用してもらえます。
24時間365日営業
ECサイトはインターネット上で営業するため、営業時間に制約がありません。24時間365日、顧客はいつでも好きな時間に商品を購入できます。これにより、実店舗では獲得できない時間帯の売上を見込むことができ、全体の売上が増加します。
広範囲の顧客層へのアプローチ
ECサイトは、物理的な店舗の場所に関係なく、全国、さらには世界中の顧客にアプローチできる点が大きな魅力です。地域を問わず、多くの消費者に商品やサービスを提供することで、世界中のマーケットにアクセスでき、新たなビジネスチャンスを生み出すことができます。
データ収集と分析
ECサイトでは、顧客の行動データや購買履歴を収集・分析することができます。これにより、顧客の興味やニーズを把握し、パーソナライズされた提案やマーケティング戦略を展開することが可能です。最終的に、顧客満足度を向上させ、リピート購入やクロスセルを促進する手段として非常に有効です。
コストの削減
物理的な店舗を持つ必要がないため、店舗運営費や人件費を削減できることも大きなメリットです。
また、在庫管理や注文処理を自動化することで、経営効率が向上します。
ECサイトを立ち上げるデメリット
価格競争の激化
EC市場では、多くの競合が存在し、価格の比較が非常に容易です。そのため、価格競争が激化し、利益率の低下を招く可能性があります。特に中小企業にとっては、大手企業との価格戦争に巻き込まれやすくなります。価格競争の中で生き残るためには、競合と差別化できる付加価値を提供することが重要です。例えば、独自の商品ラインアップ、優れたカスタマーサポート、迅速な配送サービス、会員限定の特典などを活用し、価格だけではない魅力を顧客に提供することが求められます。
運営までの技術的な課題
ECサイトの立ち上げには、ウェブサイトの設計・構築、決済システムの導入、セキュリティ対策など、技術的な知識やリソースが必要です。また、継続的なメンテナンスやシステムの運用も求められます。技術的な課題を克服するためには、専門家のサポートを受けることが有効です。プロのウェブデザイナーやシステムエンジニアに依頼する、またはECサイト構築の専門サービスを利用することで、技術的なハードルをクリアし、スムーズにサイトを運用することができます。
ECサイトを立ち上げるにあたっての基本的な知識
サイト設計とデザイン
ECサイトの設計とデザインは、ユーザーが使いやすい直感的なインターフェースが求められます。カテゴリー分けや検索機能、購入までのプロセスをシンプルにし、ユーザーがストレスなく商品を探し、購入できるようにすることが重要です。また、デザインにおいてはブランドの一貫性を保ち、信頼感を与えることが大切です。
決済システムの導入
安全で使いやすい決済システムの導入は必須です。複数の決済オプション（クレジットカード、電子マネー、銀行振込など）を提供することで、顧客の利便性を向上させます。特にセキュリティ対策が重要であり、「SSL（Secure Sockets Layer）」や「PCI DSS（Payment Card Industry Data Security Standard）」を遵守することで、顧客の信頼を得ることができます。SSLは、インターネット上でのデータ通信を暗号化して安全性を確保する技術です。PCI DSSは、クレジットカードの取引データを保護するための安全基準です。
物流・配送の仕組み
商品の保管、梱包、配送の手配も計画する必要があります。迅速で正確な配送は顧客満足度を高めるために不可欠です。配送業者との提携や在庫管理システムの導入を検討し、出荷業務を効率化することが求められます。また、顧客に配送状況をリアルタイムで確認できるシステムを提供することで、安心感を与えます。
カスタマーサポートの整備
顧客からの問い合わせやトラブルに迅速かつ丁寧に対応することが重要です。FAQの充実やチャットサポートの導入、対応時間の延長などを検討し、顧客満足度を高める環境を整備します。満足度の高いサポートは、リピーターの獲得にもつながります。
まとめ
ECと通販にはそれぞれ異なる強みや特徴がありますが、それらを単独で活用するだけでなく、相互運用することも効果的です。例えば、通販で得た顧客データをECサイト運営に活かしたり、ECサイトでの情報発信を紙のカタログに反映することで、より幅広い顧客層へのアプローチやサービス向上が期待できます。自社の状況や目的にあわせて最適な方法を組み合わせ、活用することが成功への鍵です。
ECサイトの制作やリニューアル、運用にお悩みの際は、ぜひ当社へご相談ください。専門的なアドバイスと最適なソリューションをご提供いたします。
